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折々の記録

2014年


2014年

2012年12月27日(土) 横浜市舞岡

 晴天の中、舞岡に冬鳥の観察に出かけた。不思議なことに、ウソ、シメ、アオジ、シジュウカラ、ルリビタキタシギ、ヤマシギ(右の写真)など、出合った鳥の大部分で十分に観察でき、よい写真を撮ることができた。タシギとヤマシギはほかでは観察しにくい鳥だが、ここでは比較的容易に見ることができる。それぞれ近接して2羽いた。
 相変わらず、鳥の写真を撮りにきている人が多数いた。タシギとヤマシギのところを中心に、30人ほどだったろうか。車で来ている人も多く、中には練馬ナンバーの車もあった。ここは、たしかに一日、鳥の撮影のためにすごすのにはよいところだ。



2014年12月26日(金) クルミを車にひかせて割るカラス

 秋田県の大仙市で、オニグルミの実を車にひかせて割るハシボソガラスを観察した。地元の方からの情報提供があって出かけたもので、交差点が観察場所。午前9時過ぎから午後3時ころまで滞在し、がっちりと観察、撮影することができた。
 この行動を行なっているのは、特定の1個体。路上にクルミの実を落としたり置いたりしたのち、車にひかれるのを道ばたや電線の上で見る。なかなかひかれないと、位置をずらしに路上に降りる。割れると、すかさず飛んでいって中身を食べる(写真)。このような行動が何度も見られた。
 この地域では、ほかでも同様な行動が何か所かで見られている。近くの川沿いにはオニグルミが密生しており、その実がカラスの秋冬期の重要な食料になっている。

2014年12月24日(水) 今年最後の講義

 慶應大SFCで、今年最後のBiodiversity Scienceの講義を行なった。大学院生向けの英語の講義で、生物多様性の保全や管理にかかわることがらに焦点をあてている。この日は、日本、中国、モンゴルの学生に、自国あるいは関心地域での野生動物と人間生活との軋轢について発表してもらった。日本の古い時代の軋轢防止法、中国北西部のヒグマによる人への攻撃、中国雲南省のアジアゾウによる家屋破壊、モンゴルでのオオカミ狩猟とその影響、米国イエローストーン国立公園でのオオカミ再導入と生態系回復などの実態が報告され、とても興味深かった。
 この講義では毎回、前半で私が生物多様性をめぐるいろいろな問題を取り上げ、概要について紹介する。後半では、前週や前々週に紹介した問題について、学生に自国や関心地域での実態を報告してもらう。学生はとても熱心で、みな生きいきと勉強の成果を発表する。動画などをふくめ、パワーポイント上でかなり気合いの入った発表が行なわれ、見ごたえがある。発表のあとには議論が続き、いろいろな情報交換がなされている。

2012年12月21日(日) ハッカチョウの観察

 横浜市港南区上大岡を流れる大岡川沿いで、ハッカチョウの数羽の群れを観察した(写真)。ハッカチョウは、前頭部の冠羽と翼の白斑が特徴的な外来種。中国の中~南部、台湾、ベトナム、ラオス、ミャンマーなどに分布。日本国内では、東京から鹿児島、沖縄までの各地に生息しており、繁殖している地域もある。沖縄などの南方で記録されている個体は、台湾から渡来したものかもしれない。
 観察した鳥たちは、庭木の赤い実をついばんでいた。飛ぶと、翼の大きな白斑がとても目についた。


2014年12月20日(土) 日本各地で鳥インフルエンが発生

 今冬は11月以降、日本各地で鳥インフルエンザが野生の鳥類の間で発生している。これまでに高病原性のウイルスが確認された主な地域と種などは次の通り(時期順、環境省の資料より)。島根県安来市での渡り鳥糞便、千葉県長生郡でのカモ類糞便、鳥取県鳥取市でのカモ類糞便、鹿児島県出水市でのマナヅル、兵庫県南あわじ市でのアイガモ、鹿児島県出水市でのツルねぐらの水、鹿児島県出水市でのナベヅル2例、岐阜県可児市でのオシドリ。また数日前には、宮崎県延岡市の養鶏場のニワトリで高病原性のウイルスが確認された。
 今後まだ多くの事例が発生することが予想される。注意が必要だ。


2014年12月11日(木) 上野不忍池

 横須賀市民大学講座「野の鳥に親しむ」の野外実習として、不忍池で水鳥の観察を行なった。幸いにも、午後1時30分から2時間ほどの観察時間だけ雨がやんでいた。オナガガモ、マガモ、ハシビロガモ、ヒドリガモ、カルガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、オオバン、ユリカモメ、カワウ、コサギ、アオサギなどがよく観察できた。
 おもしろいことに、オナガガモのバフ変個体が見られた(写真)。全体に淡褐色から白色の羽色をしているが、あどけない目などはオナガガモそのもの。時おり、ほかのオナガガモにつつかれたり追われたりしていた。

2014年12月1日(月) 山梨科学アカデミーで講演

 公益財団法人・山梨科学アカデミーの交流大会で、「鳥の渡りと地球環境の保全」について講演した。山梨大学名誉教授の中村 司先生のお誘いを受けての特別講演だった。会場はベルクラシック甲府、西洋のお城を想わせるようなすばらしい会場だ。アカデミーの会員のほか、近隣の鳥類研究者などが参加していた。みな、話の内容にとても興味をもってくれたようだった。
 講演会後、交流会が開かれたが、東大在職中に農学部長であった小林正彦先生とお会いした。小林先生は現在、山梨県総合理工学研究機構の総長を務めておられる。久しぶりにお会いできてうれしかった。
 宿は甲府富士屋ホテル。ホテルの和室ですごすのは10数年ぶりか。温泉に入ったあと、つくろぎながらこれを書いている。

2014年11月28日(金) 大学構内の紅葉

 構内の紅葉が見頃を迎えている。鴨池のほとりのモミジやケヤキなどが、赤や橙、黄色に染まり、とても美しい(写真)。池の水面にも紅葉が映え、泳ぐマガモやコガモなどの群れに彩りを添えている。学生たちの中には、芝生でのんびりすごしながら、紅葉を楽しむものもいる。
 じきに師走。あとひと雨くれば、紅葉も散ってしまうだろう。
 地上に落ちてしまったエゴノキの実を、ヤマガラがくわえあげ、枝に戻って穴をあけ、食べている。貯蔵のためにどこかに持ち去る個体も、目につく。



2014年11月19日(水) 明治大学で講演

 川崎市にある明治大学生田キャンパスで、「鳥類に見る生き方の多様性」について講演した。留鳥のカラスと渡り鳥のハチクマなどの生き方の違いを対比させながら、個々の種が独自の資源を利用し、それに合った体のつくりや行動、移動性を発達させている状況を話した。学生を中心に若い人たちが学内外から集まり、熱心に聞いていた。講演後の質疑も盛り上がって有意義だった。
 生田キャンパスは、イチョウなどの紅葉に彩られていた(写真)。生田緑地までは徒歩で20分ほどの距離。学生実習もそこで行なわれることがあるそうだ。

2014年11月16日(日) 横浜市舞岡

 ある年配の女性が、群れになって写真をとっている男性たちにたずねた。「何を撮っているんですか?」ある男性が答えた。「小鳥の写真。モズやアカハラ、ツグミ、ヒヨドリなんかが撮れるんだ」。女性「へぇ~、ずっと撮っているんですね」。男性「そう、朝から夕方までね。暇つぶしにはもってこいだ!」
 たしかにいつ来ても、退職後と思われる人たちが何人か、あるいは何10人か集まって、鳥の写真を撮っている。鳥の写真はなかなか撮れないので、また撮れれば楽しいので、時間をすごすのにはよいのだろう。最近、鳥のいるところではどこに行っても同じような光景が見られる。
 昨秋同様、舞岡駅近くのヨメイヨシノが花を咲かせていた(写真)。



2014年11月14日(金) 中国浙江省湖州

 昨日から、中国浙江省湖州市で開かれている日中韓豪渡り鳥条約等会議に出席している。シギ・チドリ類の渡りと保全にかかわる研究の促進、森林性鳥類のモニタリングの必要性、鳥インフルエンザ関連の情報交換の促進などについて報告、議論が行なわれている。
 関係国の政府主導の会議だが、専門家も参加しており、議論は活発に行なわれている。私は昨日、Population trends of shorebirds in the East Asian-Australasian flywayについて講演した。会議の成果が実際の研究や保全の促進につながることを期待したい。
 写真はホテルの窓から撮影したシロガシラ。にぎやかに鳴いている。

2014年11月11日(火) 横浜市栄公会堂で講演

 神奈川県立柏陽高校の平成26年度自然科学講演会で、「衛星を使って鳥の渡りを追う」について講演した。対象は高校1年生、約300名。衛星追跡の仕組、成果、保全への利用などについて話した。1時間半の講演ののち、約30分間、活発な質問が続いた。渡りの理由や仕組、進化、保全についていくつものすぐれた質問があり、正直驚いた。講演会終了後にも、数人の生徒がやってきて質問を続けた。
 柏陽高校は20年ほど前、スーパーサイエンスハイスクールに指定された実績があり、全体に理系が強いのではないかと思われる。若い世代の活発な質問や意見にたのもしさを感じた一日だった。

2014年11月9日(日) 多摩川川崎岸

 川崎の小島新田から多摩川に出て、川岸を散策した。スズガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、オナガガモ、マガモ、カルガモなどのカモ類、カワウ、オオバン、アオサギなどの水鳥、モズ、ムクドリ、ジョウビタキ、ヒヨドリなどのいろいろな鳥をたくさん見ることができた。
 カモ類の中でもっとも多いのはスズガモ、800羽ほどいた。オナガガモ(写真)やマガモは、頭を水中に突っ込んだり逆立ち姿勢をしながら、さかんに採食していた。
 カモ類などをじっくりと観察するのにはよい場所だ。




2014年11月6日(木) ヤマガラの採食

 学内でエゴノキの実を食べるヤマガラを観察した。すでにエゴノキの実は樹上から消失しており、ヤマガラは地表に落ちたものや低木に引っかかっているものをくわえ、樹上であしゆびを使って押さえる(写真)。押さえた実はくちばしでたたいて穴をあけ、中身をつまみだして食べる。  
 この時期、学内のところどころで、ヤマガラがエゴノキ、あるいはスダジイの実をくちばしでたたいている音が聞こえる。秋の音風景の一つと言える。
 林内ではシジュウカラ、エナガ、ヤマガラ、メジロの混群が見られる。が、ヤマガラは混群を先導することはなく、群れから簡単に離れてしまう。

2014年11月3日(月) 丹沢

 晴天の文化の日、西丹沢を訪れた。紅葉の写真を撮ることが目的。標高500~600mあたりを歩いたが、紅葉の最盛期には至っておらず、緑の葉をつけた木々が少なからず見られた。しかし、場所によっては黄や赤に変化している木々も多数見られ(写真)、それなりに紅葉狩りを楽しむことができた。
 鳥はメジロやシジュウカラ、ヤマガラなどが見られた程度。外来種ガビチョウの声だけが響いていた。
 帰路、、「足柄の秘湯」中川温泉で湯につかり、疲れをいやした。



2014年10月29日(水) 鴨池にカモ類渡来

 2週間ほど前から、学内の鴨池にカモ類がやってきている。コガモ、マガモ(写真)、カルガモ、オシドリなどだ。マガモの雄の半数はすでに換羽が済んで美しくなっているが、コガモやオシドリの雄はエクリプス羽のまま。オシドリが観察されたのは今月15日だけ、珍しい記録だ。
 アオサギは毎日のようにきている。見るのは1羽だが、幼鳥羽のもの、成鳥羽のもの両方いる。カワセミもまれに観察できる。
 これから冬に向かって、カモ類の渡来数は増えていくものと思われる。

2014年10月25日(土) モスケミソサザイ

 三宅島の住まいの中にミソサザイが入ってきた。閉めきっていたはずなのに、どこから入ってきたのか。どこかの小さな隙間からなのだろうが、ほんとうに狭いところを動きまわるのが好きな鳥だ。が、楽しい話ではある。
 三宅島をふくむ伊豆諸島南部にすむミソサザイは、本州などのものとは別亜種に分類される。モスケミソサザイという亜種和名が付けられている。モスケの意味ははっきりしないが、もすける、という言葉があり、すねてことをせぬこと、という意味らしい。ミソサザイは雄がいくつもの巣を順につくり、雌を次々に呼び込む経時的一夫多妻の繁殖様式をもつ。ひょっとすると、産卵が簡単には進まない、このどことなく歯がゆい習性から、もすける鳥として、モスケミソサザイという名が付いたのかもしれない。



写真は、大木の根もとにつくられたミソサザイの巣。三宅島にて、2012年4月21日撮影。


2015年10月24日(金) 三宅島

 昨日から三宅島にきている。きょうは島南部の太路池に出かけた。オオバン38羽やノスリ4羽のほか、モズ(写真)、ヒヨドリ、メジロ、ヤマガラ、ツバメ、カラスバト、キジバトなどがよく観察できた。オオバンは最近、毎冬渡来している。暖かな日差しの中で気持ちよさそうに泳いでいた。ノスリは4羽が同時に上空を帆翔していた。モズは高鳴きをしていた。この時期のツバメは、遅い渡来例と思われる。
 湖畔には7月下旬同様、ツチアケビの群落がみられた。アシタバに種子がつき始めている。

2014年10月11日(土) 横浜市舞岡

 久しぶりに舞岡公園方面を訪れた。一部の田んぼはすでに稲刈りがすんでいたが、多くは稲穂が黄金色に輝いていた。この地の田んぼは、多くがボランティアによって管理されている。未収穫の田んぼには鳥よけの網がかけられているが、ところどころ網が稲穂まで垂れ下がってしまっており、スズメが集まって穂をついばんでいた(写真)。
 アザミやキクのなかまが花をつけ、ガマズミなどがたくさん実をつけていた。静かな森の中に、ガビチョウのさえずりだけが響いていた。



2014年10月8日(水) 東京大学で講義

 一年ぶりに、「生物の多様性と進化」の講義を行なった。オムニバス形式の講義で、私が最初の2回を担当する。この日は初回、講義全体の構成や流れについて述べたのち、生物多様性の意味、種概念、種分化、適応放散などについて話した。受講生数は百数十名、みなとても熱心に聞いていた。
 次回は「鳥類の起源と進化」について話す予定。のち、ほかの先生方による昆虫、魚、植物の起源や進化、生殖隔離の仕組、分子進化などについての話題が続く。
 講義前、久しぶりに三四郎池(写真)を散策した。相変わらず、くつろげるよい場所だった。カワセミがすみついていた。

2014年10月4日(金) バンコクへ

 Chumphonでの日程を終え、本日早朝、バンコクに向けて出発した。途中、Khao RaderやWanakorn Beachに立ち寄った。Khao Raderに向かう途中、上空高く、ハチクマの編隊や鷹柱が何か所もで見られた。Khao Raderでは、やはり上空高いところや海岸方面を次々に移動して行くハチクマが見られた。
 Wanakorn Beachの明るい林では、Spotted Owlet (Athene brama)をよく観察できた(写真)。何か所もの樹洞の縁にとまっているのが見られ、樹洞によっては複数個体が出入りしていた。 


2014年10月2日(木) Chumphon5日目、ハチクマの渡り盛期

 ハチクマの渡りが盛期を迎えている。Khao Dindorとその周辺で、昨日は約2000羽、きょうは4000羽以上の通過を確認した。午前9時から10時くらいまでを中心に、ほとんど途切れることなく渡来し、何か所かで鷹柱をつくっている。
 Khao Dindorは、タカ類が少なからず人の目線の高さを飛ぶので、観察や撮影に向いている。今週の土曜日からRaptor Watch Festivalが開かれる。すでに準備が進んでおり、多くの市民が訪れている。

2014年10月1日(水) アナツバメの集団住宅

 タカ渡りの観察の合い間に、ホテルに隣接するジャワアナツバメの集団住宅を見せてもらった。ジャワアナツバメは洞穴内の壁に唾液腺の分泌物で巣をつくり、その巣は、中華料理の高級食材に利用される。訪れた場所では、繁殖用につくられた建物の中にアナツバメが大集団で営巣している。建物の中は真っ暗。アナツバメはエコロケーションを利用して建物内を移動する。
 巣は垂直に張られた板に貼りつけてある(写真)。床下には糞が大量に落ちており、これも肥料として売れるとのこと。この地域では、こうしたアナツバメ用の建物があちこちにある。




2014年9月30日(火) Chumphon3日目

 きょうもツミやアカハラダカが多数飛んだ。ハチクマの数も増加し、730羽ほどになった。アカハラダカの鷹柱が見事で、午前中にいくつも見られた(写真)。飛翔高度はツミよりもアカハラダカの方が高い。ハチクマは編隊をなして通過していくことが多いが、鷹柱もつくる。
 きょうは、少数だがチュウヒ、トビ、タカサゴタカ(Shikura)なども飛んだ。タカ類以外では、ツバメ、コシアカツバメ、ハチクイ類などが見られた。

2014年9月29日(月) タイ・Chumphon

 昨日より、タイのChumphonにきている。タカ類が川の流れのように渡って行く場所だ。観察地はKhao Dinsorという山の上。今回の主目的はハチクマの渡りを観察、撮影すること。ちょうどよい時期にあたっており、昨日、ハチクマは10羽以下しか観察されなかったが、きょうは550羽ほど観察できた。あすはもっと多く渡ってくるだろう。今の時期に多いのは、アカハラダカとツミだ。きょうはアカハラダカ約1400羽、ツミ約1500羽を観察した。
 鳥以外に、アリに擬態するカマキリや、雲の縁に虹のように輝く光彩を見ることができた。


2014年9月27日(土) 愛知県・藤前干潟ビジターセンターで講演

 2014年生物多様性講演会で、「世界の自然をつなぐ渡り鳥」について講演した。会場は環境省・藤前干潟稲永ビジターセンター、主催は名古屋市港保健所とNPH法人・藤前干潟を守る会。世界各地の湿地や森林が渡り鳥によってつながっていること、また遠く離れた国や地域の人と人も渡り鳥によってつながっていることなどについて、衛星追跡の結果を紹介しながら話した。
 みな熱心に聞いてくれていたので、とても話しがいがあった。講演会の前後、干潟の鳥を少しだけ観察する機会があった。


2014年9月22日(月) ヒガンバナ見頃

 湘南地方でヒガンバナが見頃を迎えている。きょうは午後、大学から小出川を経て茅ヶ崎里山公園まで歩いた。小出川沿いには、何キロにもわたってヒガンバナがびっしりと生育し、みごとな花を咲かせていた(写真)。ところどころに「小出川の彼岸花」ののぼりが立てられ、人でにぎわっていた。
 里山公園では、エゴノキにヤマガラがやってきて、どこかに実をせっせと運んでいた。チョウでは、ナミアゲハのほか、外来のアカボシゴマダラがあちこちで見られた。セミのにぎわいは終わりに近く、ミンミンゼミが少数鳴いているだけだった。

2014年9月14日(日) 氷取沢から天園へ

 好天の中、横浜の氷取沢から鎌倉の天園まで自然散策した。鳥はメジロとガビチョウくらいしか見聞きできなかったが、ハンミョウの捕食現場(写真)やいろいろな木の実、キノコなどを見て楽しんだ。このコースでハンミョウを見る機会はあまりない。ヒガンバナの赤い花がところどころで見られ、秋の気配が感じられた。
 3連休の中日ともあって、夫婦や家族連れなど、多くの人が散策を楽しんでいた。
 帰路、瑞泉寺から鎌倉宮、八幡宮、小町通りを抜けて鎌倉駅に出た。どこも人であふれていた。


2014年9月12日(金) Global Environmental Research Vol. 18, No. 1発刊

 東日本大震災関連特集号“Impacts of the Great East Japan Earthquake and Tsunami on Human Life and Ecosystems”が発刊された。全体で10編の論文からなり、人間生活への影響、生態系や生物多様性への影響、農水産業への影響、海洋へのがれきの流出などについて論じられている。私は責任編集者をつとめた(この雑誌の編集委員長でもある)。くわしい内容は以下を参照。

http://www.airies.or.jp/journal_GlobalEnvironmentalResearch_jMkanAH..html

 どの論文も、関連の内容に直接かかわっている研究者が執筆しており、読み応えがある。図表も豊富で、海外の研究者や行政関係者にも参考になるに違いない。原発事故にともなう放射能汚染の影響については、近い将来、別の特集で扱う予定。


2014年9月9日 アブラゼミ目立つ

 この時期、アブラゼミがよく目立つ。ミンミンゼミもツクツクホオシも鳴いているが、姿はあまり見られない。それに対してアブラゼミは木々の幹の下の方でもよく見かける。慶應大SFCの中でもあちこちで見られる(写真)。場合によっては、同じ幹の上に近接して複数が見られることがある。また、林内や路上に死骸も多く見られる。
 セミの季節はじきに終わる。このところ涼しい日々が続いている。夏の終わりと秋の気配を感じる。
 日本で夏をすごした鳥たちの南下も、始まっているようだ。

2014年8月31日(日) すまいのベランダにイソヒヨドリ

 逗子のすまいのベランダで、イソヒヨドリの雌が小声でさえずっていた。海岸から3~4km離れたところだが、このあたりには複数羽のイソヒヨドリがすみついている。しばらくさえずりを聞かなかったが、そろそろなわばりの再編成の時期になってきているようだ。
 この雌個体は、建物のベランダや屋上を行き来しながら、周囲を見つめていた。地味ではあるが、近くで見ると縞模様がそれなりに美しい。あまり人おじしないので、これからもじっくり観察する機会があるだろう。


2014年8月30日(土) 谷津干潟

 久しぶりに谷津干潟を訪れた。岸辺ではヨシ原が少し広がり、ごみが散乱し、干潟面の多くには相変わらず海草がはびこっていた。しかし、そんな中、場所は限られているものの鳥たちは比較的多く見られた。キアシシギ、トウネン、アオアシシギ、ソリハシシギ、エリマキシギ、キョウジョシギ(写真)、メダイチドリ、セイタカシギ、カワウ、ウミネコ、アオサギ、コサギなどがよく観察できた。
 休日とあって、鳥を見にきている人が多くいた。エリマキシギやセイタカシギに人気が集まっているようだった。



2014年8月26日(火) 市街地にアオゲラ

 横浜市泉区の住宅地にアオゲラが出現した。早朝、住宅地の中を歩いていると、キョッ キョッという声が聞こえ、じきにピョー ピョーという大きな声。びっくりしてあたりを見まわしてみると、テレビのアンテナの上にアオゲラがいて鳴いていた。近くの電線との間を行き来しながら、ときおり大きな声を出す(写真)。
 一帯はハシブトガラスやヒヨドリ、スズメくらいしかいない住宅地あるいは市街地だ。換羽中の個体で、おそらく近隣の緑地から飛来してきたものと思われる。若い個体が分散してきた可能性が高い。

2014年8月25日(月) 国際鳥類学会閉幕

 昨日、1週間に及んだ国際鳥類学会東京大会が閉幕した。夜にはホテルメトロポリタンでCongress Dinnerが開かれ、700名近い人が参加した。みな、今回の東京大会をとても楽しまれ、有意義な時をすごされたようで、国内外のたくさんの方からうれしい言葉をいただいた。私自身も旧友や新たに知りあった研究者とよい交流ができ、いくつか共同研究の可能性について話し合うことができた。総じて、今東京大会は大成功だったと言えるのではないかと思われる。
 立教大学や日本鳥学会の関係者、(株)アイ・エス・エス の担当者、多くのボランティアの方々、その他準備から実施までにかかわられた数多くの人たちのご努力、ご尽力に感謝したい。



 ポスター会場での一コマ。


2014年8月21日(木)国際鳥類学会開催中2

 早くもきょうで4日目が過ぎた。運営上などにいくつか問題が生じているものの、まずは大過なく進んでいる。参加者の多くも満足しているようだ。いろいろな分野の興味深い講演を聞き、数多くの人と交流できる国際学会は、やはりとても刺激的だ。
 きょうは、渡り関係の講演をいくつかまとめて聞いた。ジオロケーターを使って小鳥や海鳥の渡り経路や渡りパターンを調べる研究が目についた。ジオロケーターとは、各地の日照時間の違いから位置や移動を明らかにする超小型機器のことだ。位置精度に難点はあるが、小さな鳥たちがいかに渡っているかがわかってきている。

2014年8月20日(水)国際鳥類学会開催中

 18日(月)から東京の立教大学で国際鳥類学会が開かれている。60か国1000人以上の鳥類学者が集い、研究発表を行ない、情報交換やさまざまな交流を行なっている。私はNational Committee のChairを務めている。あまり自由な時間はないが、たくさんの友人や知人がきているので、また興味深い講演が多数あるので、とても有意義な時間をすごしている。19日(火)の夜のJapan Eveningの催しでは、多数の美しいスライドを使ってInteresting world of Japanese birdsという講演をした。
 暑い日が続いているが、今のところ、幸いにして体調をくずした人はいないようだ。写真は中国の研究者と。



2014年8月16日(土) 『日本の鳥の世界』の出版

 今月下旬、小著『日本の鳥の世界』(平凡社刊)が出版される。日本の鳥の世界のなりたち、自然の中にくらすいろいろな鳥の生活、日本の鳥の現状と保全上の課題などについて紹介している。特徴は美しい写真、興味深い写真を多数使っていることだ。50名を超える方々から写真をお借りし、全体に見ごたえのある内容に仕上がっている。
 大部分がカラーページで、定価3000円。国際鳥類学会開催記念出版。目次は以下の通り。
  第1章 日本の自然と鳥の世界
  第2章 日本を代表する鳥
  第3章 森のにぎわい、水辺のにぎわい
  第4章 里山の四季
  第5章 たくましく生きる都市の鳥
  第6章 興味深い鳥の世界
  第7章 鳥の渡り
  第8章 現状と未来

2014年8月16日(土) 逗子神武寺

 逗子の住まいの近くにある神武寺付近を散策した。林の中では、ミンミンゼミ(写真)、ヒグラシ、ツクツクホオシなどの声が、まさに蝉しぐれとなって降り注いでくる。参道には涼しい風が吹いていて心地よかった。
 林の外では、たくさんのタカサゴユリが花をつけている。台湾からの外来種だが、清楚な感じに好感がもてる。ただし、やはりものすごい勢いで広がっているのが気がかりだ。
 あすから1週間、東京の立教大学で国際鳥類学会が開かれる。楽しみがいっぱいありそうだ。



2014年8月15日(金) 横浜舞岡

午後遅い時間から、久しぶりに舞岡に出かけた。鳥たちは静かだったが、池のカワセミが人慣れしており、比較的近距離から観察・撮影できた。鳥の写真を撮る人が5,6人いて、みなカワセミをねらっていた。
 古民家の縁側で、管理している男性としばらくよもやま話をした。生まれたところが私のところと近かったため、子供の頃の話に花が咲いた。
 田んぼではシオカラトンボが多数飛びかっていた。稲は順調に生育しており、たくさんの穂が垂れていた。

2014年8月2日(土) 三宅島3

 早朝、火の山峠に至る山道を歩いた。アカコッコ(写真)、メジロ、ヒヨドリ、ホオジロ、ホトトギス、ハシブトガラスなどをよく観察できた。ホトトギスは早朝にはよく鳴いている。ウチヤマセンニュウのさえずりも、少しだけ聞こえた。
 すまい近くの海岸で、アマツバメの10羽前後の群れを見た。昨日も、雄山林道の溶岩地帯の上空を飛ぶ群れを見た。近年見かけることがなかったが、何が変化したのだろうか。
 海岸付近の崖地では、ハマカンゾウの橙黄色の花が咲いている。



2014年8月1日(金) 三宅島2

 雄山林道を歩いた。おどろいたことに、緑が一気に上方に広がっている。主役はハチジョウススキだ。これまでももちろん生育していたが、斜面をびっしりとおおい、鉢巻道路のさらに上の方までせり上がっている(写真)。
 前の冬までは土壌の浸食が著しく、このまま浸食が進行するのではないかと心配していたが、その心配はまずなくなった。
 ハチジョウススキに混じって、イタドリやヒサカキも生育している。が、ススキほどの勢いはない。ユノミネシダも姿を消しつつある。標高が少し下がると、オオバヤシャブシやヤブツバキなどが加わってくる。

2014年7月31日(木) 三宅島1

 今朝から三宅島にきている。きょうは釜の尻の自宅付近と南部の太路池周辺を歩いた。アカコッコ、イイジマムシクイ、コマドリ、ホトトギス、カラスバト、キジバト、ウグイスなどがちらりほらりさえずっている。太路池周辺では、コマドリの幼鳥、ヤマガラやメジロなどの家族群と思われる群れに出合った。
 太路池のほとりで、ツチアケビを見つけた。毒々しい赤い実を付けており、枝葉がないことも加わって奇怪な様相を呈している。高さが80㎝ほどもあり、何個体かが群生している。ラン科の腐生植物、日本の固有種である。




2014年7月22日(火) 上野不忍池

 久しぶりに不忍池に出かけた。手乗りスズメが3か所で見られた。1羽のコサギが、くちばしの先を水面につけて波立たせる波紋漁法を見せていた。かわいそうなことに、足に釣り具がからまっていた。今年は近隣でウミネコの繁殖が成功しなかったようで、若鳥、成鳥ともに池に姿が見られなかった。ハスの花が咲き始めていた。
 本日、東京でも梅雨が明けた。これから猛暑がやってきそうだ。
 写真は、餌を与える人のまわりに集まるスズメの群れ。手にも簡単に乗っていた。

2014年7月20日(日) 研究セミナー「放射能汚染と狩猟」に参加

 野生生物と社会学会の行政研究部会主催の研究セミナー、「放射能汚染と狩猟」に参加した。会場は宇都宮大学農学部。演題は次の3つ。(1)放射能汚染が狩猟者の行動に与えた影響(上田剛平・兵庫県)、(2)ドイツ・バイエルン州における狩猟獣の放射能汚染への行政対応(高橋満彦・富山大)、(3)原発事故後3年間のイノシシの汚染モニタリングの状況(小寺祐二・宇大)。
 どれも興味深い内容で、放射能汚染が野生動物の生活や狩猟者の行動にどのような影響を及ぼしているかを理解するのに役立った。ただ、研究は組織的に行なわれているというより、個人の関心と努力によるところが大きいようだった。
2014年7月17日(木) 早稲田大学オープンカレッジで講義

 7月10日とこの日、東京の早稲田大学八丁堀校で「生物多様性と私たちのくらし」の講義を行なった。全8回の最初の2回。対象はシニアの方。初回は概論、2回目は「鳥のくらしさまざま」について話した。これから先、オムニバス形式で磯の生物(武田正倫)、昆虫(高桑正敏)、植物(多田多恵子)の話が続く。
 受講生はいろいろな生きものや自然に関心をもつ方たちで、より広いあるいは深い知識を求めて受講している。講義に対して、若い大学生とは違った反応が見られる。

2014年7月8日(火)、9日(水) 大阪

 航空機と鳥との衝突防止にかかわる視察と委員会出席のため、大阪に出かけた。最近、航空機との衝突が目立つコアジサシへの対策が主な課題だった。
 コアジサシは希少種ではあるが、東京、名古屋、大阪、神戸などを中心に航空機との衝突が問題になっている。空港内は人の立ち入りが禁止されており、また繁殖に適した環境が広がることが多いため、コアジサシにとっては楽園になりやすい。
 もちろん鳥には「責任」はないのだが、機体損傷、運航遅延、大災害につながる可能性があるため、共存をも視野に入れた効果的な対策が求められている。写真はコアジサシの巣卵。


2014年7月4日(金)~6日(日) 熊本でササゴイの観察

 熊本の水前寺公園で、ササゴイの投げ餌漁を観察した。足の色の異なる3個体がおり、それぞれが方法や頻度の異なる投げ餌漁を見せた。また、成功率も個体ごとにかなり違っていた。
 今回の観察は、昨夏どうよう、熊本マリスト学園の生徒への観察指導を兼ねていた。生徒たちも熱心に観察し、記録を重ねていた。生徒たちの観察結果は、8月に東京で行なわれる国際鳥類学会のおりに発表される。
 写真はハエを疑似餌にするササゴイ。

2014年7月3日(木) 川崎市民アカデミーで講義

 「持続可能な社会の創出」というタイトルの講義で、「鳥の渡りと地球環境の保全」について話した。会場は川崎市生涯学習プラザ、対象はシニアの方たちだった。終了後、いくつものよい質問が出たので、うれしかった。川崎市民アカデミーは、東大名誉教授の太田猛彦先生が学長をつとめている。いろいろな分野の講義を活発に展開している。

2014年6月29日(日) 森ヶ崎のコアジサシ

 一年ぶりに、東京の大田区森ヶ崎にある東京都水再生センターに出かけた。このセンターの屋上はコアジサシの集団繁殖地になっており、今年は300つがいほどが繁殖している。2003年の繁殖期に次ぐ多い繁殖数だ。
 リトルターンプロジェクトの増田直也さんの案内で繁殖地をめぐり、抱卵中の鳥(写真)、飛翔中の群れ、まだ飛べない幼鳥の群れなどをじっくり観察した。隣接する干潟では、すでに成鳥、幼鳥入り混じって休息する光景が見られた。梅雨の晴れ間、青い空に入道雲がのぼっていた。


2014年6月26日(木) 文教大学で講義

 茅ヶ崎にある文教大学キャンパスで、「里山の自然と鳥のくらし」について講義した。主に文教の森プロジェクトの人たちが受講にきていたが、日大藤沢の鳥関係者も参加していた。昨年から、文教大の学生さんや教員の方と鳥の野外研究をめぐって交流しており、今回もとてもよい交流の機会になった。慶應大SFCと文教大は近くにあるので、今後も共同研究、情報交換などを進めていきたいと思っている。

2014年6月24日(火) 逗子で講義

 先週の17日に続いて、逗子の高齢者センターで鳥のくらしや渡りについての講義を行なった。すまいから歩いて10分ほどの場所だ。みなとても熱心に聞いてくれていたので、話しがいがあった。これまで地域に密着した活動はあまり行なっていないので、よい情報交換の場にもなった。今後、近隣の方々とよいお付き合いをしていかれれば幸いだ。


2014年6月18日(水) 『ときめく小鳥図鑑』の発行

 中村 文著、吉野俊幸写真になる上記の本が発行になる。私は監修をつとめた。中村さんは大阪の愛鳥家、ブログで愛らしい小鳥の世界を紹介している。この本も、そんな中村さんの個性豊かな内容からなっており、図鑑というより小鳥への愛情に満ちた中村さんの随筆とも見てとれる。
 若い女性に人気の本になるのではないかと期待している。高齢化しているバードウォッチャーの世界に、新風を巻き起こすことになるかもしれない。
 山と渓谷社刊、1600円+税。

2014年6月13日(金)~16日(月) 山形県米沢近郊

 ハチクマなどの調査のため、米沢近郊を訪れた。梅雨時ではあったが、晴天に恵まれ、快適な日々をすごした。調査地は川沿いの落葉広葉樹林。ハチクマ、サシバ、ノジコ、イカル、アカショウビン、キビタキ、ヒヨドリ、カビチョウなどが見聞きできた。夜には、コノハズク、ヨタカ、ジュウイチ、トラツグミも確認できた。
 チョウなどの昆虫もいろいろな種が見られ、とくにヒメシジミ、コムラサキ、ウスバシロチョウ(写真)、ノコギリクワガタが印象的だった。



2014年5月31日(土) 三宅島

 今月2度目の三宅島。晴天の中、太路池へ。イイジマムシクイ、アカコッコ、ヤマガラ、シジュウカラ、コマドリ、ミソサザイ、コゲラ、カラスバトなどの代表種をよく観察できた。ヤマガラの親子連れに何度か出合い、一度は撮影の機会にも恵まれた(写真)。日中なのに、アオバズクが鳴いていた。
 クワの実があちこちで黒く熟し、ヒヨドリ、アカコッコ、メジロ、イイジマムシクイなどがその実をさかんに食べていた。
 つい最近まで、近隣でヤイロチョウが観察されていたが、すでに姿を消しているようだった。
2014年5月29日(木) JICA国際センターで講義

 今年も海外の研究者や行政官を対象に、東京のJICA国際センターで講義した。タイトルは、Impacts of climate change on biodiversity。温暖化が動植物の生物季節や分布、個体数にどのような影響を与え、その影響が人間生活にどう及ぶかについて話した。参加者は、マレーシア、ウガンダ、メキシコ、コスタリカの4か国から6名(写真)。それぞれの国の状況なども紹介してもらいながら、活発な議論をふくめて有意義な時間をすごすことができた。
 参加者はこののち、沖縄から北海道までの各地を訪れながら、現地視察と受講を重ねていく。全日程50日ほど、日本政府が提供するすばらしいプログラムだ。



2014年5月23(金)、24日(土) 長野県戸隠

 久しぶりに戸隠に出かけた。目的は、夏鳥をはじめとしたこの時期の鳥の生息状況調査。予想していたとおり、早朝でも数10年前のような大きなにぎわいは認められなかった。しかし、木々の新緑が始まったばかりで、鳥の姿はよく観察できた。アオジ、ホオジロ、クロジ、ノジコ、アカハラ、クロツグミ、コルリ、ミソサザイ、アオバト、アカゲラ、オオアカゲラ、アオゲラ、カケス、カルガモ、カイツブリなど。4種のホオジロ類が一か所で見聞きできるところは珍しい。
 鏡池が、文字通り、戸隠の山々を湖面に美しく映し出していた(写真)。

2014年5月20日(火) カモ類は日影が好き

 カモ類は、暑い日には日影に入る。きょうは、大学構内のカモ池のほとりで、カルガモが木陰に入っていた(写真)。この場所は、冬にはコガモやアヒルがよく入る。暑ければ池の水の中に入ればよいのにと思うのだが、そうでもない。木陰に入って、のんびり過ごしている。
 冬鳥のカモ類は、コガモが1週間ほど前に姿を消し、すべて渡り去った。池のほとりには、外来のキショウブの花が咲き始め、これも季節の移り変わりを示している。



2014年5月18日(日) 葉山森戸川

 森戸川の自然の様子は、1週間でかなり違っていた。森の緑はさらに濃さを増し、鳥はオオルリのさえずりが下火になった一方、ホトトギスが渡来してきた。センダイムシクイ、ウグイス、サンショウクイ、キビタキ、ガビチョウのさえずりは、以前と変わらず。昆虫のナミハンミョウ、アサヒナカワトンボ(写真)、モンキアゲハなどが姿を現した。
 野鳥の会の探鳥会の参加者、鳥の写真を撮るために集まっている人々など、鳥をめぐり人が多数いた。合わせて50~60人ほどか。写真を撮る人たちの主なお目当ては、サンコウチョウだ。

2014年5月16日(金) 三宅島3

 晴天に恵まれ、気持ちのよい一日だった。神着方面から太路池へと出かけた。太路池では、池のほとりの樹同でシジュウカラが営巣しており、巣の中には大きなひながいた。ヤマガラ、コマドリ、カラスバト、アカコッコなどがよく観察できた。コマドリは、繁殖中と思われる個体が、くちばしに昆虫の幼虫をくわえて林内を動きまわっていた(写真)。
 太路池の周辺の森は、スダジイの新緑が美しく輝いていた。エゴノキの白い花がまだ少し残っていた。池のほとりには、チュウサギと思われる個体が2羽いた。



2014年5月15日(木) 三宅島2

 火の山峠方面と赤場暁方面に出かけた。ヤマガラやシジュウカラの子育てが進行しており、巣立ちひなの声が聞かれた。カラスバトの鳴き声が、あちこちから聞こえた。この鳥も繁殖期を迎えているのだろう。
 林縁や明るい林で、カジイチゴが橙黄色の実を多数つけている(写真)。この実をヒヨドリ、アカコッコ、メジロのほか、イイジマムシクイやコゲラのような昆虫食の鳥までとって食べている。クワの実ほど甘くはないが、十分においしくいただける。
 海岸に2,3羽のウミネコがいた。どこかで繁殖しているのではないかと思われる。

2014年5月14日(水) 三宅島

 昨日から三宅島にきている。昨日は暴風雨、きょうはよいお天気で暖かかった。すまいの窓を開けると、ウチヤマセンニュウ、ウグイス、イソヒヨドリ、メジロなどのさえずりが聞こえる。少し歩くと、イイジマムシクイやアカコッコなどに出合うことができる。
 椎取神社の森林は、2000年噴火で高木がすべて立ち枯れたが、萌芽更新により若い木々が生長してきている。隣の赤場暁では、オオバヤシャブシなどの進出が著しく、溶岩の上に森林が成立しつつある。
 写真は、イソヒヨドリの2羽の雄が対峙してさえずっているところ。



2014年5月10日(土) 葉山森戸川

 夏に出版予定の本の準備に追われていたが、一段落ついた。午後遅い時間から、葉山の森戸川流域の森に出かけた。山の緑は濃くなってきているが、まだ新緑がまぶしいところもある(写真)。オオルリ、センダイムシクイ、キビタキ、ウグイス、メジロ、ヒヨドリ、ハシブトガラス、キジバト、カワセミ、ガビチョウなどを観察。オオルリとセンダイムシクイは、森の起点から上流の終着点までの約2㎞に、それぞれ5~7雄ほどがさえずっている。かなり高い密度だ。
 ミズキ、ヤブデマリ、ウツギの白い花がよく目立つ。ノダフジの紫色の花も盛りを迎えている。

2014年4月22日(火) SFCの鴨池

 サクラの花が散り、あっという間に新緑が広がった。大学構内では、ケヤキやカエデなどの新緑が美しい。鴨池では、冬のあいだ多数いたマガモが姿を消し、コガモやカルガモの大部分も去り、今はコガモが10羽前後、カルガモが数羽、それにいつものアヒルがいるくらいだ。ツバメが水面をかすめて飛び、景色は完全に春のものとなっている。
 ハナミズキの白い花が、あちこちでとても目立っている。 



2014年4月13日(日) 横浜・氷取沢

 暖かな陽ざしの中、氷取沢を散策した。ヤマザクラやオオシマザクラの花はほぼ終わっていたが、タチツボスミレの花があちこちで多数見られた。木々の新緑が始まっており、野山がうっすらと緑がかっていた。
 鳥は、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ガビチョウなどがさえずっていたが、夏鳥はまだきていなかった。川筋でひっそりと魚をねらうカワセミを、ゆっくり見ることができた(写真)。これまで氷取沢ではカワセミを見たことがなかったので、少し幸せな気分になった。

2014年4月2日(水) 千鳥ヶ淵へ

 今年も花見の季節がやってきた。このところ、藤沢、逗子、横須賀、久里浜と続けて花見に行っている。温暖化関連の写真を撮るためだ。きょうは東京で会議があったので、少し寄り道をして千代田区の千鳥ヶ淵に出かけた。満開の桜が皇居のまわりを彩り、じつに見事だった(写真)。
 見物客の数もものすごかったが、それでも出かけただけのことはあった。お堀には遊覧ボートがいくつも浮いており、景色に華を添えていた。
 ハシビロガモが採食しているところにも出合った。


2014年3月15(土)~16日(日) 八丈島へ

 15日に八丈ビジターセンターで、「八丈小島の希少鳥類―八丈小島をアホウドリ類の島に!」について特別講演した。昨春、小島にクロアシアホウドリが20~30羽ほど訪れて求愛行動を行なっているのが観察され、今年初めには産卵も確認された。しかし、その後、何者かに10羽以上のクロアシアホウドリが捕食され、数つがいが残るだけとなった。「犯人」は大型ワシ類の可能性があるが、今のところ不明だ。今後、小島の生態系をどのように保全し、アホウドリ類など多くの生きものがすみつける島にしていくべきか、いろいろな課題がある。講演ではこうしたことがらについて話した。議論した。講演後、いろいろな質問や意見が出て、よい情報交換の場になった。
 翌16日には、小島に渡り、現状を視察した。大型ワシ類の姿は見られなかったが、ノスリやハシブトガラスは観察された。最初にクロアシを襲ったのはワシ類かもしれないが、その後はこれらノスリやカラスも死体を食べることにかかわったに違いない。死体の多くは、肉の部分がきれいに食べられていた。


2014年3月9日(日)~12日(水) 九州へ

 カモ類などの水鳥の生息状況を調査するため、鹿児島、宮崎、熊本を訪れた。鹿児島では川内や出水方面に、宮崎では宮崎市内を広範囲に、熊本では熊本、八代、天草方面に出かけ、湖沼や河川を見てまわった。これらの地域では、場所によって多少の違いはあるものの、カモ類ではマガモとヒドリガモが優占種、それにコガモ、キンクロハジロ、カルガモが続く。オナガガモやハシビロガモは少ない。今回注目されたのはオオバン。どこに行っても多数いた。
 出水ではツルも見てまわった。すでにマナヅルは大部分が渡去していたが、ナベヅルはまだ数千羽は残っていた(写真)。

2013年3月7日 三宅島 村道雄山線

 本日も晴天、暖かな日差しが降り注ぐなか、島南部の定点調査地、村道雄山線に出かけた。かつての通称「鉢巻道路」の400mほど地点から都道に向けて降りながら、植生の状況などを見てまわった。
 400m付近は裸地が優占する荒野。400mから250m付近までは、高木が枯死して消滅したあとにハチジョウススキ、ヒサカキが群生している(写真)。それより少し下になると、その2種に加えてツゲ、ヤブツバキ、オオバヤシャブシなどが現れてくる。林床には、ところどころユノミネシダが見られる。
 この地域一帯の自然がもとに戻るのは、おそらく数百年後かと思われる。それまで調査を続けることはもちろんできないが、可能な限り、推移の状況を追跡していきたいと思っている。



2014年3月6日(木) 三宅島太路池

 天候不良のため大揺れに揺れた船に乗って、今朝、三宅島に着いた。午後からは青空が広がり、訪れた太路池のほとりは暖かな日差しに包まれていた。池にはオオバンが41羽、3つくらいの塊になってのんびり泳いでいた(写真)。ブラックバスが入って以来、コイが急減し、結果、水草が大増殖した。そのころからオオバンが多数訪れるようになり、この水草を食べている。
 外来のヒキガエルが早朝、道路であちこち車に轢かれていた。それをハシブトガラスが群れになってつついていた。ノスリもこのカエルの死骸をねらっている。これらも、外来種をめぐる興味深い生物間相互作用だ。
 この冬は、前冬と違って、ツグミ以外、冬鳥の姿があまり見られない。

2014年2月24日(月) 横浜市舞岡

 一つ大きな仕事が済んだので、研究室を早めに出て舞岡に向かった。舞岡公園に向かう途中、幅1mほどの水路でゴイサギ(写真)とコサギが採食していた。どちらも人おじせず、2mほどのところまで近づけた。ゴイサギの方が優位で、ときおりコサギを追っていた。通行人に追われたコサギが少し飛んで道路の反対側まで行き、そこから道路を横切って水路に戻ったが、急いで道路を横切る様子がおかしかった。
 水田や森の中では、ツグミ、ムクドリ、キジバト、モズ、ハシボソガラス、アオジ、アオゲラなどがよく観察できた。



2014年2月22日(土) 上野不忍池

 国立科学博物館で「恐竜展」や「ダーウィンフィンチ展」などを見たのち、不忍池に出かけた。ここしばらくの間、毎週のようにこの場所を訪れている。この時期見られる水鳥は、オナガガモ、キンクロハジロ、マガモ、ハシビロガモ、カルガモ、ユリカモメ、ウミネコ(写真)、セグロカモメ、カモメ、バンやオオバン、カイツブリなど。人おじしない鳥が多いので、じっくりと観察できる。
 きょうは暖かな日差しのもと、上野は人でいっぱいだった。科博の恐竜展はとくに人気で、館に入る人が長蛇の列をつくっていた。

2014年2月17日(月) SFC鴨池のカモ類

 勤務地の慶應大SFC(湘南藤沢キャンパス)は、まだ一面雪景色。通称「鴨池」は、大部分が凍っており、寒々としている。しかし、そこに群れるコガモやマガモは、元気に動きまわっている。コガモの雄は、時おり、くちばしをしゃくりあげるような求愛行動を見せている。一方、動かずに、氷の上でのんびり日向ぼっこするものもいる(写真)。
 全天候型の生活をしているカモ類はうらやましい。鴨池の見える学生食堂で昼食をとりながら、そんなことを考えていた。この鴨池は、カモ類の行動観察にはうってつけの場所だ。
 



2014年2月16日(日) 葉山へ

  8日に続いて14日にも大雪が降った。8日は15㎝ほど、14日には20cmほど積もっただろうか。あたり一面雪景色になった。きょうは一転して快晴、葉山の久留和の里に出かけた。雪道を歩きながら、白銀に輝く景色の中に咲くウメ(写真)、ツバキ、スイセンなどの花々を楽しんだ。澄んだ空気のもと、遠く海の向こうに富士山が雄姿をきわだたせていた。
  鳥は、カシラダカ、アオジ、ホオジロ、メジロ、ヒヨドリなどがよく観察できた。カシラダカは一羽にしか出会えなかったが、この時期、この場所では珍しい。
2014年2月6日(木) 手乗りヤマガラ

 東京での会議が終わってから、都内某所で人おじしないヤマガラを観察した。その場所に行くと、餌を見せなくともヤマガラが近づいてくる。餌を見せれば、写真のように簡単に手に乗る。
 おそらく人が餌付けしているので、人の姿を見ただけで近づいてくるのだろう。かわいらしい光景ではあるが、複雑な気持ちにもなる。まわりには鳥の写真をとっている人が3,4人。人慣れヤマガラはすでに十分撮影済みなのか、あまり関心を示さない。カワセミがお目当てのようだった。



2014年2月1日(土) 小笠原関係のシンポジウムで講演

  小笠原諸島返還45周年記念講演会「小笠原とつながる~現地の取り組みと私たちにできること~」で基調講演した。演題は「小笠原の自然とアカガシラカラスバトの域内保全」。場所は上野の国立科学博物館、主催は東京動物園協会。ほかに動物園関係者や現地研究者の報告があった。
  小笠原では、ノネコの除去や不妊手術などが功を奏して、最近、アカガシラカラスバトの数が増え、生息域も広がっている。
写真は上野動物園提供。

2014年1月28日(火)~29日(水) ヤマドリの観察と撮影

  熊本県北部の山村で、地元の人たちとともにヤマドリの観察と撮影を行なった。この地域には人おじしない一羽のヤマドリがおり、観察や撮影は容易だった。尾の長い立派な容貌の雄で、目もまわりの赤い皮膚が大きく裸出している(写真)。亜種アカヤマドリで、陽の光を浴びると、赤銅色の体羽がひときわ美しく輝いた。
  ヤマドリは警戒心がことのほか強い鳥なので、このように人おじしない個体というのはとても珍しい。



2014年1月20日(月)~22日(水) コクガンに衛星用送信機装着

  宮城県の南三陸沿岸でコクガン9羽を捕獲し、そのうちの5羽に衛星追跡用送信機を装着した。2000年秋の北海道根室、昨年1月の南三陸の2回、コクガンの捕獲は成功せず、衛星追跡はかなわなかった。今回は3度目の試みとなり、ある意味、最後とも言えるチャンスだった。
  今回の調査メンバーは、嶋田哲朗、呉地正行、時田賢一、内田 聖、土方直哉、杉野目 斉などの諸氏。それぞれに十分な役割を果たし、みな満足していた。
  写真は南三陸沿岸にて撮影。

2014年1月19日 クロアシアホウドリ関連の報道

 1月16日夜のNHK・NEWSwebから始まり、翌17日から読売新聞、東京新聞、毎日新聞などが八丈小島でのクロアシアホウドリの繁殖開始を報じた。今後、この島での保全活動が進み、ここが「アホウドリ類の島」になることが望まれる。
 NHKのNEWSwebは、以下のサイトで見ることができる。
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140116/k10014543821000.html

2014年1月6日 八丈小島にクロアシアホウドリの新繁殖地成立

  八丈島の属島、無人島の八丈小島で、クロアシアホウドリが繁殖を開始した。この日、伊豆諸島自然史研究会の方とともに同島に出かけ、2巣/つがいで産卵・抱卵しているのを確認(写真)。
  状況から判断して、12月下旬に産卵したものと思われる。全体の生息数は30羽ほどか。足環標識されている個体が一羽いた。小笠原の聟島鳥島で標識された個体。この1月で5歳になる。
  注目すべきことに、アホウドリやコアホウドリも近隣海域で見られている。



2014年1月3日(金) 横浜市舞岡

  穏やかで暖かな日差しの中、舞岡公園方面に出かけた。園とその周辺には、かつての里山の状態が残されている。園内には60~70人ほどのバードウォッチャーがいて、長い望遠レンズを使いながらアオジ(写真)、ジョウビタキ、アリスイ、ヒヨドリ、メジロなどを撮影していた。とくにアリスイが人気で、それが現れる場所に多くの人が集中していた。バードウォッチャーはほぼすべて、60歳以上の年配者。若者がいないのがちょっと奇妙だ。
  コジュケイが2か所でさえずっていた。ガビチョウの声はしなかった。









1. アリに擬態するカマキリ



2. 虹のように輝く光彩



3.モズ



4.ルリビタキ



5.タシギ



6.アオジ



7.エナガ


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