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折々の記録

2010年以前 2011~13年 2014年 2015年 2016年


2015年

2015年12月18日(金) 鹿児島県出水

 昨日から、カモ類やツル類の生息状況を見るため、出水を訪れている。12月だというのに、みずみずしい草の緑が広がっている。まるで早春のようだ。ただし、空気は冷たい。
 カモ類は、ヒドリガモ、マガモ、コガモ、カルガモなどが多い。場所によっては、九州には珍しくオナガガモもたくさんいる。ツル類は、ナベヅルが1万羽以上、マナヅルが数100羽のほか、カナダヅルとクロヅルが少数いる。ツル類の渡来数はまだピークに達していないが、市内のどこの田んぼに行っても、ツルが見られる。
 出水はカモやツル以外にも鳥の多いところだ。ミヤマガラス、ニュウナイスズメ、ホシムクドリ、オオバンなどの観察も楽しんだ。


マナヅルの親子とツクシガモ


2015年12月12日(土) 三浦市小網代の森

 小網代の森を初めて訪れた。三浦半島の先端に残された貴重な自然だ。面積は70ヘクタールほど、森林、湿原、小河川、干潟などからなっている。以前から訪れたいと思っていた場所だ。想像以上にすばらしい自然が広がっていた。京浜急行がさかんに広報しているだけあって、いくつもの小グループが散策に訪れていた。
 鳥は、ウグイス、アオジ、ヒヨドリ、メジロ、シジュウカラ、コジュケイ、カワセミ、アオサギ、カワウなどが見聞きできた。
 小網代から少し足を延ばして油壺に抜け、海が見える露天風呂でゆっくりとくつろいだ。すばらしい一日だった。

2015年11月30日(月) 明治神宮

 都内で会合があったので、久しぶりに明治神宮に立ち寄った。あちこちで話題になっているように、外国人観光客が多数訪れていた。アジア系の人だけでなく、欧米系の人たちも多かった。
 都内にこれだけ大きな森があるということに、あらためて感動した。人がつくった森だが、木々が大きく生長し、うっそうと茂っている。森の樹冠や垂直構造もよく見てとれる。
 メジロ、ヒヨドリ、ヤマガラ(写真)、シジュウカラ、ハシブトガラスなど、なじみの鳥が見られた。オシドリがいるのではないかと期待していたが、見られなかった。


2015年11月21日(土) 神奈川県真鶴町で講演

 県西部の真鶴町で、「カラスと人間生活―さまざまなかかわりを探る―」について講演した。会場は町民センター。カラスによるごみ被害に悩んでいるが、そもそもカラスとはどんな生きものなのか知りたい、とのことで、講演依頼があった。カラスの食生活、局地移動、カラスの知能などについて話したあと、人間生活とのいろいろな軋轢例を紹介し、最後に被害とどう向き合うかについて議論した。
 町の人からもいろいろな情報が提供され、議論にも熱がこもり、有意義な時をすごすことができた。
 真鶴には、ときどき鳥や自然を見に来ている。この講演で、真鶴町とのつながりがまた深まったような気がする。


2015年11月18日(水) キャンパス内の鴨池

 学内の通称、鴨池にたくさんのカモ類が渡来してきている。生息数は、日や時間、天候などによって異なるが、マガモ40~50羽、コガモ60~70羽、カルガモ20~30羽ほど。マガモ雄はすでに換羽済み、コガモ雄の多くはまだエクリプス羽だ。
 きょうはとりわけ、多くのカモが池の中央付近に群れており、周囲の紅葉とあいまってすばらしい光景をつくり出していた。いずれ、コガモの雄も美しく変化し、池のあちこちでマガモやコガモの求愛行動が見られるようになるだろう。楽しみだ。
 写真はマガモの雌(左)雄(右)。

2015年11月3日(火、文化の日) 熱海へ

 カラスなどの観察のため、静岡県熱海の知人宅を訪れた。住人の方と長年親しくしているカラスがおり、一日中、あいさつに来たり、あとをついて来たりするとのこと。たしかに、呼びかけに応じたり、あとをついて来るような行動が見られた。人とカラスとの究極の交流と言えるかもしれない。
 熱海行きは、小学校か中学校の修学旅行で出かけて以来のこと。海岸だけでなく山側の自然も美しく、山腹にはよく茂った森が連なっていた。知人宅では、いろいろな海の幸をいただいた。お天気にも恵まれ、すばらしい一日をすごすことができた。写真は知人と交流のあるハシブトガラスの一羽。



2015年11月1日(日) 秋田でサケの産卵観察

 秋田県大曲(おおまがり)で、サケの産卵を観察、撮影した。雄物川と玉川の合流点付近で、多数のサケが産卵していた。付近には、ハシブトガラスが多数集まり、岸に打ちあげられたサケの死体をついばんでいた(左の写真)。ダイサギ約60羽、アオサギ約40羽、カワウ約100羽も集まっていた。カワアイサは5羽ほどで、サケが産み出した卵を食べているようだった。付近の林にはオジロワシやハヤブサもいた。
 街の中に、ハシボソガラスがクルミを車にひかせて割る場所がある。昨年12月にも訪れた場所だ。今回は時間の制約もあり、クルミをくわえるところだけを観察した。
 神宮寺小学校で収穫祭が行なわれていた。臼でついたばかりの餅の入った雑煮をいただいた。素朴な味でおいしかった。


2015年10月12日(月、体育の日) 氷取沢から金沢八景へ

 すばらしい晴天のもと、午前中は横浜の氷取沢方面へ、午後は金沢八景の野島方面に出かけた。氷取沢はコスモスの花の見頃で、多くの人が訪れていた。ジョウビタキなどの冬鳥はまだ見られず、モズの高鳴きとガビチョウのさえずりだけが耳に入ってきた。
 金沢八景の野島に向かう運河沿いには、左の写真に見られるようなすばらしい光景が広がっていた。海中から突き出たいくつかの杭の上には、カワウが1羽ずつとまっていた。ここは、私が高校時代までなじんだ場所であり、なつかしかった。あの頃はこのあたりで、澄んだ海水の中を泳ぐハゼの姿を見ながら、釣り糸を垂らしたものだ。
 野島では、旧・伊藤博文別邸を訪れ、邸内でのひとときを楽しんだ。妻とともによい一日をすごすことができた。

2015年10月8日(木) SFCにコガモなど到来

 よく晴れた青空のもと、学内の鴨池でカモたちがのんびり過ごしていた。1週間ほど前から、カルガモやコガモの姿が目につくようになった。コガモはまだエクリプス羽、地味な色だ(写真)。
 来週は、Biodiversity Scienceの講義で鴨池のカモ類を観察する予定。数がもっと増えているはず。昨年の同じ講義の観察時には、オシドリも確認された。学生たちも楽しみにしているようだ。


2015年9月30日(水) 東大と慶応大で講義

 午前中、東大で、午後、慶應大で講義した。東大の講義は、「生物の多様性と進化」の第2回目、鳥類の起源と進化について話した。慶應大の方は、Biodiversity Scienceという英語の講義。きょうが第1回目で、生物多様性が人間生活とどうかかわっているかについて話した。
 東大の講義は大教室でのもので、私の担当はきょうの2回まで。慶應大の方は、10名ほどの小人数の大学院生対象で、私一人が担当、合計14回行なう予定。それぞれにとても話しがいがある。慶應大の講義には、日本人以外に中国やモザンビーク(アフリカ)の学生が出席していた。今後の情報交換が楽しみだ。


2015年9月28日(月) スーパームーン

 昨日は中秋の名月、今夕はスーパームーン。スーパームーンとは、月が地球にもっとも近づく日と満月になる日が重なることから、見かけの大きさがもっとも大きくなる月のことだ。きょうはかすかに雲がかかっていたが、文字通り、すばらしい満月だった。
 天体に月も地球も浮かんでいる。不思議なことだ。月から見れば、地球は暗闇に浮かぶ青く輝く星だ。この地球に、私たち、そして数多くの生きものがくらしている。とても不思議なことだ。

2015年9月27日(日) 横浜市舞岡

 久しぶりに舞岡を訪れた。イネが黄色く色づき、ところどころで稲刈りが行なわれていた。畑のふちではカキが実り、田んぼのヘリではガマズミ、ムラサキシキブ、マユミなどが実をつけていた。ヒガンバナの赤い花も、とことどころで見られた。
 鳥たちの多くは、ひっそりとしていた。モズのけたたましい高鳴きや、コジュケイのデュエットだけが耳に入ってきた。ガビチョウの声も聞かれなかった。
 夏は終わり、秋がやってきている。



2015年9月23日(水) 名桜大学で講演

 名護にある名桜大学で、国際シンポジウム「バードウォッチングとエコツーリズム」が開かれ、「鳥を見る楽しみ」について基調講演した。海外からは、韓国、台湾、シンガポールから関係者が参加。地元沖縄の方とともに、各地のバードウォッチングの現状、エコツーリズムとしてのあり方、課題などが報告、議論された。
 会場には、20年以上ぶりにお会いする方が何人もきておられ、終了後に懐かしいひとときをすごした。また、新たな鳥関係者、エコツーリズム関係者と交流するよい機会になった。
 このシンポジウムは、名桜大学教授の新垣裕治先生の主導のもとに開かれたもので、新垣先生には、21日からの野外ツアーをふくめてたいへんお世話になった。

2015年9月22(火)、23日(水) やんばる

 20年ぶりほどで、沖縄北部のやんばるの森を訪れた。ノグチゲラ、ヤンバルクイナ、ウグイス、ハシブトガラスなどがよく観察できた。ヤンバルクイナは夜暗くなってから樹上でねぐらをとるもの、早朝ねぐらから降りて路上付近に出現したものを合計10羽ほど観察できた。
 やんばるの森では、鳥以外にもキノボリトカゲ、(リュウキュウ)カジカガエル、(リュウキュウ)アオモンイトトンボ、(リュウキュウ)ハグロトンボなどをじっくり見ることができた。林縁には、ハシカンボクの薄紫色の花がたくさん咲いていた。
 23日早朝には、本部町の山頂付近で、渡り途中のアカハラダカを300羽以上見ることができた。みごとな鷹柱をつくっていた。


早朝、路上に出てきたヤンバルクイナ


2015年9月21日(月) 沖縄

 神戸から沖縄に移動した。名桜大学で開かれる国際シンポジウム「バードウォッチングとエコツーリズム~地域活性化と観光促進~」で基調講演するためだ。シンポジウムは23日、きょうとあすは交流のためのフィールドツアー。きょうは到着後、那覇近郊の三角池で探鳥。セイタカシギ(写真)30羽のほか、イソシギ、アオアシシギ、コアオアシシギ、アカアシシギ、バン、ヘラサギ(トップページの写真)、アオサギ、ダイサギ、コサギ、カワセミなどを観察した。
 あすはアカハラダカの渡りを見る予定。お天気がよければ多数渡るはずだ。

2015年9月19日(土) 日本鳥学会大会に参加

 昨日から、兵庫県立大学神戸商科キャンパスで鳥学会大会が開かれている。私はきょう、研究仲間との連名で、「ハチクマはハチの攻撃をどう防いでいるかーとくに羽毛の糸状微粒子の役割についてー」発表した。ハチクマの羽毛には糸状微粒子がびっしりと付着しており、この微粒子がハチの攻撃を軽減するのにかかわっている、という内容だ。多くの人の関心を呼んだようだ。
 午後には、東大研究室OBの江田真毅さんの黒田賞受賞記念講演があった。「考古鳥類学」の現状と課題、という演題で、これまでのアホウドリ関連の研究を中心に話された。江田さんは現在、北大総合博物館の講師をしている。
 大会は21日(月)まで続けられる。いろいろ興味深い発表があり、おおいに楽しんでいる。

 黒田賞を受賞した江田真毅さん(左から2人目)と。
左端は山階鳥研の尾崎清明さん、右端は東大・生物多様性の藤田 剛さん。

2015年9月16日(水) 東大で講義

 夏休みが終わり、大学の授業が始まった。きょうは東大・本郷キャンパスで、「生物の多様性と進化」の授業を行なった。オムニバス形式の授業で、学部生が対象。本日の出席者数173名、これまででもっとも多い数だ。本日は第一回目なので、講義全体のイントロとして、生物多様性の意味、 人間生活とのかかわり、進化のあり方、生態系の維持機構などについて概要を話した。
 今期から、授業時間が90分から105分に変更になった。15分長くなったわけだが、みな熱心に聞いていた。



サプライズの花束贈呈。
慶應大学生の水村春香さんと。
撮影:高野 丈。
2015年9月13日(日) 講演と音楽「世界の自然と自然、人と人をつなぐ渡り鳥」

 東京大学の弥生講堂で上記の催しが開催された。天の川を渡る鳥の夢の世界から、南北朝鮮の離散家族をつないだ鳥の実話、衛星を利用した最新の研究から明らかになったことがらまで、多様な話題が登場。それぞれの話題の合い間には、かかわりのある美しい調べの音楽が挿入された。私は企画・構成にあたり、鳥の渡り衛星追跡の成果を紹介した。
 参加者280名。盛況の中、とても好評のようだった。参加者は、壮大な鳥の渡りへの理解を深めつつ、感動に満ちたひとときをすごされたのではないかと思われる。私たち主催者側もおおいに楽しみ、すばらしい一日をすごすことができた。

2015年8月31日(月) 房総でシギ・チドリ観察

 友人の案内で、九十九里浜方面でシギ・チドリ類の観察、撮影を行なった。干潟ではキアシシギ、ソリハシシギ、トウネン、チュウシャクシギ、キョウジョシギ、メダイチドリ、シロチドリなどが、砂浜ではミユビシギ(写真)やトウネンなどがよく観察できた。ミユビシギが砂浜で群れになって採食する様子は、いつ見ても心地よいものだ。
 秋を想わせる涼しい中で、久しぶりにのんびりとシギ・チドリ類を観察でき、有意義な一日だった。



2015年8月29日(土) 三宅島3日目

 早朝、すまい近くの林を散策。メジロの群れがあちこちで見られた。小枝の間を移動しながら、昆虫の幼虫や木の実を食べていた(写真)。カラスバトも何度か見聞きできた。例のウッウルルー、モーウという声が響いていた。
 ほかの多くの鳥が静かになっているこの時期、ヒヨドリは元気に鳴きながら動きまわっている。巣立ち後の幼鳥も見られる。
 昨晩は、日中に摘んできたアシタバの葉をおひたしにして食べた。カレーライスと一緒だったが、おいしかった。昨日から、筑波大の学生が植生関連の調査できている。


2015年8月28日(金) 噴火15年後の三宅島

 きょうは村道雄山線を歩いた。定線ルートとしているところだ。かつての鉢巻道路の起点から下方向へと歩いて、植生と鳥類のセンサスを行なった。植生の変化は見事で、鉢巻道路付近では、最優占のハチジョウススキにイタドリが少し混じり(写真)、下に行くにしたがって、ヒサカキ、オオバヤシャブシなども現れ、続いてタブノキなどが加わってくる。
 鳥は、ウグイス、シジュウカラ、ホオジロなどが点々と出現した。おもしろいことに、鉢巻道路付近をアオサギが飛んでいた。



2015年8月27日(木) 三宅島

 本日から三宅島に来ている。噴火後の生態系の回復状況などを見ている。この夏、山腹の緑はさらに上方に広がった。一方、あれほど大量に存在していたユノミネシダが、各地で急速に姿を消しつつある。生態系の移り変わりの様子を、とてもダイナミックに見ることができる。
 島の南部の太路池は、あいかわらず美しい景観を見せている。湖岸の林では、タマアジサイが花盛り。キブシやアオノクマタケランの実が多数なっている。実はまだ緑色。昨年とほぼ同じ場所に、腐生植物のツチアケビが見られる。鳥は、ヒヨドリ、メジロ、カラスバトが活発に動きまわっている。イイジマムシクイの囀りが少数聞かれる。
 海岸付近では、ハマユウの花が咲いている(写真)。すでに実がついているものもある。

2015年8月21日(金) タカサゴユリ花盛り

 湘南地方で、外来種のタカサゴユリが花盛りを迎えている。慶應大SFCの付近の空き地でも、あちこちで咲いている(写真)。タカサゴユリは台湾原産。細長い白い花をつけ、花の外側が赤紫色を帯びる。大正年代に日本に入り、現在では西日本を中心に広く分布している。種子によって繁殖し、種子は風散布される。そのため、増え始めると一気に拡がるようだ。
 まだ暑い日が続いているが、クリの木にはすでに実が多数ついている。緑のいがぐりだが、夏の終わりの気配を感じさせてくれる。


2015年8月16日(日) 藤沢市で講演

 午前中、藤沢探鳥クラブのお誘いで、「鳥ってすごい―多様な鳥のくらし―」について講演した。会場は藤沢市民会館小ホール。湘南地方の方々を中心に、150名ほどが参加されていた。飛ぶことに徹底的に特化した鳥の生態や行動について簡単に話したのち、留鳥性のカラスと長距離移動するタカ類の生活についてくわしく話した。好評だったようだ。終了後、参加者20名ほどとともに近隣のレストランで昼食をとり、楽しい時間をすごした。
 夜は、NHKの「ダーウィンが来た」で「ハチクマVSオオミツバチー史上最大の決戦ー」が放送された。製作に協力し、番組内に少し登場した。本年6月29日に放送されたNHK・BS「ワイルドライフ」の「ハチクマ」短縮版だが、新しい映像も加えられていて迫力があった。


2015年8月7日(金)~10日(月) ハリオアマツバメ調査

 ハリオアマツバメの渡り関連調査のため、北海道南部を訪れた。繁殖地は高木がまばらに生える開けた環境。営巣場所は樹洞。現在まだ育雛中。今回は捕獲後にジオロケータを装着するのが目的。ジオロケータとは、各地の日照時間の差異から位置や移動を探る超小型位置測定器だ。地元研究者の協力により、まずまずの成果があがった。来年、機器を回収し、移動の様子を探ることになる。
 営巣地の上空では、ハリオアマツバメが見事な飛翔を見せていた(写真)。高度な飛翔に特化したこの鳥の生態や渡りを調べるのは、とても興味深い。今後の展開が楽しみだ。

2015年8月4日 上海観光

 午前中、長江(揚子江)の河口にあるChongming Islandを、午後はYu Gardenを訪れ、夜は黄浦江で船上から上海の夜景を楽しんだ。Chongming Islandでは、コサギ、アマサギ、ダイサギ、ムラサキサギ、チュウシャクシギ、ソリハシシギ、トウネン、ケリ、カササギなどが観察できた。標識ステーションがあり、ソリハシシギやトウネンなどに足環標識していた。草原の水牛に集まるアマサギの光景が印象的だった(写真)。
 船上からの夜景はすばらしいものだった。上海、中国の繁栄ぶりを象徴するかのように、立ち並ぶ高層ビルなどから色とりどりの明かりがまばゆく輝いていた。
 復旦大学の関係者のおかげで、すばらしい観光の一日をすごすことができた。あすは、予定どおり帰国の予定。



2015年8月3日(月) 講義終了

 予定どおり、午後から2つの講義を行なった。“Bird migration and the conservation of the global environment”と“Conflicts between crows and humans”の2つだ。対象が中国全土から集まった生態学専攻の大学院生だけあって、終了後にいろいろな質問や情報提供があった。おかげで、中国国内の状況を知るよい機会にもなった。
 午前中は、Zhijun Ma教授の学生に案内してもらって上海博物館を訪れた。中国のほかの主要な博物館同様、ここも入場無料。たくさんの人が訪れていた。いろいろな時代の青銅器、陶磁器、書画などを見て楽しんだ。景徳鎮の陶器に鳥の絵がいろいろ描かれていることを知った(写真)。

2014年8月2日(日) 中国上海

 本日から上海に来ている。復旦大学で特別講義をするためだ。講義はあす。鳥の渡り、カラスと人間生活との軋轢の2つについて話す予定だ。この講義は、全部で15ほどあるうちの一部。対象は中国全土の大学から募った大学院生。生態学を専攻している院生たちだ。講義全体は、「生態学、夏の学校」といったところか。
 中国のほかの大都市と同じく、上海は来るたびに大きく様変わりしている。新しい高層ビルが立ち並び、街並みも人の服装もモダンになっている。きょうは、知り合いの教授が歓迎の夕食に招待してくれた。



2015年8月1日(土) 猛暑続く

 摂氏35度以上の猛暑日が続いている。きょうは横須賀の米軍基地が一般開放され、近くに用事があったこともあり、妻と二人で訪れた。が、ものすごい暑さの中、ものすごい人出で、早々に引き揚げた。汗をいっぱいかいた。
 帰路、街路樹でアブラゼミがさかんに鳴いていた(写真)。緑が少し多いところでは、ヒグラシの声も聞かれた。夏、真っ盛りだ。

2015年7月21日 東大へ

 9月13日の「世界の自然と自然、人と人をつなぐ渡り鳥」の会場下見のため、東大を訪れた。会場となる弥生講堂は、私が3年ほど前に最終講義を行なった場所。
 昨年、弥生門の近くに忠犬ハチ公の像が建てられた(写真)。ハチとその飼い主であった上野英三郎教授との交流がモチーフとなっている。
 学内のレストラン「アブルボア」で昼食をとったのち、知り合いの先生を訪れ、少し足をのばして不忍池へ。ハスの花が咲き始めていたが、おもしろいことに、池の端では氷の彫刻展が開かれていた。
 夜は、湯島の国際環境研究協会で編集会議に出席した。



2015年7月20日(日) 梅雨明け

 昨日、気象庁は関東地方が梅雨明けしたとみられると発表した。昨日、本日ともに猛暑。
 きょうは久しぶりに横浜の舞岡に出かけた。照りつける猛烈な日差しに、汗だくになりながら歩いた。ハシブトガラスの親子連れが目についたほか、鳥はウグイスとガビチョウのさえずりが聞かれたくらい。
 ヤマユリが、あちこちで見事な花を咲かせていた(写真)。エゴノキはまだ白っぽい実を多数つけていた。昆虫では、シオカラトンボとショウジョウトンボが目についた。
 慶應大と早大で担当している授業も、先週で終了。夏休みモードになった。

2015年7月15日(水) 講演と音楽のつどい開催のお知らせ

 9月に講演と音楽「世界の自然と自然、人と人をつなぐ渡り鳥」が開かれることになった。この催しでは、鳥の渡りをテーマに、天の川を渡る鳥の夢の世界から、南北朝鮮の離散家族をつないだ鳥の実話、衛星を利用した最新の研究から明らかになったことがらまで、多様な話題が登場する。また、それぞれの話題の合い間には、かかわりのある美しい調べの音楽が挿入される。参加された方は、壮大な鳥の渡りへの理解を深めつつ、感動に満ちた時をすごすことになるに違いない。

催しの概要は下記。なお、参加には申し込みが必要。ご注意を!

●日時: 2015年9月13日(日) 午後1時00分~5時00分(12時30分開場)

●会場:東京大学弥生講堂一条ホール(300席)
     http://www.a.u-tokyo.ac.jp/yayoi/

●演題と音楽
★此岸と彼岸をつなぐ渡り鳥
 ―宮沢賢治「銀河鉄道の夜」の世界―
 杉浦嘉雄(日本文理大学教授)
  歌:「星めぐりの歌」(作詞作曲・宮沢賢治) 
   山口由里子(ソプラノ)、鍋嶋 芳(ヴァイオリン)、富樫亜紀(チェロ)
   
★北と南の離散家族をつないだ渡り鳥
 ―アリランの青い鳥、シベリアムクドリをめぐる物語―
 遠藤公男(児童文学者)
  歌:「アリラン」(朝鮮半島民謡)
   山口由里子(ソプラノ)、鍋嶋 芳(ヴァイオリン)、富樫亜紀(チェロ)

★世界の自然と自然、人と人をつなぐ渡り鳥
 ―渡り鳥の衛星追跡研究の成果から―
 樋口広芳(東京大学名誉教授、慶應義塾大学特任教授)
  渡り鳥のスライドと音楽(バッハ:G線上のアリア、弦楽演奏)
   鍋島 芳(ヴァイオリン)、富樫亜紀(チェロ)

●参加費: 1,000円(当日、受付にて支払い)。

●申し込み:参加希望者は名前(複数可)と連絡先を電子メール、
 電話またはファックスで以下に連絡。先着300名まで。
      電子メールwataridori.office@gmail.com
      電話090-4711-9892、FAX:046-267-4591

●詳細は、下記サイトを参照
https://drive.google.com/file/d/0B5t2N6HkmTasV3FERkNHR0ZwOUU/view?usp=sharing

2015年6月29日(月) ワイルドライフ「ハチクマ」

 NHK・BSでワイルドライフ「ハチクマ」が放映された。一連の繁殖行動、東アジア全体におよぶ壮大な渡り、ハチの巣を襲う豪快な採食行動などが紹介された。海外ロケをふくめて、いろいろな場面で撮影に協力し、番組内にも登場した。
 宣伝なしの1時間番組なので、見ごたえがあった。たいへん好評のようだ。

2015年6月27(土)~29日(月) 北海道帯広近郊

 樹洞営巣性の鳥類などの生息状況を見るため、帯広近郊の森林を訪れた。地元でこの地域の鳥の生態調査を進めている方や、東大の研究室出身の研究者と一緒だった。本州とは異なる広大な原野の中、カシワなどの巨木が立ち並ぶすばらしい環境だった(写真)。
 地域一帯では、キビタキ、ノビタキ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、アカゲラ、ハリオアマツバメ、カルガモ、ハイタカ、トビなどがよく観察できた。
 この地域では、地元の研究者によってタカ類などを中心に長期間にわたって詳細な研究が展開されている。今回、それらの興味深い調査結果をいろいろ聞くことができ、とても参考になった。


2015年6月22日(月)、23日(火) 山形県米沢近郊

 今期2回目の米沢近郊の鳥類調査に出かけた。いつもの通り、ノジコ、ホオジロ、イカル、クロツグミ、アカショウビン、ツツドリなどがよく見聞きでき、また今月初旬と違って、ハチクマの姿もよく観察できた(写真)。川や田んぼ、周辺の林には、カワガラス、ツバメ、アオサギ、サシバ、ノスリが目についた。
 鳥以外では、ヒメシジミをはじめとしたいろいろなチョウが多数舞い飛んでいた。落葉広葉樹林では、複数種の毛虫が大発生していた。

2015年6月13(土)、14日(日) 青森県白神山地

 知人の案内で、白神山地の西部に出かけた。ブナ林から海岸まで豊かな自然が広がるすばらしい場所だった。ブナ林では、キビタキ、サンコウチョウ、サンショウクイ、ノジコ、アカショウビン、アオバト、ツツドリ、オシドリなどを、渓流ではキセキレイやシノリガモなどを見聞きすることができた。
 幸いにもオシドリは、親子で休む場面に出合った(写真)。シノリガモは雄やひなの姿はなく、時おり現れる雌だけが見られた。抱卵中なのではないかと思われる。
 自然や生きものを観察、撮影しているすばらしいグループの人たちに出合った。今後ぜひ、長くおつきあいしていきたいと思う。


2015年6月13日(土) NHK・BS「ワイルドライフ」で「ハチクマ」番組

 6月29日(月)午後8時から9時、NHK・BS「ワイルドライフ」で「ハチクマ」が放映される。一連の繁殖行動から特異な採食行動、東アジア全体をまたにかけた渡りの様子まで、広く扱っている。ハチクマ関連の番組の決定版と言えるものだ。私は海外ロケをふくめて、番組製作にかかわった。
 宣伝なしの1時間番組なので、ハチクマの生態、行動、渡りについてじっくりと楽しむことができるはずだ。乞う、ご期待!

2015年6月5日(金) 受賞祝い会

 慶應大SFCの教職員や学生が中心になって、野生生物保護功労者「環境大臣賞」受賞の祝い会を開いてくださった。会場は学内のレストラン「タブリエ」。学外からは、近隣にすむ方たちが参加された。和やかで、楽しいひとときだった。中国人の研究者、チェン・ウェンボーさん手づくりの餃子がおいしかった。
 これからも、関係者とともに楽しく有意義な研究・啓蒙普及活動を展開していきたい。


2015年6月3日 米沢市近郊のカエル類

 この地域はカエル類が豊富だ。モリアオガエル、ニホンヒキガエル、ツチガエル、タゴガエル、トノサマガエル、ヤマアカガエル、カジカガエルが見聞きできる。
 モリアオガエルは産卵中。樹上で雌雄が折り重なりながら、泡のかたまりの中へ産卵と放精を繰り返している(写真)。
 この日は夕方から雨が降ったため、夜間、路上にたくさんのカエルが出ていた。一番多いのはモリアオガエル、次はニホンヒキガエル。車にひかれてしまうものが多いようだ。
2015年6月1日(月) 山形県米沢市近郊

 本日から、ハチクマなどの調査のため当地に来ている。森の中ではタニウツギ、ホウノキ、トチノキ、ニセアカシアなどの花が咲き乱れ、美しい景観をつくり出している。
 夜、恒例になっているナイトウォッチに出かけた。ヨタカに10回以上出合ったのに加え、コノハズク、ジュウイチなどの声も聞くことができた。鳥以外では、アカギツネ、ニホンヒキガエル、タゴガエル、サワガニなどを見聞きした。
 ヨタカは、川沿いに多数飛びかっているガ類を捕食している。地表に降りているものもいて、中には、車で数mまで近づける個体もいた(写真)。



2015年5月31日(日) 葉山・森戸川流域

 森戸川流域の森は、緑が濃くなり、初夏の趣に変わっていた。鳥の世界は、オオルリ、サンコウチョウ、センダイムシクイ、ホトトギスなどの夏鳥が出そろい、にぎやかさを増していた。相変わらず、ガビチョウがにぎやかにさえずっていた。
 サンコウチョウは3か所ほどで見聞きすることができた。繁殖が開始されているところもあり、雌雄が入れ替わりつつ抱卵していた(写真)。さっと写真を撮って、その場を離れた。安全に繁殖が進むことを願いたい。

2015年5月25日(月)26日(火) 秋田県森吉山

 鳥友の案内で森吉山のブナ林を訪れた。話に聞いていたとおり、すばらしいブナ林だった。樹齢数百年のブナが立ち並び、しかも林は平坦地に発達している(写真)。好天にも恵まれ、新緑に輝く林内をゆっくりと歩き、鳥や植物の観察と撮影を楽しんだ。
 鳥はオオルリ、キビタキ、センダイムシクイ、シジュウカラ、ヒガラ、ミソサザイ、アオゲラ、クマゲラ、カッコウ、ツツドリ、ジュウイチなど。植物はカタクリ、ミズバショウ、ヤシオツツジ、コブシなど。
 紅葉がまたすばらしいとのこと。秋にもぜひ訪れたい。



2015年5月19日(火) 三宅島

 昨日から三宅島に来ている。18日は晴天、19日は雨模様、仲間4人とともに快適な時をすごしている。
 太路池、薬師堂、椎取神社などの照葉樹林では、アカコッコ、コマドリ、イイジマムシクイ、ヤマガラ、メジロ、ヒヨドリ、ミソサザイ、コゲラ、カラスバト(写真)などがよく観察される。伊豆岬の草原では、ウチヤマセンニュウ、イソヒヨドリ、アマツバメ、ツバメチドリ(若鳥)などがよく観察される。
 ウチヤマセンニュウはササ先でさえずるほか、求愛飛翔を見せている。薬師堂では、シイの大木の根元にミソサザイの巣があり、抱卵中だった。

2015年5月16日(土) 横須賀で人慣れスズメ

 横須賀港に面するベル二―公園で、人が差し出す餌にスズメが次々に寄ってきていた(写真)。餌はクルミの実を砕いたものなど。手からクルミ片などをくわえて食べるが、手には乗ろうとしない。近くの喫茶店でも、同様の状況が見られるとのこと。
 野鳥に餌を与えないでください、という掲示板はあるが、公園で憩う人が近くのスズメに餌を与えて楽しんでいることから、こうした状況が出現することになったようだ。
 人慣れスズメや手乗りスズメは、徐々に広がっている。


2015年5月14日(木) ホトトギス渡来

 横浜市泉区の住宅街で、夜11時過ぎにホトトギスの声を聞いた。今季はじめて。カッコウ類は関東地方では、4月下旬ころに渡来するツツドリを除いて、5月中旬のこの時期にやってくる。ホトトギスは夜にも鳴くので、渡来してきたことに気づきやすい。
 ホトトギスの声を聞くと、いよいよ初夏になってきたなと感じる。この1週間ほど、夏を想わせる暑い日が続いている。季節は確実にめぐっている。野山の緑が鮮やかさを増している。


2015年5月10日(日) 野生生物保護功労者「環境大臣賞」受賞

 虎ノ門ヒルズフォーラムで開かれた野生生物保護功労者表彰式で、「環境大臣賞」をいただいた。京都の中村桂子さんが(公材)日本鳥類保護連盟総裁賞を、三重の高橋松人さんや日本雁を保護する会などが私以外に環境大臣賞を受賞された。式典の主催は環境省および日本鳥類保護連盟。常陸宮殿下・妃殿下ご臨席のもと、関係者百数十名が参加した。
 終了後、参加者の一部で浜離宮を訪れ、園内を見てまわった。
 左の写真は、環境大臣賞の楯。

2015年5月6日(水) ツバメの抱卵

 逗子のすまい近くの京急・神武寺駅構内で、今年もツバメが営巣している。今年は少し離れたところに、2つの巣が互いに見えるようにつくられており、現在、どちらも抱卵中(写真)。行き交うツバメの姿に通行人も見入り、巣内の鳥を暖かく見守っている。
 ツバメは通常、互いが近くに見える範囲には巣をつくらない。つがい外交尾などを防ぎやすくするためではないかと、考えられる。ここの2つの巣は、5mほど離れている。このくらいの距離ならかまわないということか。今後のなりゆきが注目される。


2015年5月5日(火) 伏見稲荷でぼや、カラスか?

 4月30日、京都の伏見稲荷の竹林で出火。カラスが「犯人」ではないかと考えられている。本日早朝、この件でTBSの「あさチャン」に出演し、可能性について話した。以下、その要点。
 カラス、とくにハシブトガラスは油脂分に富むものを好む。神社の境内に立てられる和ロウソクは、ハゼノキの実からつくられるもので、カラスの好物。くちばしでかじって食べる。また、持ち去って林床の落ち葉の間や家屋のすきまなどに隠し、あとになってとりだして食べることもする。
 ハシブトガラスは、神社に立てられたロウソクをくちばしでスパっと切りとり、くちばしにくわえて持ち去る。火そのものは消えるが、芯に火種が残っていると、落ち葉や家屋のすきまなどにさしこんださいに出火するおそれがある。和ロウソクは芯が太いので、火種が残りやすい。京都のぼや騒ぎも、こうしたことで起きた可能性がある。
 お参りしたあとには、ロウソクの火を消していくことが望ましい。


2015年5月3日(日) 川崎市生田緑地

 久しぶりに川崎の生田緑地を訪れた。木々の新緑が、目にまぶしいくらいに美しく輝いていた。連休中ということもあり、人でにぎわっていたが、森の中は生命(いのち)のにぎわいに満ちていた。新緑の間でミズキの白い花やヤマツツジの赤橙色の花が咲き乱れ、キビタキ、ウグイス、シジュウカラ、ヤマガラ、ヒヨドリ、キジバトなどの姿や鳴き声が目や耳に入ってくる。森の中の田んぼには、何種かのトンボやオタマジャクシの黒い塊などが見られる。
 とりわけ森の中できわだっているのは、外来鳥のガビチョウ(写真)。抑揚に富んだ大きな声があちこちから聞こえてくる。この鳥は今や、川崎、横浜、湘南地方の各地で優占種となっている。美しい声の鳥ではあるが、見聞きするたびに複雑な気持ちにならざるを得ない。

2015年5月2日(土) 多摩川河口付近

 小島新田から川崎寄りの多摩川河口付近を歩いた。干潟には、キアシシギ、チュウシャクシギ、ウミネコ、ユリカモメ、ダイサギ、アオサギなどが群れていた。とくに、チュウシャクシギの小群をじっくり観察する機会に恵まれた(写真)。湾曲したくちばしを砂泥の中やカキ殻の間に差し入れ、カニや貝の中身をとり出して食べていた。
 ユリカモメの中には、すでに頭が黒くなっているものがいた。ダイサギは1か所に10数羽が群れていた。
 水鳥以外では、ムクドリが群れになり、草むらでさかんに採食していた。

2015年5月1日(金) 野生生物保護功労者「環境大臣賞」

 本日、環境省より報道発表があり、第69回全国野鳥保護のつどいで、野生生物保護功労者「環境大臣賞」を授与することになった。主催は環境省および(公財)日本鳥類保護連盟。
  http://www.env.go.jp/press/100920.html
 功績概要は次の通り。1)人工衛星を利用してツル類やハクチョウ類の渡りについて、ロシア、中国、北朝鮮、米国などと共同研究をし、生物学分野と社会科学を応用した研究成果を発表した。2)渡り鳥の生態について局地的な移動、生息環境や食物資源の利用実態を明らかにしながら後進の指導にも尽力した。3)アホウドリとアカガシラカラスバトの保護増殖検討会では経験を踏まえた有益な助言で多大なる貢献をした。
 授賞式は5月10日(日)、東京・虎ノ門ヒルズフォーラムにて。


2015年4月29日(水) 葉山・森戸川

 新緑の美しい森戸川流域の森を訪れた。ヤマフジの薄紫色の花々があちこち咲き乱れる森の中では、オオルリ、センダイムシクイ、ガビチョウ、ヤマガラ、キジバトなどがよく見聞きできた。センダイムシクイの数は昨年より多め、オオルリは大差ない模様。小川沿いには、カワセミが活発に動きまわっていた。
 毎年のことながら、森戸川流域は新緑に萌える森とそこに訪れる夏鳥を楽しむのにとてもよいところだ。今年もやがて、サンコウチョウがやってくるだろう。

2015年4月8日(水)~9日(木) 岩手へ

 研究の打ち合わせのため、岩手大を訪問した。打ち合わせ終了後には、盛岡市内の山林や、少し足を延ばして江刺市の里山生活学校を訪れた。
 盛岡市内の山林では、林床にミズバショウが花を咲かせ始めていた。まだ雪の残る池沼で見るミズバショウは、すばらしく美しかった。里山生活学校では、「里山ランチ」をいただいたのち、やさし森から、いのち森、ビオトープ、サシバが巣をかけたことのある田んぼわきの松林まで、ひとめぐりした。ここでは、農業と自然環境保全を両立させる興味深い活動を展開している。
 江刺付近では、カモシカに出合った。警戒心が薄く、私たちの方をじっと眺めていた(写真)。



2015年4月3日(金) 東京大学へ

 研究の打ち合わせのため、東大本郷キャンパスを訪れた。三四郎池の水面には、桜の花びらがいっぱい浮かび、春らしい風景をつくり出していた(写真)。半年ぶりの訪問だったが、東大・本郷はいつ来てもうれしい気分になる。大学院から退職時まで、合計34年間すごしたところであり、いろいろな思い出が詰まっているからだ。
 農学部の正門横に建てられたハチ公と上野英三郎教授・像を見てこようと思っていたが、打ち合わせの結果に気をとられて忘れてしまった。次回の楽しみになった。

2015年4月2日(木) 新学期始まる

 昨日は日吉キャンパスで入学式。本日から学生がSFCキャンパス内に多数現れ、活気に満ちている。やはり、大学は学生の姿があって大学らしくなる。なんとなくうれしい気分。
 私の授業(自然環境論)は6月はじめからなので、それまでは主に研究の方に時間を割く予定。じきにいろいろな夏鳥も渡来してくる。野外に出かけるのが楽しみだ。



2015年3月30日(月) 千鳥ヶ淵でお花見

 満開を迎えた東京の千鳥ヶ淵でお花見を楽しんだ。お堀に枝をいっぱい伸ばしたヨメイヨシノの木々で花々が咲き誇っている様子は、いつ見てもすばらしい。午後と夜の2回、妻とともに楽しんだ。夜はライトアップされ、これまた幻想的(写真)。
 千鳥ヶ淵は日本でも有数のサクラの名所。この日は暖かだったこともあり、国内外の多数の人でにぎわっていた。海外からの人は2~3割ほど、年々増えているようだ。
 桜の開花・満開の時期は、ここ60年ほどで約1週間早くなっている。これは全国的な傾向だが、大都市ほどその傾向が顕著。地球温暖化に都市のヒートアイランド現象が加わった結果だ。全国のサクラの開花と気温上昇との関係については、次の論文にくわしい。
 小池重人,繁田真由美,樋口広芳.2012.日本各地のサクラの開花時期.地球環境17:15-20.

2015年3月24日(火) 横浜市舞岡

 暖かな日差しの中、舞岡を歩いた。ウメの花は終わり、モモやコブシ、キブシが花盛りを迎えていた。オオシマザクラの中に2,3輪、花を開いているものがあったほか、タチツボスミレも花を咲かせているものがあった。
 鳥では、ウグイスがあちこちでさえずっていたほか、モズ(写真)、ヒヨドリ、ムクドリ、ツグミ、コジュケイ、ガビチョウなどがよく見聞きできた。タシギやヤマシギは姿を消していた。
 この日はツバメには出合わなかったが、湘南地方では2,3日前から見られている。



2015年3月20日(金) コブシの花が見ごろ

 慶應大SFCで、コブシの花が見ごろを迎えている。まだ葉が開かない林の木々を背景に、大きな白い花々がきわだっている。写真は、私の研究室が入るε棟の前で撮影。
 学内の鴨池では、マガモ、コガモ、ヒドリガモ、カルガモが見られる。ヒドリガモは一時姿を消していたが、今月中旬になってまた現れるようになった。コガモはこのところ岸に上がって休んでいるものが目立つ。マガモの数は少なくなり、逆にカルガモが増えた。時おり、カワウ、アオサギ、コサギが見られる。

2015年3月20日(金) 鳥の図鑑を出版

 『ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑』がナツメ社から出版された。石田光司著、樋口広芳監修、本体1500円。
 日本の代表的な324種を対象に、分布、特徴、識別点、生態について記述している。すべての種で、特徴を示す美しい写真がのせられている。カモ類やサギ類、タカ類などを対象に近縁種の識別法、多くの種を対象に興味深い生態や行動などについての紹介もある。
 初心者を中心に、広く利用されることになりそうだ。



2015年3月16日(月) 春が来た!

 久しぶりに、茅ヶ崎里山公園方面に出かけた。園内では、ウグイスやシジュウカラがさえずり、春の雰囲気をただよわせていた。池にはカルガモとマガモがおり、こちらも動きが活発になっていた。オオタカがカモを襲う場面にも出合ったが、狩りは成功しなかった。
 帰路、近くの梅林にヒヨドリがやってきていた。ウメの花は盛期をすぎているが、ヒヨドリは花の中にさかんにくちばしを差し入れていた(写真)。近隣の畑では、ピンクのモモの花が咲いていた。
 

2015年3月7日(土) 高槻成紀先生の最終講義

 今春、麻布大学を定年退職される高槻成紀先生の最終講義と懇親会が、同大学内で開かれた。最終講義で高槻先生は、植物生態学から始まり、シカを中心とした哺乳類研究、植物と動物の相互関係研究など、これまでの研究生活を振り返り、楽しく有意義にすごされた年月を熱く語られた。心のこもった、とてもよいお話だった。
 私は高槻先生とは東大時代、研究室の運営で喜びや苦労をともにした。宮城県の金華山や伊豆諸島の三宅島にも一緒に出かけたことがある。
 懇親会では、東大の研究室の学生であった人やいろいろな研究仲間と再会し、また麻布大学の学生さんや教員の方と新たな交流もでき、楽しい時間をすごした。



2015年2月28日(土) 横浜市金沢文庫~金沢八景

 久しぶりに京急の金沢文庫駅で下車して、金沢八景までを散策した。この地域は、私が高校時代までをすごした場所だ。金沢文庫では称名寺と金沢文庫を訪れ、その足で海に出て金沢八景まで歩いた。いろいろな思い出の詰まった場所なので、とてもなつかしかった。
 称名寺では、ウメの花が見頃で、絵を描いている人たちが何人かいた。池にはオナガガモ、カワウ、カワセミなどがおり、とくにカワセミが姿をよく見せてくれた(写真)。同い年で昨年亡くなった友人と、高校時代にここを訪れたことがあるのを思い出した。

2015年2月25日(水) 三宅島

 八丈島から三宅島に移動した。太路池を訪れたところ、おびただしい数のニホンヒキガエルが池の中やほとりにいた。多くは交尾をしており、少数だが卵塊も見られた。あちこちから、コッコッあるいはグーグーと聞こえる声がしていた。
 これらのヒキガエルは、人が持ちこんで増えたもの。この時期、移動中のものが道路で車に多数轢かれ、それをハシブトガラスやノスリが食べる。かなりすさまじい光景が展開される。
 鳥の世界はミソサザイがさえずっている程度で、まだ静か。キブシの花、アオノクマタケランの赤い実が目立っている。





三原山系から八丈富士を望む
2015年2月24日(火) 八丈島

 三宅島に行く予定だったが、高波で船が島につけなかったため、八丈島を訪れた。島にすむ知人に三原山系の森林に連れていってもらったのち、八丈島ビジターセンターで今年の小島でのクロアシアホウドリの生息状況について情報を得た。昨シーズン、おそらくワシ類に多くの個体が捕食されていたため、この冬に再来してくるか心配していたが、現在のところ8羽が定着しているとのこと。以前と同様、何羽かが一緒になり、大げさな身振りで求愛行動を見せている。
 来シーズンには数も増え、うまくすれば繁殖個体も現れる可能性があるようだ。よいニュースを得てうれしかった。

2015年2月19日(木)、20日(金) 新潟

 研究の打ち合わせで新潟市に出かけた。ジオロケーターを利用した渡りの追跡、越冬地や中継地の気温変化が繁殖に及ぼす影響などについて、得られている成果をどう整理し論文にしていくか、友人の小池重人さんと話し合った。小池さんは、地元で長年コムクドリの研究を続けている。いろいろなアイデアが出て、実りある時をすごした。
 話し合いの合い間に、瓢湖で水鳥類を観察した。オナガガモ、ヒドリガモ、ハジビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、オオバン、コハクチョウ、オオハクチョウなどをよく観察できた。希少なアメリカヒドリが一羽、人おじせずに人のまく餌に近寄ってきていた(写真)。



2015年2月8日(日) 小堀洋美先生の最終講義

 今春、東京都市大学を定年退職される小堀洋美先生の最終講義と懇親会が、同大学内で開かれた。最終講義で小堀先生は、これまでの研究生活を振り返り、学生や教員、学内外の共同研究者などととても楽しく、有意義な時間をすごしてくることができたと語った。私は小堀先生とは、生物多様性の保全や温暖化関連の共同研究で20年ほど交流してきた。
 懇親会では、いろいろな人との再会や新たな出会いがあり、楽しかった。
 小堀先生とは、今後もいろいろな形で交流を続けていきたい。


2015年2月4日(水) 出水

 昨日と本日、出水平野の中でカモ類、バン類、ツル類などの観察を行なった。カモ類はマガモ、オナガガモ、ヒドリガモ、コガモ、カルガモ、ヨシガモ、オカヨシガモ、ツクシガモなどがよく観察できた。九州では全般的にオナガガモは少ないが、ここには2000羽ほどがいる。ツクシガモは水田で採食していた。バン類はオオバンがあちこちにいた。バンは1個体だけ。ツル類はナベヅル、マナヅル(左の写真)、カナダヅル。マナヅルはすでに半数が渡去している模様。ほかの水鳥類としては、ハマシギ、ヘラサギなどが目についた。
 水鳥以外で目立ったのは、ミヤマガラスとミサゴ。ミヤマガラスは数百の群れがいくつもあった。ニュウナイスズメの群れもいた。珍しいところではマミジロタヒバリ。草原におり、当地ではそれほど珍しくないとのことだ。

2015年2月2日(月) 鹿児島へ

 本日から、カモ類やツル類などの生息状況調査のため、鹿児島県出水に来ている。東京からの空路、眼下に富士山がすばらしい景観を見せてくれた(写真)。
 出水ではきょう、荒崎のツル渡来地を訪れた。今冬はナベヅル1万3000羽、マナヅル4000羽ほどがきているとのこと。給餌場以外でも、広大な水田地帯のあちこちで数10羽の群れや家族群が見られた。カナダヅルの一家族もいた。
 あすは、ツル類以外にカモ類やオオバンなどの生息状況を見てまわる予定だ。



2015年1月31日(土) 平塚・高麗山

 神奈川県平塚市の高麗山(こまやま)を自然散策した。高来神社から登り、大磯までの道のりで、比較的よく茂った照葉樹林が広がっている。森の中ではツバキの赤い花が咲き、小道沿いにはスイセンの白と黄の花があちこちで見られた(写真)。人家付近のウメの木の中には、すでに花を咲かせ、ほのかな香りをただよわせているものもあった。鳥ではヤマガラ、メジロ、アオジ、ヒヨドリなどが目についた。
 湘南平では、眼前に富士山がすばらしくよく眺められた。特別なことは何もなかったが、晴天の一日、ゆったりとした気分を味わうことができた。

2015年1月23日(金) カラスの大量死の原因

 1月8日に書いたカラスの大量死の件、数日前に国や地方の検査機関から結果が報告された。それによると、死亡個体の腸管からクロストリジウム(Clostridium perfringens)が検出されたとのこと。クロストリジウムは、ウェルシュ菌と訳される嫌気性桿菌。河川、下水、海、土壌中など自然界に広く分布している。いろいろな毒素をつくり、腸炎や食中毒などを起こす。実際、今回の死亡個体も壊死性腸炎を発症していた。
 クロストリジウム属にはボツリヌス菌などもふくまれる。ボツリヌス菌は野生鳥類に多大な影響を及ぼすことがあり、一度に数千、数万の水鳥などを死に追いやることがある。

2015年1月22、23日(金) 山陰、山陽の旅

 水鳥の生息状況調査のため、鳥取県米子、島根県安来、岡山県玉野などの湖沼を訪れた。米子水鳥公園では、オナガガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、コガモ、コハクチョウ、ハジロカイツブリなどを見た。美しい景色の中で水鳥が多数群れている様子が印象的だった。安来には広大なふゆ水たんぼがあり、コハクチョウがねぐらに使うとのこと。午前中、田んぼで採食する100羽ほどの群れを見た。
 玉野では、深山公園を訪れ(写真)、オナガガモやヒドリガモを間近で観察した。この公園は、溜池とその周辺の森林をもとにしてつくられたもので、市民の憩いの場所になっている。



GPS-TX装着後のハシブトガラス。背中に装着した機器からアンテナが出ている。
2015年1月14日(水) カラスにGPS-TXを装着

 横浜国大・先端科学高等研究院の藤野陽三教授の研究室が中心になって、カラスの移動追跡を行なうことになった。きょうは、あらかじめ構内で捕獲していたハシブトガラス6羽に、最新の追跡機器GPS-TXを装着した。数理設計研究所、(株)シー・アイ・シー、鳥関係の時田賢一さん、内田 聖さんらの協力を得ての実施で、今後3週間ほど追跡することになる。私の役割は全体の連絡、調整。
 GPS-TXはGPSを装備した合法の追跡機器。数理設計研究所が開発、製作したものだ。位置精度が高いので、カラスの局地移動を詳細に追跡できるはず。結果を楽しみにしている。

2015年1月12日(月) 3連休の鳥たち

 10日から本日までの3連休、図鑑原稿の校正、論文執筆の準備などを進める一方、横浜の氷取沢や舞岡、東京湾の久里浜・金谷航路などで鳥の観察を楽しんだ。氷取沢では美しいルリビタキの雄(写真)に、舞岡ではタシギ、ヤマシギなどに、金谷航路では船尾付近で巧みな飛翔を見せるトビやウミネコに出合った。
 氷取沢からの帰路、ぐるっと大回りして鎌倉の瑞泉寺、鎌倉宮、鶴岡八幡宮をめぐった。どこも人であふれていた。どこかでウメの早咲きが見られるかと期待したが、見られなかった。



2015年1月8日(木) カラスの大量死

 埼玉県の入間市、狭山市、所沢市一帯と熊谷市でカラスの大量死が発生している。年末、年始にかけて、これらの地域で合計110羽以上が死んでいる。本日、マスコミからの取材に応じて、入間市から所沢市あたりを中心に状況を見てまわった。入間市の雑木林では、新たに3羽のハシブトガラスの死体を発見した(写真)。
 死亡の原因は不明だ。埼玉県の関係部署の情報によると、鳥インフルエンザの簡易検査は陰性、毒物も検出されていない、胃の中は空とのこと。結果、「餓死」が原因、とのことだが、現地を見た限りでは、食物不足による餓死は考えられない。何らかの感染症あるいは毒物摂取によって健康障害を起こした可能性が高い。死亡したカラスは、ハシブトガラス、ハシボソガラスの両方で、割合としてはハシブトの方が多いらしい。
 現地は、ハシボソガラスが好む開けた環境。が、周囲には大規模ごみ処分場、養鶏場、養豚場、牛舎などがあるので、そこで得られる食物にハシブトも集まっている可能性が高い。今後まだ死亡例が増える可能性がある。

2015年1月3日(土) 横浜市舞岡

 今年初めての舞岡。小春日和の中、アオジ、ウソ(右の写真)、エナガ、ヤマシギ、ハシボソガラスなどをゆっくりと観察した。
 アオジはあちこちにいたが、1羽、まったく人おじしない鳥がいた。1mほどのところを人が往来しても平気で採食していた。ウソは、5,6羽の群れが草木の実をついばんでいた。エナガは、10羽前後がカエデの木に群れていた。珍しく人おじせず、1~2mほどのところでじっくりと見ることができた。ヤマシギは、雑木林の林床で、くちばしを泥の中に深く差しこんで採食していた。ハシボソガラスは、氷の張った田んぼで、ひものようなものをさかんに引っ張りだそうとしていた。鳥それぞれのお正月か!?
 舞岡駅前の桜の花は、12月のうちに散っていた。
 往路、舞岡八幡宮にお参りした。



2015年1月2日(金) 迎春

 本年が平和で安らかな年であることを願いたい。
 元日は横浜の伊勢山皇大神宮に参拝しした。初めての場所だったが、よい雰囲気の中で正月らしい時をすごすことができた。
 きょうは、真鶴岬から湯河原を見てまわった。真鶴では、海岸の岩礁でクロサギのつがいと思われる2羽をゆっくりと観察できた(写真)。よく茂ったクスノキの森林では、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロ、コゲラなどの群れに何度か出合った。湯河原では、温泉につかり、極楽気分を味わった。
 2日間とも、妻と二人の旅だった。















































1.アオジ。横浜市舞岡。



2.エナガ。横浜市舞岡。



3.ナベヅル。鹿児島県出水。



4.ミサゴ。鹿児島県出水。



5.キブシ
。三宅島。



6.ミズバショウ。岩手・江刺。



7.シノリガモ雌。白神山地。



8.上海、船上からの夜景



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