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折々の記録
 
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2022年

2022年12月18日(日) 藤沢で講演

 神奈川県の藤沢市に拠点を置く善行雑学大学で、「世界の自然と自然、人と人をつなぐ渡り鳥」について講演した。会場は善行市民センター多目的ホール。対象は会員および一般市民。昨年12月の三田演説会での講演、それに続く「三田評論」の講演録を目にされた関係者からの依頼だった。
 善行雑学大学は、市民に生涯学習の機会を提供するために自主的に取り組んでいる任意団体。会員が自らテーマを考え、講師を努めたり、見つけたりする手作りの大学だ。社会、経済、自然などの諸問題について、毎月1回、講演会を開いている。

2022年12月10日(土) 「とりみどり」展の鑑賞

 和田つぐみさんの「とりみどり―つぐみの羊毛フェルト作品展2022」を鑑賞した。会場は東京の立川、国営昭和記念公園・花みどり文化センター。羊毛フェルトで作りあげたスズメ、シジュウカラ、メジロ、ヤマガラ、ヨタカ、カルガモ親子、ヤマドリなどが、実物さながら見事に展示されていた。ヤマガラの中には、全体に濃色の「弁慶ヤマガラ」も。どれも実物大。
 とくに印象に残ったのは、メジロのつがい、枯れヨシにとまるオオジュリン、枝上にずらっと並んだいろいろな小鳥、そして尾を高く上げたヤマドリ(写真)。情景までも感じとることができる。よくもまあ、こんなに正確に、しかも愛らしく作りあげられたものだと感心した。
 つぐみさんともお会いして、お話しすることができた。製作には、準備期間をふくめて、1点1か月から半年近くかかるものもあるとのこと。今後またどんな作品が登場するのか楽しみだ。
 同会場では、この時期 (12月10~18日)、「Bird Week~野鳥アートの世界~」として
水上清一さんらのバードカービング、齊藤壽さんらのイラスト、林ゆり子さんらの鉛筆画の展示も行なわれている。どれもすばらしいものだ。



2022年12月8日(木) タヒバリ

 三浦半島の田園地帯でタヒバリに出合った(写真)。決してめずらしい鳥ではないが、ここ数年出合ったことがなかった。2羽で草丈の低い草地と農地のあいだを行き来していた。飛び立つときには、いつものようにピピピッと鳴いた。
 学生時代、栃木県の渡良瀬遊水地の小高い遊歩道で野焼きをしていた。野焼きが済んだあとの裸地に、多数のタヒバリがやってきていた。100mほどの長さの範囲に、100羽以上が群れていた。昆虫の死骸でも食べていたのだろうか。今でも鮮明な記憶として残っている。
 3日ほど前から、本格的な冬の寒さが訪れている。湘南地方でも、ようやくジョウビタキの姿が見られるようになった。

2022年12月5日(月) 羽繕いをおねだりするカラス

 今朝のテレビ朝日・羽鳥慎一モーニングショーで、「羽繕いをおねだりするカラス」が紹介された。ツイッターに投稿された動画をもとに構成されたもので、ハシブトガラスのおそらくつがいの雌が、頭を下げて雄に羽繕いをしてほしいとおねだりする情景だ。雄が応じないと、ツツツとさらに雄に近寄り、また後頭部を見せておねだりする。見ていて、ほっこりとした気分になってしまう。私はこの件について簡単なコメントをした。この行動はつがいの絆を深めるのに役立っている、といったような内容の。
 カラスのかわいらしい行動や仕草がテレビ番組で紹介されたのは、おそらくこれが初めて。「ニュースなカラス」に新たな一ページが加わった。
 本日は別件で、埼玉県の中央部にカラスの生息状況調査のため出かけた。小雨模様の中、カラスの姿はあまりなかった。

2022年11月26日(土) 四季の森

 11月ももうすぐ終わり。平地では紅葉が最盛期を迎えている。本日は、横浜市北部の県立四季の森公園へ。「四季の森」というだけあって、紅葉は見事。赤や橙、黄色に色づいた木々が目を楽しませてくれる。林縁では、ツワブキの黄色い花がきわだっている。
 紅葉を背景に、カワセミがたたずんでいた(写真)。いかにも秋の鳥景色。そばをシジュウカラの群れが通り過ぎて行った。
 ツグミやジョウビタキなど、冬の小鳥はまだ見られない。



2022年11月17日(木) 里の秋

 湘南地方にも紅葉の秋が訪れている。野山では、カエデやヤマザクラ、ヤマウルシの赤、ケヤキやコナラ、イチョウの橙や黄色など、樹木により場所によりいろいろな色合いの紅葉が見られる。
 同時に、草木の実も目を楽しませてくれる。ガマズミ、マユミ(写真)、コムラサキ、マンリョウ、ナンテン、ニワトコ、クロガネモチなどなど。そこには、ヒヨドリやムクドリ、ツグミなどの鳥たちもやってくるだろう。
 近年、秋が短くなっているように思われるが、この秋もじきに終わりを告げるようだ。

2022年11月11日(金)、12日(土) 富士山麓山中湖畔

 いであ(株)の若手研修会に参加し、「生物多様性をめぐる諸問題とそれへの取り組み」について講演した。会場は、山中湖畔にある富士研修所。参加者の多くは20代、30代の若手職員。職員による調査報告や研究提案などが多数あり、活発な議論が行なわれた。
 山中湖畔は、紅葉の最盛期を過ぎていたが、ところどころまだ見ごたえのある光景もあった(写真)。鳥はヒガラ、エナガ、ホオジロ、イカル、カワラヒワ、ゴジュウカラ、アカゲラ、アオゲラなどが観察できた。
 風もなく暖かで快適な日々だった。遠く、富士山の頂上付近には、わずかに雪が見られた。





2022年11月8日(火)~10日(木) 沖縄県石垣島、西表島

 環境関連の会議で石垣島を、野外観察と講演のため西表島を訪問した。石垣島では、環境管理のあり方などについて、国や地方の行政や鳥の研究者などをまじえて議論した。
 西表島では、干潟、マングローブ、池沼、水田などの水辺を中心に鳥と自然を見てまわった。マングローブには、クロツラヘラサギの小群(上の写真)が、池沼や水田にはバン、セイタカシギ、タシギ、ダイサギ、チュウサギ、アオサギ、アマサギ、シロハラクイナ、ハクセキレイ、キセキレイ、コチドリ、ヒドリガモ、キンクロハジロなどがいた。
 沿道では、いつものようにところどころ、カンムリワシが電線にとまっていた(下の写真)。加えて、小さいハシブトガラスも飛びかっていた。
 講演は、9日(水)の夜に環境省の西表野生生物保護センターで開かれた。演題は「鳥の渡りと環境保全」とし、サシバやハチクマの渡りを中心に話を進めた。夜の7時半開始にもかかわらず、それなりの参加者がおり、また講演はオンラインにもつなげられていた。講演終了後にはいろいろな質問が出て、とても話しがいがあった。
 

2022年11月3日(木)~7日(月) 網走で日本鳥学会大会

 3年ぶりの対面での鳥学会大会が網走で開かれ、参加した。会場は東京農業大学北海道オホーツクキャンパス。
 11月の網走、というちょっとしり込みしそうな条件での大会だったが、350名ほどの参加者があり、盛会だった。これまでよりも若い人の参加が多く、発表内容もすぐれたものが多かった。私は、「ハリオアマツバメの針尾の秘密を探る」という口頭発表のほか、ハリオ関連3件、アカモズ関連1件の共同発表にかかわった。どれも好評だったようで、発表後にいろいろな方から質問やコメントをいただいた。

 ホテルから直近の網走川では、シノリガモ(上の写真)、ホオジロガモ、キンクロハジロ、マガモ、カワウ、ヒメウ、ユリカモメ、オオセグロカモメなどが多数生息していた。とくにシノリガモはたいへん美しく、近くでじっくり見ることができたので、大満足だった。
 また、同じ河川ではサケの遡上がさかんで、川の途中ではやな漁がおこなわれていた(下の写真)。せき止められた川の一部に誘導路があり、集まったサケを大きな網ですくい、ベルトコンベアで運び出す、という大がかりなものだ。近隣には、サケが産み落とした卵(イクラ)を求めて、多くのカモ類やカモメ類が集まっていた。
 周囲の野山は、紅葉に彩られ、美しい光景をつくり出していた。





2022年10月16日(日) コサギの盗み寄生、ホトトギスにホウジャク

 しばらくぶりに横浜北部の池を訪れた。コサギの盗み寄生が見られる場所だ。7月以降、姿が見られなかったが、本日、久しぶりに再会した。足指が黒と黄色のまだらなので区別がつく。あいかわらず釣り人のまわりをうろついていたが、1時間ほどのあいだに、これといった盗み寄生は見られず。たまに子供が投げる小魚にとりついていた。
 近くの緑地で、ホトトギスの花にホウジャクが吸蜜にやってきていた(写真)。以前、ほかの場所でもホトトギスの花にやってきていたので、ホウジャクはこの花の蜜を好むようだ。せわしなく飛びまわりながら、せっせと吸蜜していた。吸蜜の様子は、ハチドリのそれととてもよく似ている。
2022年10月15日(土) 論文2編の受理や公開

投稿中の論文2編が受理/公開された。

Yi, K., Zhang, J., Batbayar, N., Higuchi, H., Natsagdorj, T., and Bysykatova, I.P. Using tracking data to identify gaps in knowledge and conservation of the critically endangered Siberian crane (Leucogeranus leucogeranus). Remote Sensing 14, 5101.https://doi.org/ 10.3390/rs14205101

Fujita, K., Fujita, G. and Higuchi, H. (accepted). Ecological determinants of inter-island distributions through occasional dispersals of two closely related species, Varied Tits and Japanese Tits, in a volcanic archipelago, the Izu Islands, Japan. Ornithological Science

1つ目の論文は、希少種ソデグロヅルの渡りと保全を扱っている。若い個体は最初の繁殖期にロシアの繁殖地に向かわずにモンゴルで越夏することや、越冬地ポーヤン湖の保全上の重要性が再認識されたことなどを明らかにしている。2つ目の論文は、伊豆諸島各島におけるヤマガラとシジュウカラの分布について述べている。2種が共存する島は面積が大きく、植生の多様性にも富んでいることなどを明らかにしている。

2022年10月1日(土) モズとヒガンバナ

 きょうから10月。朝晩涼しくなったとは言え、日中はまだ30℃にもなる日が続いている。
 しかし、横浜や湘南地方では、野辺にヒガンバナが咲き誇り、梢ではモズが高鳴きをしている(上の写真)。初秋の趣きが伝わってくる。
 本日は横浜南部、金沢文庫の称名寺を訪ねた。中学/高校時代によくやってきた場所だ。今でも時折、夫婦で訪れている。池畔に咲くヒガンバナが、赤い太鼓橋とともに緑の景色の中に映えていた(下の写真)。池の水面をツバメが飛びかい、岸辺にはハクセキレイやアオサギ。まだ、カモたちはやってきていない。
 駅までの帰路、カフェに立ち寄る。母娘で営むところだが、思いもかけず母の女性は中学、高校の一年先輩だった。中学時代、一学年19組ほどもあったこと、共通の知り合いや世話になった先生のことなど、60年ほど前の話に花が咲いた。思い返せば、たしかにこのあたりは、同級生が多数住んでいた地域だ。





2022年9月25(日)、26日(月) コムクドリの大群飛

 熊本の知人の案内で、渡り中継中のコムクドリの観察に出かけた。これまでのジオロケターを利用した調査で、本州中部の繁殖地を出発したコムクドリが、最初に長期滞在するのが熊本などの九州中~南部であることはわかっていた。知人らの観察はそれを見事に裏づけるもので、この時期、コムクドリはこの地で1~2週間ほど滞在する。
 現地では、日中はどこにいるのかはっきりしないが、夕刻になると数百羽単位の群れが次から次へと現れ、延べ数万羽の鳥が大空を群飛する。今回は今年最大のスペクタクルであったようで、推定で6万5千羽ものコムクドリが、大空を黒雲あるいは巨大な竜のようにうねりながら飛びまわった。壮観の一語につきる光景だった。
 写真も動画も多数撮影できた。ここに動画を載せられないのが残念だ。
 郊外の野辺にはヒガンバナが咲いていたが、興味深いことに、川原のあちこちにはまだハグロトンボが飛びかっていた。


2022年9月24日(土) いちかわ市民ミュージカルNEXT~いちかわ黄金伝説~を鑑賞

 会場は、千葉県の市川市文化会館大ホール。鑑賞の主な目的は、6つのエピソードのひとつ、「よみがえれ新浜」伝説を観ること。1960年代後半、日本最大のシギ・チドリ渡来地、新浜を開発から守るための運動が展開された。「よみがえれ新浜」は、その活動をテーマにしたもの。当時、新浜を守る会が結成され、蓮尾純子さんらが中心になって活動を展開、自然保護運動の先駆けとなった。ミュージカルでは、当時の写真を背景に、運動に対する厳しい反対のなか、活動が市川から全国に拡がっていく様子が演じられていた。
 この活動が展開されていた当時、私は学部生から大学院生。シギ・チドリ類の観察のため、新浜には頻繁に通っていた。干潟や内陸湿地では、今では想像もつかないほど多数のシギ・チドリが見られたが、埋め立ては急速に進んでいた。蓮尾さんたちの活動には参加しなかったが、側面からの応援はしていた。ミュージカルを観ながら、当時のことがいろいろと思い出された。

2022年9月15日(木)~17日(土) 三宅島

 夏の終わりの三宅島。まだ暑い日々が続いている。森の中に鳥の姿はまれ。メジロ、ヒヨドリ、アカコッコ、コゲラ、キジバトなどがちらりほらり。到着直後、研究ステーションの上空をチョウゲンボウが飛んでいた(上の写真)。向かい風を受けて、空中の一点にとどまっている様子が見られた。
 ヤブツバキが実をつけている(下の写真)。今年は実のなりがよくないとのことだが、それなりにあちこちで見られる。知人宅では椿油をつくるため、軒先でたくさんの実を干しているが、そこにカラスバトがやってくるとのこと。ただし、この時期、島のどこに行っても、カラスバトの姿や声は確認できない。
 きょう17日早朝、村内放送。海況がよくないため定期船は八丈島には行かず、朝7時半に三宅島を折り返し出港予定とのこと。急いで荷物をまとめ、知人の車で港に急行。どうにか乗船できた。九州方面に向かっている巨大な台風14号の影響とみられる。





2022年9月10日(土) 中秋の名月

 きょうは中秋の名月。晴れた夜空にくっきりと満月が浮かんだ(写真)。まだ日中は30℃前後の暑い日が続いているが、季節は確実に移り変わりつつある。セミの声は完全に下火になり、夜にはアオマツムシの声が響きわたる。鳥はあいかわらず、なりをひそめているが、キビタキやコルリなどの夏鳥の南下が各地で報告されている。
 最近は、野外観察は控えめにし、秋の学会大会の発表準備や論文執筆、来春発行予定の翻訳書関連の仕事などに時間を費やしている。静かな時間が流れている。

2022年8月31日(水) ナンバンギセル

 春以来の神奈川県立四季の森公園。ミンミンゼミ、アブラゼミ、ヒグラシなどのセミの声が響きわたる。鳥たちは換羽中からか、ひっそり。ハシボソガラスだけが、口を開けながらもあちこち動きまわっている。
 切り通しの崖にナンバンギセルが花をつけていた。ナンバンギセルはススキなどの根に寄生する植物。花は赤紫色(写真)。夏の植物だ。
 きょうで8月も終わり。少しのあいだ、涼しい日が続いていたが、きょうはまた猛暑。超大型の台風11号が沖縄方面に接近している。


2022年8月9日(火)、10日(水) 大阪

 環境関連の仕事で、大阪北部の、兵庫県と接するあたりを訪れた。草原や森林からなる環境で、河川も流れている。ヒバリ、スズメ、ツバメ、コシアカツバメ、ハシボソガラス、チョウゲンボウ、ケリ、カワウ、コサギ、ダイサギなどを観察。
 夏の盛り、夏休み期間中、連休前ということもあり、街なかはたいへんな混雑。コロナ禍がおさまっていないというのに、恐ろしいくらいのにぎわいだった。




2022年7月26日(火)~8月1日(月) ハリオアマツバメの生態調査

 3夏ぶりに、北海道南部でハリオアマツバメの生態調査を行なった。巣箱内での繁殖状況の確認、局地移動追跡用のGPSタグの装着、長距離の渡り追跡用のジオロケーターの装着、DNAによる個体間関係解明のための血液採取、給餌物の採取、ドローンによる飛翔昆虫の採取など、いろいろなことに取り組んだ。東大時代の研究室OB/OGや地元研究者らとの共同研究だ。
 調査はすべて順調に進み、たいへん有意義な時を過ごすことができた。共同研究者との久しぶりの顔合わせということもあって、いろいろな情報交換も進んだ。気のおけない仲間との交流は、常に楽しいものだ。
 現地では、ハリオアマツバメ以外に、ハシブトガラ、ゴジュウカラ、イワツバメ、ヒヨドリ、アカハラ(上の写真)、ベニマシコ、ハイタカ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、コアカゲラ(下の写真)、キジバト、アオバト、カワウ、カワアイサなどを観察することができた。アカハラがキョロン、キョロン、チュリーではなく、キョロン、チュリーと単純にさえずっていたのが印象的だった。
 現地の気温は早朝15~18℃、日中は30度℃ほど。湿気が少なく快適だった。 

2022年7月11日(月) 生長したカルガモのひななど

 すまい近くの緑地。夏空のもと、カルガモ親子がくちばしを水際の落ち葉の中に差し入れ、さかんに採食していた(写真)。ひなの数は9羽、ひなとは言え、ふ化後2か月ほどたっているので、外観は親鳥とほとんど変わらない。9羽ものひなが、よくこの時期まで生き延びたものだ。
 まだアブラゼミやミンミンゼミの声は聞かれない。梅雨が早く開けて夏にはなったが、セミの生物季節にはまだ至ってないようだ。
 水辺では、ミソハギ、ノカンゾウ、キンシバイなどの花が咲いている。キンシバイの花は、5月ころから咲いている。


カルガモの親子。右下の一羽が雌親。



大きなオイカワを捕らえたササゴイ


小さな木片を疑似餌に使うササゴイ
2022年6月29日(水)~7月1日(金) 熊本でササゴイの観察など

 酷暑の中、熊本市内でササゴイの投げ餌漁、脊梁山脈でシカによる森林への食害、阿蘇の草原などを見てまわった。
 ササゴイの投げ餌漁は、葉、小枝、昆虫などを使った例が観察できた。ただし、8年ほど前まで見られたものと比べると、全般的に成功率が低かった。比較的よく観察できた個体に、ハネオ君という名前を付けた。翼の一部が折れて垂れ下がっている個体だ。今後、地元の研究者によってこの鳥の行動が継続観察されることになるだろう。   
 脊梁山脈では、シカによる食害がひどく、林床の植物が消失しているだけでなく、高木まで倒れて森林そのものが崩壊している地域がある。結果、多くの地域からウグイス、コマドリ、ソウシチョウなどが姿を消している。かつてブナ林の最優占種だった外来種のソウシチョウは、現在は低地の林に移動している。
 阿蘇では、広大な草原でセッカ、ホオジロ、ホオアカ、コジュリン、ヒバリ、カッコウ、ホトトギス、哺乳類のテンなどを観察した。草原の景観はあいかわらず美しかったが、火入れをふくめた草原の維持、管理が将来への大きな課題になっているようだった。
 3日間、地元の方々にはたいへんお世話になった。おかげで、いろいろな情報収集、情報交換ができ、有意義な時を過ごすことができた。とても感謝している。

2022年6月28日(火) 梅雨明け後、青梅・奥多摩方面

 昨日、関東は梅雨明けとなった。史上最速とのこと。たしかに、梅雨入りしてからわずか数週間で明けたことになる。3日ほど前から猛暑が続いている。
 本日は、知人の案内で青梅・奥多摩方面を散策。青梅丘陵ハイキングコースを歩き、川合玉堂の美術館を訪ね、最後はかんぽの宿青梅で入浴。青梅丘陵では、キビタキ、ヤマガラ、シジュウカラ、ガビチョウ、クマタカなどを観察。玉堂美術館では、多摩川の清流や生きものを愛した玉堂の手になるヤマガラ、クロジ、ゴイサギ、あるいはかつての鵜飼いの絵を堪能。かんぽの宿では、最上階の大浴場から青梅の市街地を眺めつつ湯ったり気分を味わった。
 猛暑の中ではあったが、すばらしい一日を味わうことができた。

2022年6月14(火)、15日(水) 戸隠

 梅雨空のもと、長野県の戸隠で自然観察を楽しんだ。小雨に濡れたブナやミズナラの森は、緑に輝いていた。
 鳥はアカハラ、コルリ、キビタキ、アオジ、ホオジロ、ノジコ、ヒガラ、シジュウカラ、エナガ、ゴジュウカラ、ミソサザイ、ニュウナイスズメ、キセキレイ、イカル、カワラヒワ、サンショウクイ、ツツドリ、ホトトギス、ジュウイチ、カイツブリ、カルガモなどを観察。とくに、アカハラ、キビタキ、ノジコ、ツツドリ、ホトトギスのさえずりが耳に残った。
 植物は、クリンソウ(写真)やタニウツギ、ケナシヤブデマリ、ヤマオダマキなどが花盛り。「八十二森のまなびや」の庭には、希少植物のヤマシャクヤクやサルメンエビネなどが花をつけていた。どれも初めて見るもので、興味深かった。





2022年6月9日(木) コサギの盗み寄生

 今年2月16日に書いたコサギの盗み寄生にかかわる採食行動。その後、今日に至るまで継続的に観察している。これまでにわかったことは以下の通り。
 ★観察対象にしているコサギは、横浜北部のこの公園を頻繁に訪れている。足指の色模様から、特定の1羽と判断できる。
 ★冬から春にかけては、日中ほとんどの時間をこの公園で過ごしている。4,5月には訪問頻度や滞在時間が減少。その後、また増加。
 ★釣り人のあいだを移動しながら、釣り人の釣果をねらい、隙あらば容器から盗み取る→盗み寄生。
 ★特定の複数の釣り人から、ときおり小魚をもらう。
 ★盗み寄生によっても給餌によっても得られないときには、自分で池の浅瀬をめぐりながら採食する(上の写真)。捕らえる魚は、大部分がモツゴ、通称クチボソ。盗んだりする魚も同じ。
 ★上記以外にも、足をふるわせて魚を追い出したり、トンネル水路に頭を差し入れ、暗闇の中で魚をねらったりと、採食方法は多様。

 本日の観察では、釣り人や釣果には目をくれず、自分でせっせと歩きまわりながら採食していた。午後早い1時間半ほどの間で、ちっちゃな小魚20数匹、ヘラブナの幼魚と思われる小魚(下の写真)を2,3匹、捕らえるのに成功した。育雛期なので、悠長に盗み寄生などしていられないといったところか。
 いろいろ興味深いことがわかってきている。

2022年6月5日(日) ヨウジ健在!新しい奥さんと子供たち

 昨日、久しぶりに横浜の弘明寺公園を訪れた。妻が同行。広場の水場付近にハシボソガラスの一家族がおり、見ていると一羽の成鳥が、下の蛇口にくちばしを差し入れるようにして水をすすっていた(上の写真)。あの、ヨウジの行動だった!ほかの様子からも、ヨウジにまちがいないようだった。ヨウジは新しい奥さんをもらい、子育てに忙しくしていたのだった。
 ヨウジ一家は広場一帯を動きまわりながら、炎天下、時おり地上で、みなで次々に翼を広げ、日光浴をしていた(下の写真)。アフリカのクロコサギが採食のさいに見せる行動のように。こんな光景を見るのは初めてだった。
 帰路、弘明寺商店街にある絵本の専門店「クーベルチップ」に立ち寄った。『鳥博士と天才カラス』が置いてあり、店主の中村裕子さんたちと楽しい会話を交わした。
 弘明寺商店街は、昭和の面影を色濃く残す興味深い場所。ある喫茶店に入ったところ、「北上夜曲」や「四季の歌」」など、昭和のなつかしい曲が絶えることなく流れていた。妻ともども、ちょっと涙した。
 本日、もう一度、弘明寺公園を訪れた。水場での行動をもっとしっかり見るためだった。ヨウジをふくめて、やはり水道の栓をまわす個体はいなかった。







2022年5月30日(月) 三宅島の初夏の鳥たち

 昨日ともによい天気が続いている。研究ステーションのまわりには、アカコッコ(上の写真)、コマドリ、イソヒヨドリ、イイジマムシクイ、ウグイス、ウチヤマセンニュウ(下の写真)、ホトトギス、カラスバト(トップページの写真)などが生息しており、早朝、これらの鳥のさえずりで目がさめる。なんとも贅沢な話だ。とくに、ウチヤマセンニュウ、ホトトギス、カラスバトがにぎやかだ。夜には、ホトトギスやアオバズクの声が聞かれる。
 今回は、シンポジウム参加と合わせて、植物などの研究者と調査地めぐりを行なった。とくに、シイノカシナガキクイムシによるスダジイへの食害の状況や、ヤマガラによるエゴノキやスダジイの種子散布の様子などを見てまわった。シイノカシナガキクイムシによるスダジイへの食害は数年前から目立つようになり、局地的にではあるが、樹木全体を枯らしてしまうほどの被害を生じている。
 植物の世界は、ガクアジサイが島のあちこちで清楚な花を咲かせている。初夏のすばらしい風景をつくり出している。昨年あたりから、外来のタカサゴユリがものすごい勢いで拡がり、この時期、たくさんの白くて大きな花をつけている。

2022年5月29日(日) 三宅島で講演

 科学研究費補助金による研究成果の報告を兼ねた公開シンポジウムが三宅島で開かれ、講演した。シンポジウムのテーマは、「噴火を生きぬく島の鳥と自然 ―2000 年噴火が鳥たちに与えた影響と回復―」、私の講演の演題は「三宅島の鳥の世界、その興味深い生態と行動」だった。私以外に3名の演者が、三宅島の噴火後の鳥類や生態系の回復状況などについて話した。会場は、三宅村文化会館(リスタホール)。
 対象は島民や観光客などで、民宿の主人やツアーガイドなどの方々をふくめて、多くの方が参加していた。噴火前後の鳥の世界を広く知ってもらうよい機会だった。

2022年5月28日(土) カイツブリの親子など

 横浜北部のとある公園、3か月ぶりに出かけた。カイツブリの親子(上の写真)、カルガモの親子、オナガ(下の写真)の小群などがよく観察できた。カイツブリは4羽の子連れ、親鳥がせわしなく潜りつつ、小魚や貝類のようなものを採ってひなに与えていた。カルガモの親子は、ひなが1羽だけ。ほかの多くのひなは、カラスなどの捕食にあってしまった模様。
 どちらの親子も、人おじせず、彼らを見るのに集まった人のすぐそば、1~2mのところまでやってきていた。どちらのひなもとても愛らしく、多くの人が関心を寄せていた。
 池にはほかに、子を連れていないカルガモのつがいが3組ほど、それにマルガモの雄が1羽いた。マルガモは、時おりカルガモに追われていた。
 オナガも繁殖期に入っている様子。池のまわりの木々のあいだや地表をあちこち飛びまわっていた。いつもの年だと、付近にツミがいるのだが、今年は見あたらない。
 池の水面には、白やピンクのヒツジグサの花々。周囲の緑の景色に彩りをそえている。





2022年5月24日(火) 葉山森戸川流域

 このところ、好天が続いている。蒸し暑く、すっかり初夏の気配、というか梅雨時の感じ。この時期3度目の森戸川流域の森林。オオルリ(写真)、センダイムシクイ、サンコウチョウ、ウグイス、ガビチョウなどのさえずりが響きわたる。ただサンコウチョウなどは、繁殖が進行したためか、さえずりは控えめ。
 渓流沿いの森林空間には、多数の淡色昆虫が飛び交っている。これらが、オオルリやサンコウチョウの食物になるのだろう。
 季節の移り変わりは早い。野山の緑は濃さを増し、ウツギやニリンソウ、ヤマブキやエゴノキなどの花は消え、ホタルブクロやハコネウツギの花が目立ってきている。

2022年5月18日(水) カルガモ親子

 すまい近くの緑地の池。4,5日前にふ化したひなが、雌親とともに元気に過ごしている。ただし、ふ化時に13羽いたひなは、10羽に減少している。ひなの動きはとてもすばやく、ちょこちょこと、あちこち泳ぎまわる。なんとも愛らしい。
 この親子のいるところ、常に人だかりができる。それでも、親子はたいして気にせずに過ごしている。ただし、近づきすぎたり、追いかけたりするのは避けたいもの。
 近くの木立ちでは、アオゲラがさかんにドラミングしている。大きな音なので、道行く人は、みなおどろいている。ピョーという大きな声も響きわたる。



2022年5月17日(火) 『鳥博士と天才カラス』の出版

 水道の栓をまわして水を飲んだり浴びたりするカラスの話が、絵本になった。
 
     作:樋口広芳
     絵:おおたぐろまり
     出版社:文一総合出版
     定価:1,980円(税込み)
     https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784829990162
     
 前著『ニュースなカラス、観察奮闘記』(2021年、文一総合出版)の中で紹介した内容をもとに、子供向きの絵本としてまとめた。絵は、絵本作家・イラストレーターの大田黒摩利さんに描いていただいた。大田黒さん、編集の高野丈さん、ブックデザイナーの椎名麻美さんとともに、楽しい絵本づくりを経験した。すてきな絵と構成の本になっている。
 一般書店での販売は5月25日だが、ネットではすでに予約販売が始まっている。

2022年5月15日(日) カルガモ親子の登場

 すまい近くの緑地の池に、カルガモのひなが親鳥とともに現れた。ひなは全部で13羽。昨年と同じ場所、登場の時期もほぼ同じ。
 道行く人がみな、わぁ、かわいい!などと言って集まってくる。たしかに、ひなたちは小さい毛玉のようだし、ちょこちょこ動きまわる動作がとても愛らしい。親鳥のあとを一斉に泳いでついていく様子など、人を幸せな気分にさせてくれる。ただ、人がたくさん集まりすぎ、また子供が至近距離まで近寄ったりして、ちょっと心配だ。
 池のほとりでは、キショウブの花が満開。カルガモ親子は、毎年、このキショウブの花が咲く時期に現れる。林縁にはヤマボウシの花(総苞片)。初夏の趣きになってきた。


2022年5月12日(木) かわさき市民アカデミーで講義

 かわさき市民アカデミーの講座「SDGs時代の環境・みどり・防災」の1回分の講義で、「カラスと人間生活―ニュースなカラスの事件の真相ー」について話した。会場は川崎市生涯学習プラザ。
 内容は、水道の栓をまわして水を飲んだり浴びたりする、車にクルミをひかせて割る、石鹸やろうそくをもち去り、かじって食べる、都心にみずからビワ園をつくる、などのカラスの興味深い、あるいはこまった行動や、そうしたことを可能にするカラスの知能の秘密など。シニア層の方が対象だが、みなとても熱心に聞いてくれていた。
 川崎市生涯学習プラザは、最近人気の高い武蔵小杉の街なかにある。かわさき市民アカデミーは、いろいろな講座を開いているが、市民が講座の開催に積極的にかかわっているのが特徴。とてもよい学びの場になっている。




2022年5月8日(日) 都心のハシボソガラス

 大型連休の最終日、知人の案内で東京の葛飾区青砥(青戸)にカラスの観察に出かけた。中川沿いの静かな住宅地。高層マンションがいくつか立っているが、全体として開けた環境。環境から予想されるとおり、ハシボソガラスが何羽かすみついていた(上の写真)。東京23区内ではめずらしい。
 一つがいのハシボソが、高圧鉄塔の上部、地上20mほどの高所に営巣していた(下の写真)。巣材の多くは針金ハンガー。つがいの行動圏は、この巣を中心に半径100~150mほど。地上の草地などで採食していた。
 近隣住民からの情報によると、このカラスが木の実を車にひかせて割っているとのこと。今回は、車利用行動は見られなかったが、カラスがハシボソであること、交通量がそれほど多くない道路に信号があることなどから、情報は確かなようだ。付近にオニグルミの木は見られなかったが、セイヨウトチノキが何本か植樹されている。この堅い実を車にひかせているのかもしれない。
 東京23区内でのカラスによる車利用の例は、これまで知られていない。今後、きちんと確かめる必要がある。

2020年5月5日(木) 「ピンチガラス」の巣

 三浦半島の久里浜で、「ピンチガラス」の巣を見つけた。街なかの電柱上につくったハシボソガラスの巣で、針金ハンガー、プラスチックハンガー、針金などに混じって洗濯ばさみ(ピンチ)がしっかり使われている(写真)。
 巣は積み重ね式で、土台にハンガーや針金などを多用し、その上に枝を積み重ねてある。洗濯ばさみはあちこちに挟まれており、ほかの巣材をからめたり、押さえたりするのに役立っているように見える。
 それにしても、この巣、電柱上でいかにも停電を起こしそうな気配だ。今のところ問題は起こしていないようだが、これからの雨の季節、ちょっと危ないかもしれない。





2022年5月4日(水) 多摩川河口のチュウシャクシギ

 好天のもと、川崎側の多摩川河口を訪れた。この時期、チュウシャクシギやキアシシギ、アオアシシギなどのシギ類が立ち寄る場所だ。
 この日は、チュウシャクシギの小群をじっくり観察できた。ただ、まだ渡来してまもないためか、ちょっと警戒心が強く、静かにあたりを見つめている個体が多かった(上の写真)。一部の個体は、水際を活発に歩きながら、くちばしを砂泥の中に突っ込み、カニなどを捕らえていた(下の写真)。くわえたカニは、少し振りまわしたのち、丸飲み込み。
 シギ類はほかに、上空を通過するアオアシシギのみ。シギ類以外では、コサギ、アオサギ、カワウ、ウミネコ、カルガモ、ムクドリ、メジロなど。オオヨシキリはまだ渡来していない。コアジサシの姿も見えず。
 大型連休中とあって、干潟や水辺では潮干狩りや釣りをする人の姿が目立った。また、向かいの羽田空港から次々に飛び立つ飛行機を撮影する人も目についた。

2022年5月3日(火)最後まできちんと食べよう!

 横浜市金沢区の野島。一羽のハシブトガラスが、プラスチック製の弁当殻の内側を丹念に突いていた。くちばしでうつわを器用にまわしながら、残りかすを突いたり、そぎ落としたりする。
 見た目には何も残っていないようなのだが、カラスは10~15分ほどのあいだ、何度も何度も同じ行動を繰り返していた。つがいの相手が近づいてくると、その場を離れ、同じことを繰り返す。丸形の弁当殻なので、おそらく中身は牛丼か何か。油味がたまらなかったのだろうか。
 大型連休の中ほどのこの日、この野島から「海の公園」までの沿岸には、潮干狩りなどの行楽に訪れた人でにぎわっていた。バーベキューを楽しむ人の上空には、何羽ものトビが集まり、急降下して食べ物を奪っていく。カラスは人のまわりをうろつき、残飯などをついばむ。
 そんな状況の中で、例のカラスは弁当殻をくわえ去り、内側にへばりついたものを丹念に食べていたのだろう。食べ物は残さず、最後まできちんと食べよう、とでも言いたげに!



2022年4月27日(水) 三宅島

 昨晩は暴風雨。午前中に風雨がおさまり、島南部の太路池の森へ。イイジマムシクイ、アカコッコ(写真)、コマドリ、ミソサザイ、シジュウカラ、メジロ、ヒヨドリ、カラスバト、ダイサギなどを観察。常連のはずのヤマガラの気配がない。ここ数年、島全体でも減少が目立っている。
 午後は、島の東部にある研究ステーション周辺で調査。今年は敷地内のやぶにコマドリがすみつき、さえずっている。屋根の上はイソヒヨドリのソングポスト。アカコッコやカラスバトは、少し離れた椎取神社方面の森にいる。ウチヤマセンニュウはまだ渡来していない。

2022年4月26日(火) シイノトモシビタケやホタルの観察

 昨晩は仲間の案内で、八丈島の森のナイトウォッチに出かけた。照葉樹林では、シイノトモシビタケを観察。暗闇の中で、ほのかな青白い光をともしていた。この小型のキノコは、1950年に八丈島ではじめて発見され、その後、日本南部のいろいろな地域からも記録された。日本の固有種。スダジイの枯れた幹、樹洞、根もとなどに出る。
 森の中では、トラツグミやアオバズクが鳴いていた。
 水辺では、ホタルの発光を観察。島にはゲンジボタルもヘイケボタルもいる。どちらも人が持ち込んだものに由来しているが、定着している。本州からすると早い時期の発光、幼虫のもののようだ。種は不明。
 本日、26日には三宅島に移動。

2022年4月25日(月) 八丈小島でクロアシアホウドリの調査

 不安定な天気が続く中、この日に焦点をあて、ころよく渡島。繁殖妨害を防ぐ上陸制限下での特別な繁殖調査。八丈本島の研究仲間3名が同行。
 島内のあちこちから、ピーピーとけたたましく鳴く声が響く。成鳥の姿、ひなの姿も昨年よりさらに目立つ。今期、クロアシの産卵つがい数は100以上、若鳥をふくむ成鳥数は最大で250ほどか。安定した繁殖地になりつつある。繁殖域も徐々に拡がってきている。
 若鳥は数羽から20羽ほどの群れになっている(上の写真)。しばしばピーピー鳴きながら、活発に求愛行動を行なっている。4月上旬までの求愛行動と異なり、雌雄それぞれが広げた翼を固定させ、頭を振りながらくちばしを脇につける行動を見せている。成熟した求愛行動と言える。
 一雌の産卵数は1なので、一巣のひな数も1(下の写真)。ひなはまだふわふわの綿羽に包まれているが、翼や背の羽毛が伸びてきている個体もいる。巣に戻ってきた親鳥は、ひながくちばしを突つくのに反応してくちばしを開け、液体状のものを吐き戻そうとする。ひなは親鳥のくちばしの中にくちばしを差し入れ、それを飲み込む。もっとも、ひながさかんにくちばしを突つくのに、親鳥はすぐには与えないことも多い。
 繁殖地周辺には、アカコッコ、コマドリ、イソヒヨドリ、メジロ、ヒヨドリ、ミソサザイ、カラスバトなどもいて、にぎやかだ。





2022年4月23日(土) 森戸川源流の森

 久しぶりの好天のもと、葉山の森戸川流域の森に出かけた。毎年、この時期に訪れている場所だ。
 まばゆい新緑の木々のあいだで、オオルリ、キビタキ、センダイムシクイ、メジロ、ウグイス、ガビチョウなどが見聞きできた。川沿い1.5㎞ほどのあいだに、オオルリ5,6羽、センダイムシクイ4,5羽、キビタキ1羽、ガビチョウ4,5羽がさえずっていた。ただ、姿は新緑の枝葉のあいだに隠れていて、十分に見ることはできなかった。
 植物は、ウツギ(写真)やニリンソウの白い花、ヤマブキの黄色い花、薄紫のフジの花などが映えていた。
 マスクは手ばなせなかったが、森の中でははずし、快適な散策と観察を楽しむことができた。
 追記。サンコウチョウは4月30日に囀りを確認。

2022年4月21日(木) 「マルガモ」とカルガモの遭遇

 すまい近くの緑道沿いの水路には、カルガモが5,6つがいすみついている。そのうちの2つがいでは、雌が抱卵に入ったと思われ、雄が単独でくらしている。本日、そのうちの1羽のもとに、どこからともなく「マルガモ」が飛来した。
 マルガモとは、マガモとカルガモの雑種の通称。きょうのマルガモは雄で、くちばしと背中の色がカルガモ由来、その他はマガモに似ていた(写真)。
 マルガモはカルガモに近づいていき、ちょっと小競り合いがあった。2羽はしばらく、つがず離れずにいたが、10分くらいしてマルガモの方が飛び去って行った。
 この付近には、ハシボソガラスも5,6つがいすみついている。かれらも雌が抱卵に入っているため、雄が単独でくらしているのが目につく。



2022年4月19日(火) 新緑の季節

 季節の移り変わりは早い。湘南地方では、すでに野山が新緑に彩られている。木々の種類や個体によって緑の色合いが異なり、美しいパッチ模様をつくり出している。竹林では、タケノコがにょきにょき出始めている。
 緑地や公園では、ハナミズキの白い大きな総苞片(花のように見えるもの)や、ヤマブキの黄色い花などが目立っている。
 夏鳥は、オオルリが渡来し始めている。キビタキが少し遅れ、サンコウチョウは5月初めころか。
 写真はハナミズキ。

2022年4月8日(金) 新緑始まる

 サクラの花が散り、早くも木々が新緑を見せ始めている。すまい近くの緑地では、タチツボスミレ、シャガ、ヤマブキなどの花が咲いている。
 鳥の世界は、冬鳥の多くが去り、夏鳥の渡来を待つ状況。オオルリやキビタキ、センダイムシクイなどは今、東南アジアや南西諸島を北上中なのだろう。じきに、新緑の中に姿を現し、さえずりが響きわたるはず。
 いよいよ、本格的は春がやってくる!



2022年3月29日(火) ソメイヨシノ満開

 湘南地方では、ソメイヨシノが満開となっている(写真)。街中の並木、野山の田園で、美しい光景をつくりだしている。いよいよ春がきた!といったところ。
 すまい近くの公園の池では、オナガガモやオオバンなどがすっかり姿を消した。北へと旅立って行ったのだろう。代わりに、カルガモのつがいが目につく。まだ産卵には早い模様。
 駅近くのクスノキの樹上では、ハシボソガラスが抱卵中。昨年の場所から15mほど離れたところ。昨年の巣とは違って、観察には向いていない。

2022年3月27日(日) スミレの花など

 すまい近くの緑地で、タチツボスミレの花が咲き始めた(上の写真)。淡青色の可憐な花が、林床や林縁のあちこちで見られる。春の野辺の花が、出そろった感じだ。
 暖かな日差しのもと、サクラの木の下で憩う人々の姿が目立っている。ヤマザクラ、オオシマザクラ、ソメイヨシノ、どれも見ごろ。コロナ禍は依然としておさまっていないが、人々の心は春気分。
 緑地内のちょっとした広場では、野外音楽会が開かれていた(下の写真)。木琴を中心にいくつかの楽器を用いて、唱歌からジャズまでを演奏。親子連れの人たちが、のんびりと耳を傾けていた。

 ロシアのウクライナ侵攻は、依然として続いている。北部、東部、南部の多くの街は、壊滅状態。多くの市民が命を落としている。国際社会の厳しい目が、、ロシアに注がれている。ロシアは、こんな残虐で正当性のない戦争を、いつまで続けるつもりなのか。





2022年3月25日(金) サクラ、そろそろ見ごろ

 20日に東京都心でのソメイヨシノの開花発表があったが、湘南地方では現在、2~4分咲き(写真)。暖かな日と肌寒い日が交互にやってきているので、一気に満開ということにはなっていない。ヤマザクラやオオシマザクラは、ところによっては見頃を迎えている。
 野山を歩くと、あちこちでコブシの白い大きな花がきわだっている。が、こちらはそろそろ盛期をすぎている。春は、かけあしでやってきている。
 もうすぐ4月。南から、オオルリやキビタキなどの夏鳥がやってくるのもまぢかだ。

2022年3月20日(日) 鳥の渡り関連論文の出版

今年に入ってから、以下の3編の論文を出版している。いずれも、衛星追跡を利用した内容。

Condro, A. A., Syartinilia, Higuchi, H., Mulyani, Y. A., Raffiudin, R., Rusniarsyah, L., Setiawan, Y., and Prasetyo, L. B. 2022. Climate change leads to range contraction for Japanese population of the Oriental Honey-Buzzards: Implications for future conservation strategies. Global Ecology and Conservation 34: e02044.
https://doi.org/10.1016/j.gecco.2022.e02044
ハチクマの繁殖地や越冬地の生息分布域が、地球温暖化によって今世紀後半までに最大20%程度縮小する可能性があることを明らかにしている。また、渡りの総延長距離は増加する可能性があることについても述べている。

Syartinilia, Mulyani, Y. A., Makalew, A. D. N. and Higuchi, H. 2022. Modeling the wintering habitat distribution of Oriental Honey Buzzards in West Java Indonesia with satellite tracking data using logistic regression. HAYATI Journal of Biosciences 29:9-21.
https://journal.ipb.ac.id/index.php/hayati/article/view/38696/22554
小著『鳥たちの旅』(NHK出版、2005)で紹介したハチクマの「あずみ」の位置情報にもとづき、インドネシア・ジャワ島西部での越冬環境や越冬分布を推定した論文。

Hijikata, N., Yamaguchi, N. M., Hiraoka, E., Nakayama, F., Uchida, K., Tokita, K. and Higuchi, H.?2022. Satellite tracking of migration routes of the eastern buzzard (Buteo japonicus) in Japan through Sakhalin. Zoological Science 39(2),
https://doi.org/10.2108/zs210071
ノスリの春秋の渡りを本州西部・サハリン間で追跡した結果。

2022年3月17日(木) 早春の花々

 横浜市北部の里山。暖かな日差しが降りそそいでいる。
 ウメに続き、モモの花が見ごろ。コブシやキブシの花も目立ってきている。林床には、カタクリの花(上の写真)。早春の花々が勢ぞろいしている感じ。ただ、スミレの花はまだ。
 ウグイスやシジュウカラのさえずりが、あちこちから聞こえてくる。満開のモモの木に、キジバトが一羽でただずんでいる(下の写真)。つがいの一方は抱卵中か。鳥の世界も春模様。

 昨晩、宮城・福島方面で大きな地震があった。最大震度6強、マグニチュード7.4。この地域では、11年前の大震災以来、散発的に大きな地震が発生している。少なからず気がかりだ。




2022年3月15日(火) ロシアのウクライナ侵攻

 2月24日以来、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が続いている。ウクライナ国内の多くの都市や空港、原発施設などがロシア軍によって攻撃され、甚大な被害が生じている。
 ロシアはこの戦争を開始、継続することの理由として、以下のことをあげている。もともと一つであるウクライナとロシアをもとに戻す、NATO(北大西洋条約機構)による東側への進出を食い止める、ウクライナ国内で迫害を受けているロシア人/親ロシア派住民を守る、生物化学兵器をアメリカと一緒になって開発、製造しているのを阻止する、などだ。
 しかし、どれも正当な理由になっていないし、正当化するために不当な理由をつくりあげているとしか思えない。なによりも、なんの罪もない多くの人々を殺傷するする理由にはまったくならない。
 今後、戦況はどう展開していくのか、終わりをどう迎えられるのだろうか。まったく道筋が見えない。これから先、どれだけ多くの人の命が失われるのか、述べるべき適当な言葉が見つからない。
2022年3月15日(火) SUMISEI Best Bookに『ニュースなカラス』登場

 本の月刊情報誌「SUMISEI Best Book(スミセイベストブック)」4月号で、小著『ニュースなカラス、観察奮闘記』(文一総合出版)が紹介された。本の内容の紹介とともに、著者へのインタビュー記事も掲載されている。タイトルは「鳥類学者が解き明かす カラスが起こした事件の真相」(書評)、「知れば知るほど見えてくる カラスの賢さとおもしろさ」(著者紹介)。この情報誌では、毎号12冊の書籍が紹介されており、小著もそのうちの一冊となっている。
 『ニュースなカラス』は、昨年12月22日の産経新聞でも大きくとり上げられた。タイトル(著者)は、「世界一の賢さの秘密に迫る」(長辻象平)。ここでは、天才カラス「グミ」の死を悼んで詠んだ拙句も紹介された。うれしいやら、恥ずかしいやら。


2022年3月13日(日) 身近な鳥の観察図鑑の出版
 
 身近で観察できる187種の鳥に絞り、種ごとに特徴や見分け方、観察のポイントなどを紹介した図鑑が出版された。書名は『探す、出あう、楽しむ自ぢかな野鳥の観察図鑑』、樋口広芳監修、高野 丈著・写真、ナツメ社刊、税込み1,650円。同じ出版社から出ている『ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑』(樋口広芳監修、石田光史著、2015年)の姉妹書。
 識別だけでなく、生態や行動についての情報を盛り込んである。よく見られる行動や興味深い行動については、写真やイラスト、4コママンガをまじえて紹介。QRコードも付いており、読み込めば鳴き声は音声で、特徴的な行動は動画で確認できる。初心者やこれから生態・行動観察に取り組みたい人におすすめの書だ。

2022年3月11日(金) 冬の鳥、そろそろ旅立ち

 三浦半島の久里浜。ちょっと曇っていたが、暖かく春の気配。ただし、ソメイヨシノの花のつぼみはまだしっかりかたい。気象庁の予報では、あと2週間ほどで開花するとのことだが、そんな様子は見られない。が、だいたい、いつの年もそんな感じ。時期になると、ほんとうに開花する。
 菜の花、キブシの花 (下の写真)が景色に彩りを添えている。今年はどういうわけか、コブシの花がまだ見られない。昨年は3月初めにはあちこちで見られたのだが。
 ジョウビタキ(上の写真)が、冬のあいだ見られなかった場所にいた。逆に、いつもいる場所からは姿を消している。そろそろ移動が始まったようだ。
 横浜北部の公園の池では、オオバンやキンクロハジロが姿を消し、オナガガモも少数だけが残っている。かれらも、北への旅立ちを始めたようだ。





2022年3月6日(日) 春がきた!

 暖かな日差しの中、三浦半島の津久井浜を訪れた。農耕地、小川、丘陵地などが入り混じる里山的環境。
 ウメの花が満開、メジロやヒヨドリ、ツグミなどが蜜を吸いにやってくる。あちこちでウグイスのさえずりが聞こえる。一気に春の模様。ただし、風はまだ冷たい。

 津久井浜は、ミカン狩りやイチゴ狩りで知られたところ。今はイチゴ狩りの季節。多くの人が温室内のイチゴ狩りを楽しんでいる。
 立ち並ぶ温室のへりに、イチゴの自動販売機があった。めずらしいので、写真を撮っておいた。



2022年3月4日(金) ヒキガエルの交尾、産卵

 すまい近くの緑地の池で、ヒキガエルの交尾や産卵が始まった(写真)。昨年より2週間ほど遅い。まだ交尾段階のところが多いが、すでに産卵されているところもある。
 ヒキガエルが出ている場所では、コロコロコロ、コロコロコロという声が響く。交尾や産卵の様子とともに、早春の訪れを感じさせてくれる。
 新型コロナの感染者数は、多くの地域で高止まり。東京では1万数千人ほど。オミクロン株による感染が多くを占めている。いつになったらおさまるのか、見通しが立っていない。

2022年2月28日(月) 人馴れスズメ

 知人からの情報で、東京の湾岸地域に人馴れスズメがいるとのことで観察に出かけた。超高層ビルが立ち並ぶ湾岸地域、スズメは群れになってくらしていた(写真)。10羽前後のスズメが警戒心をほとんど見せず、人のあとについてくる。知人によると、足もとにまで寄ってきて、時には手に乗ることもあるとのこと。上野の不忍池などで見られるのに近い状況だ。
 人馴れスズメや手乗りスズメは、2005年ころから東京、横浜、大阪、兵庫、福岡などで、散発的に見られるようになった(樋口広芳2013.鳥・人・自然.東京大学出版会)。散発的ではあるが、ほぼ同時発生的に生じている。団塊の世代の退職にともなって、公園などで時間を過ごす人が多くなったことと関係しているようだ。



2022年2月26日(土) ヒヨドリはブロッコリーが大好き

 この時期、湘南地方ではヒヨドリによる野菜への食害が目立っている。なかでも、ブロッコリーやキャベツは大被害の模様。
 本日、横浜市南部の氷取沢(ひとりざわ)に出かけた折、1.5m四方ほどの狭いところに残るブロッコリーに、10数羽のヒヨドリが集まり、葉を次々につまみとっていた(写真)。網がかけられていたが、破れていたので出入りが自由だった。

 ヒヨドリは、冬でも通常はつがいでくらしている。が、好物が集中してあるところには、多数が集まる。廃棄されたミカンなどが山積みになっていると、あちこちから集まってきたものが50~60羽になることもある。

2022年2月23日(水) エナガの春

 冬のあいだ群れになっていたエナガが、つがいに分かれ、活発に動きまわっている(写真)。枝先から吊り下がったり、幹の表面にとりついたりしながら、何か小さなものをとっている。湘南地方では、最近、そうした光景があちこちで見られる。
 エナガの繁殖は、ほかの多くの鳥より早く始まる。もう、巣づくりを始めているつがいもいるようだ。木々がまだ葉を出していない時期から、枝上にコケで外装をつくり、内側にたくさんの羽毛を詰め込む。
 満開を迎えたウメの花には、メジロが頻繁にやってきている。じきに、ウグイスも囀り始めるだろう。春はもうすぐそこに来ている。





2022年2月16日(水) 釣り人の釣果をねらうコサギ

 横浜市北部の公園の池。10人ほどの年配者が釣りをしている。と、まったく人おじしない1羽のコサギが、一人の釣り人のもとへ。荷物の中をのぞき込む。が、魚の入っている様子はない。2度、3度と向きを変えながらのぞき込むが、やはり魚はいない模様。釣り人は、コサギには目もくれない。
 あきらめたコサギは、別の釣り人のもとに移動。そこでも荷物をのぞき込む。が、やはり魚は見当たらない。しかも、この釣り人は、足でけるような仕草でコサギを追い払う。コサギはちょっと離れるが、また荷物に近づく。そんなことを三度、四度と繰り返したのち、別の場所に移動。
 当のコサギは、この盗み寄生(kleptoparasite)によって釣果の魚を得ようとしているようだ。もっとも、この場所での釣りは、キャッチ&リリースが基本。どのくらい魚を得ることができているかは不明。いずれにしても、まったく人おじせずに、釣り人の間を行き来しているのは興味深い。
 実は、このコサギ、この池に1年以上前から出入りしている。盗み寄生の効果は不明だが、常習者であることはまちがいない。
 鳥類の盗み寄生については、オオバンが潜って取った海藻を、コクガンやヒドリガモが横取りする例などが知られている。釣り人への盗み寄生というのは、ちょっと変わっているが、とても注目される例と言えるだろう。

2022年2月12日(土) 花の思い出

 小学生の頃、植物の水栽培を試みる課外授業(?)があった。水の入ったガラス容器の口に球根を乗せ、花を咲かせるまでを見るものだ。対象となった植物は、ヒヤシンスとクロッカス。子供たちそれぞれが一つの球根を購入し、家の中で育てた。
 ヒヤシンスの球根は高価だったため、私はクロッカスの球根にした。ガラス容器も高かったので、あり合わせのガラス瓶を使った。友達がかっこよいガラス容器でヒヤシンスを育てるのを見て、少なからずひけめを感じた。
 しかし、クロッカスの球根から白い根が次々に伸び、やがて球根の上から葉が現れ、そしていくつかの黄色い花が咲く。この様子を見るのはとても楽しかったし、うれしかった。ただ、友達のヒヤシンスが複雑で美しい花を咲かせているのを見て、やはりちょっと残念だった。
 60年以上の年月が流れ、先日、機会があってヨーロッパアルプスの自然を紹介する動画を観た。何か目的があってのことではない。が、偶然にも、早春のアルプスの白い峰を背景に、クロッカスが草原一面に咲いている光景が映し出された。すばらしい光景だった。すばらしく美しい花々だった。花の色は青く、私が育てたのとは違っていたが、形は同じ。たくさんの花々が、丸みのある花弁を上向きに品よく一斉に開いていた。
 この光景を見て、子供の頃の思い出が一気によみがえった。そして、私のクロッカスはこんなすばらしい植物だったのだ、と感激した。球根は安価でガラス容器もおそまつなものだったが、そんなことでひけめを感じる必要などない、品のある美しい花を開いてくれたのだ。あの、アルプスの早春の草原に咲き誇る野生種につながるものなのだ、そんな思いがわきあがり、とてもうれしくなった。
 きょう、横浜南部の里山で、早春の花の代表、フクジュソウの黄色い花を楽しんだ(上の写真)。野辺にいくつもの花を開いていた。クロッカスの思い出と重なり、幸せな気分を味わった。 


フクジュソウ


ウメも場所によって見ごろ


2022年2月5日(土) ウミアイサなど

 横浜市南部の平潟湾から野島にかけての海岸に出かけた。お気に入りの場所だ。
 めずらしく、ウミアイサが観察できた(写真)。雌雄2羽からなるつがいが2組、どちらもさかんに潜って採食していた。ほかには、オオバン、スズガモ、キンクロハジロ、カンムリカイツブリ、オオセグロカモメ、イソシギ、トビ、ハシボソガラス、イソヒヨドリなど。
 オオセグロカモメは幼鳥1羽。釣り針と釣り糸にからまって弱っていた。手の届かないところだったので、助けることはできなかった。このあたりは釣りの盛んなところ。同じような事故が時おり生じている。
 寒い一日だった。いっとき、小雪がぱらついた。

2022年1月30日(日) 地上採食するメジロ

 すまい近くの緑地で、数羽のメジロが林床の落ち葉の間から何かをつまみ出していた(写真)。この時期、ツバキなどの花蜜も得られるが、やはり食物が不足気味なのだろうか。メジロ単独の群れで、人をあまりおそれず、さかんに採食していた。何を食べていたのかは不明。冬季のメジロの地上採食は、三宅島でも見ている。
 ハシボソガラスは、地上に落ちているマテバシイの堅果を足指で押さえ、つついて中身を食べていた。つがいの2羽が同じようにして採食しているのが印象的だった。
 池には、カルガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、カワセミ、コサギ、オオバンなど。
 オミクロン株の拡大にともない、コロナ禍がものすごい勢いで拡がっている。どこで、どのように終息に向かうのか、まったく不明。不安な日々が続いている。





2022年1月18日(火) 冬のヒクイナ

 2週間ぶりの舞岡。この時期、この地は冬の鳥たちを観察するのによいところだ。きょうはジョウビタキ、ツグミ、アカハラ、メジロ、ヒヨドリ、ハクセキレイ、エナガ、シジュウカラ、アオジ、ガビチョウ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、キジバト、タシギ、ヤマシギ、ヒクイナ(上の写真)、コガモ、カルガモなどを観察した。
 注目されたのは、ヒクイナ。湿地の枯れ草の間をゆっくり歩きながら、くちばしを泥中に差し込んで採食していた。胸の緋色と背中の緑褐色、足や虹彩の赤、おしりの白黒横縞が特徴。かつては日本各地に渡来する夏鳥だったが、その後、急減。興味深いことに、近年は西日本を中心に越冬個体が少なからず見られる。
 アオジ、ジョウビタキやアカハラ、タシギやヤマシギなども目を楽しませてくれた。キジバトやハシボソガラスは、畑や路上で群れになって種子のようなものをさかんについばんでいた。
 フクジュソウが咲き始め(下の写真)、ウメが場所によっては2分咲き、ロウバイはあちこちで満開。黄色や白の花々が心を和ませてくれる。
 空気は冷たいが、早春の足音が感じられる。

2022年1月15日(土) 野島海岸 カンムリカイツブリなど

 新型コロナの感染が、オミクロン株をふくめて全国規模で急激に拡大している。年末、年始や成人式などが引き金になっていると思われるが、背景には、昨年末に向けて感染が急速に縮小して人々の気持ちが緩んでいたことがある。またしても、外出、とくに遠出がためらわれる状態になっている。そんなこともあり、鳥の観察などは近場で行なうことが多い。
 本日は、横浜市南部、金沢区の野島海岸に出かけた。子供のころからのなじみの場所で、最近でもよく出かけている。ハジロカイツブリ、カンムリカイツブリ(上の写真)、カワウ、オオバン、ヒドリガモ、オナガガモ、スズガモ、キンクロハジロなどがよく観察できる。陸の鳥では、トビ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、メジロ、ヒヨドリなどが常連。
 昼食時に気をつけなければいけないのは、トビ。無防備に食事をしていると、まずまちがいなく食べものをもち去られる。後ろあるいは斜め後ろから飛んできて、足でつかんでいく。羽音があまりしないので、気づきにくい。大事に至ることはないが、手を多少怪我することはある。私自身、これまで3回ほどもち去られている。
 帰路、漁師が採取して器の中におさめられたアサリを見た。一つひとつ色や模様が違っているのが、印象的だった(下の写真)。





2022年1月6日(木) 関東で大雪

 北日本を中心に大雪が降り続いているが、本日、東京や神奈川をふくむ関東地方でも激しい降雪となっている。南関東では今冬初めての大雪。
 白銀の美しい景色が広がり、子供たちは雪の上にあおむけになり、滑ったり転げたりして遊んでいる。カラスをふくめて、鳥の世界は静けさを保っている。が、そのうち、子供たちどうよう、カラスも雪の上で滑ったり転げたりするのではないかと、ちょっと期待している。
 降雪はあすまで続く模様。

2022年1月4日(火) 舞岡

 今年に入って毎日、夫婦で鳥見兼散策に出かけている。本日は横浜市の舞岡。里山の自然が残されている場所だ。
 小さな流れに沿った場所で、カワセミが水生昆虫のようなものをとっていた。ほとんど人おじせず、1mほどの距離まで近づくことができた。おかげで、じっくり観察、撮影ができた(上の写真)。よく訪れる場所だが、こんな経験をしたのは初めて。
 流れの中にサワガニの姿を目にした。この時期、冬眠しているはずなのに意外。体を出したまま、じっとして動かなかったので、死んでいたのかもしれない。
 タシギやヤマシギが見られることの多い湿地で、ヤマシギの複数個体を観察。背景に溶け込んでいたが(下の写真)、くちばしを土の中に深く差し入れて採食していた。どこからやってくるのか不明だが、毎年この場所を訪れる。柵で仕切られた場所なので、人に脅かされることなく、ゆったりと過ごしている。タシギの姿はなかった。昨日は来ていたとのこと。
 ロウバイが花を咲かせ始めていた。青空を背景に黄色い花々が映え、周囲にはよい香りが漂っていた。







2022年 迎春 年初め

 新しい年が明けた。昨年一年は、コロナ禍で研究、教育活動ともにいろいろな制限があった。今年は安らかに過ごせる年であることを強く願いたい。
 1日(土)は、横話市南部、金沢区にある平潟湾や野島を訪れた。私たち夫婦のお気に入りの場所だ。沿岸ではイソシギ、オオバン、ハジロカイツブリ(トップページの写真)、カンムリカイツブリ、カワウ、ヒメウ、スズガモ、オナガガモなどが休息、採食、あるいは遊泳をしていた。上空には、トビやハシブトガラス、樹上にはメジロやヒヨドリなど。
 2日(日)は、三浦半島の久里浜から三崎あたりを鳥見、というより散策。遠く、富士山を望み(上の写真)、正月らしい気分を味わった。三崎港の上空には多数のトビが乱舞。沿岸にはウミネコやオオバンなど。久里浜の天神社のウメの木には、すでに5輪以上の花が咲いていた。
 三崎港の水産センターは、多くの客でにぎわっていた。マグロ、キンメダイ、アジ、イカ、タコ、ハマグリ、ワカメなどがところ狭しと並べられ、店員が威勢よく売りさばいていた(下の写真)。私たちも、マグロやアジなどを購入。
 両日とも、空は澄みわたっていたが、風が冷たかった。

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