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折々の記録

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2016年

2016年12月27日(火) 鳥インフルエンザ関連の会議に出席

 この冬、鳥インフルエンザが猛威をふるっている。11月以来これまで、北海道から九州までの15道府県で120件以上、高病原性鳥インフルエンザへの感染/死亡例が出ている。死亡した鳥類は、ツル類、ハクチョウ類、ガン類、カモ類、タカ類、ハヤブサ類、ニワトリ、アヒルなど多岐にわたっている。
 本日、関連の会議が環境省主導で行なわれ、出席した。発生の現状報告のほか、今後の検査のあり方や拡散の防止法などについて討議された。
 高病原性鳥フルの発生は、おそらく1月や2月にピークを迎える。今後さらなる監視と効果的な対応が求められる。


2016年12月25日(日) 舞岡

 風のない穏やかな一日、横浜市の舞岡に出かけた。昨シーズンと同じ場所にタシギがきていた(写真)。3,4メートルの距離から見ていても人をおそれる様子がない。しかも、同じ場所で長い時間、採食している。どこから来るのか不明だが、昨シーズンのと同じ個体のように見える。
 ほかには、ハシボソガラス、ハクセキレイ、カワセミ、カルガモ、コガモ、ヒヨドリ、ガビチョウなど。ガビチョウは例によって美しい声でさえずっていた。
 ススキの穂に陽の光があたって、美しい冬景色をつくり出していた。

2016年12月20日(火) ラジオ番組の収録

 午前中に東京FM、午後にはベイFMの収録があった。どちらも、来年の酉年にちなんだ内容。東京FMの方は「ジャパモン」という番組で、渡り鳥のことを中心に話した。来年1月1日(日)午後1時放送予定。ベイFMの方は「The Flintstone」という番組で、托卵する鳥のことなどを話した。来年1月7日(土)午後6時放送予定。
 東京FMは、小山薫堂さん、柴田玲さんとのかけ合い、ベイFMの方は長澤ゆきさんとの対談で進められた。どちらの方も聞き上手なので、楽しく話すことができた。そのうち、ネット上にも番組案内が出る予定。

2016年12月11日(日) 風発関係のシンポジウムに参加

 シンポジウム「風力発電が渡り鳥に与える影響を考える‐障壁影響、バードストライク等への対応‐」に参加し、パネルディスカッションのモデレーターをつとめた。会場は慶應大・三田の北館ホール。主催は日本野鳥の会。
 二つの基調講演があった(同時通訳付き)。Aonghais Cook (British Trust for Ornithology)「風力発電が渡り鳥に与える影響-障壁影響とその対策を考える」と、Tristram Allinson (BirdLife International) 「渡り鳥に影響が出やすい場所での風車建設を避けるためのマップ作り」だ。関連の課題を先進的に進めるヨーロッパでの事例が紹介され、とても参考になった。

2016年12月5日(月)、6日(火) 高松

 鳥の生息状況調査のため、香川県の高松を訪れた。この地域には溜池が多数あり、そこがカモ類、サギ類、ウ類、カイツブリ類などの生息地になっている。とくにこの時期、水の多くを抜いた池が散見され、浅い水辺にダイサギ、チュウサギ、アオサギ、カワウ、マガモ、ヒドリガモ、オオバンなど多くの鳥が集まっていた。
 大きな池の中に、ソーラーパネルが広範囲にわたって設置されているところがあった。地域の電力供給に貢献しているのだろうが、池の生態系が損なわれてしまっているのではないかと思われた。

2016年12月3日(土)~4日(日) 東北大学で講演

 国際シンポジウム「北東アジアの環境:文化的認識と政策的関与」の一つのセッション、「東北アジアにおける国際環境協力のための科学とは:渡り鳥とその生息地を事例に」に参加し、講演した。演題は「東北アジアを中心とした渡り鳥研究の現状と課題」。主催は、東北大学東北アジア研究センター。会場は、同大マルチメディア教育研究棟。
 シンポジウムでは、条約や法的枠組みのあり方をふくめたきわめて広い観点から講演と議論が行なわれた。演者には国際法学(児矢野マリ・北海道大学教授)、国際環境学(石井敦・東北大学准教授)の専門家も参加していた。これまで参加した関連シンポジウムとは、ひと味違った興味深いものだった。とくに、シンポジウム終了後に行なわれた懇親会で、異分野のいろいろな方と意見交換できたのがうれしかった。



 短時間だが、学内とその周辺で、カラスの採食行動の観察を行なった。この地域は、カラスのクルミ割り行動がよく観察されているところだ。今回は、駐車場などで空中からクルミを落とす行動がしばしば観察された(写真)。

2016年11月29日(火) 東京で講演

 中央区民カレッジで、「自然に親しむ―森の鳥、水辺の鳥、くらしさまざま―」について講演した。対象はシニア世代。会場は中央区立築地社会教育会館。都心で秋から冬にかけて見られる森や林の鳥、水辺の鳥について、スライドを使って紹介した。
 いろいろな質問があった。カラスの行動について、スズメの生態について、渡り鳥の行き先など、シニア世代ならではの視点からのものが多く、興味深かった。
 最近、地域の自治体などからの講演依頼が少なからずある。地域の中で、自然や生きものに親しむ機会をもつことがすすめられているようだ。

2016年11月24日(木) 初雪

 東京都心とその周辺で、雪が降った。この地域での11月の降雪は54年ぶり。慶應大SFCでは、あたり一面雪景色になり、紅葉の木々に雪がかぶるめずらしい光景が見られた。
 学内の鴨池と呼ばれる池では、マガモなどが降りしきる雪の中、雪などおかまいなしに元気に動きまわっていた(写真)。水鳥はさすがにすごい!
 雪は午後遅くにはやんだ。寒い一日だったが、めずらしい雪景色を見ることができ、一日中なんとなく心が浮き立っていた。


2016年11月19日 アースデイ大学で講演

 アースデイ大学の第15回 特別講座「地球のメッセージを知ろう、未来へメッセージを送ろう。明日の地球のために、今、私たちにできること」で講演した。演題は、「生物多様性と私たちのくらし」。生物多様性とその保全をめぐる基本的なことがらを紹介したのち、鳥の渡りを例に、現状や保全のあり方について議論した。会場は、東京都の葛西臨海公園鳥類園。
 アースデイ大学とは、「地球のために行動できる人を創る」ことを目的とした、校舎を持たないバーチャルな活動体。代表の生姜塚理恵さんを中心に、講座を軸にしていろいろな活動を展開している。
 この日の特別講座では、私の話以外に具体的な保全活動の例として、多摩川流域の自然環境保全活動、ビルの屋上で繁殖するコアジサシの保全活動、里山の自然と竹紙の利用、日本人の自然観などについての講義があった。
 自然や生きものに関心のある人、環境保全の実践家、親子の家族などが参加し、楽しく、有意義な時をすごした。


2016年11月17日(木)~18日(金) 富士山麓須走

 鳥類の生態調査のため、富士山麓須走を訪れた。晴天に恵まれ、すばらしい景観の富士山を眼前にながめながら、のんびりと調査を進めることができた。調査地内には、ヤマガラ、シジュウカラ、ジョウビタキ、アトリ、ゴジュウカラ、ヒヨドリ、ツグミ、シロハラなどがいた。
 同行した鳥仲間といろいろな情報交換をできたのもうれしかった。施設を貸してくださったネイチャーシネプロの吉田嗣郎さんには、オオムラサキの生活史についての貴重な情報を提供していただいた。
2016年11月15日(火) 紅葉

 湘南地方の平地では、紅葉が美しい季節を迎えている。慶應大SFCの内外では、ケヤキやイチョウなどが赤や黄に色づいている。研究室の窓からもそんな様子が見てとれ(写真)、一日気持ちよくすごすことができる。
 鳥の世界では、今秋、多くの地域に、マヒワやアトリなどの種子食の小鳥が数多く渡来している。近隣の林や田んぼなどでも姿を見かける。紅葉を背景にしてこれらの鳥を見るのは、楽しいことだ。




インドネシア語版の表紙。SyartiniliaさんのFacebookより。
2016年11月12日(土) 『鳥たちの旅』のインドネシア語版が出版

 『鳥たちの旅―渡り鳥の衛星追跡―』のインドネシア語版が出版された(写真)。訳者はボゴール農科大学のSyartinilia講師、出版社はIPB Press。
 これで、本書は日本語、中国語、韓国語、英語、インドネシア語の5か国語で出版されたことになる。日本語原版は2005年の出版、英語版(2013年)で新しい情報を多少加え、今回のインドネシア語版はその英語版をもとにして翻訳された。 
 渡り鳥は、いくつもの国にまたがって移動する。そうした移動の様子が本書に記されているわけだが、アジア諸国は言葉の壁により研究内容が伝わりにくい。その壁が、これら一連の翻訳出版によって、かなり取り除かれている。たいへんうれしいことだ。
 次は、ロシア語版が準備されている。

2016年11月12日(土) 富士山自然保護大賞の授賞式に出席

 富士山自然保護大賞ジュニアの授賞式が、河口湖畔の山梨県立富士山科学研究所で開かれ、審査委員として出席した。小学生から高校生までが対象のこの表彰は、今年で5回目。富士山地域で学ぶ生徒たちが、主に夏休みを利用して調べた成果を発表し、その中からすぐれたものにいろいろな賞を与える。課題は、富士山の自然や生きもの、それらをめぐる自然環境の保全など。いろいろな発表があり、とても興味深い。
 川口湖畔は、ちょうど紅葉の美しい季節だった。晴天に恵まれ、雪をかぶった富士山頂が美しく映えていた。

2016年11月4日(金)~5日(土) 栃木県塩原

 紅葉の塩原を訪れた。40数年ぶりになる。期待していたほどの美しさではなかったが、箒川沿いに黄や赤の紅葉が広がり、多くの観光客の姿とともに秋の情景を十分に映し出していた。
 宇都宮大学の学生時代、この地に住まいをもつ清棲幸保先生を何度か訪れた。また、鳥の観察のためにもかなり頻繁に訪れた。当時のことが思い出され、とてもなつかしかった。
 川沿いをのんびり歩きながら、セグロセキレイ、カワガラス、ジョウビタキ、カケスなどの観察を楽しんだ。清流でみるセグロセキレイやカワガラスの姿は、やはりとても印象的だ。
 塩原の名所「木の葉化石園」は、自然史博物館として衣替えし、立派な展示が立ち並んでいた。記念に、木の葉石を一つ購入した(写真)。化石を見ると、なぜかいつも心が躍る。



2016年10月29日 秋の夏鳥

 横浜の舞岡に出かけた。キビタキやツツドリ(写真)などの夏鳥が、南下の途中に立ち寄っていた。キビタキはきれいな雄だった。ツツドリはハンノキの茂みで昆虫の幼虫をとっていた。一方、冬鳥のジョウビタキが渡来し、モズが高鳴きし、季節の鳥が混在していた。ガビチョウが元気よくさえずっていた。
 水田では稲刈りが終わり、管理のよくない田んぼでは、残った稲穂にスズメが群れていた。
 ガマズミやムラサキシキブなどに実がたくさんついていたが、一部はおそらく鳥に食べられていた。

2016年10月17日(月) NHKで「アネハヅル 驚異のヒマラヤ越えを追う」を放送

 本日夜8時から9時まで、NHK BSプレミアムでワイルドライフ「アネハヅル 驚異のヒマラヤ越えを追う」が放送された。夏にモンゴルで繁殖したアネハヅルが、秋、ヒマラヤの7000m、8000mの山々を越える様子が美しく映し出されていた。
 番組では、ツルたちがヒマラヤの山の斜面に発生する気流をとらえて上昇しようとする。が、そう簡単にとらえることはできない。とくに若鳥の群れは経験不足もあって苦労する。が、何度かの試みのあと、ようやく上昇することに成功。話の流れも感動的だ。
 3年ほど前に放送された番組だが、好評だったため再放送されたようだ。私は現地での撮影にも同行し(右の写真)、番組製作に全面的にかかわった。ニルギリやダウラギリの白い峰々をながめながら、ツルの群れが渡りゆく光景を見つめるのは最高だった。


2012年10月、ニルギリをのぞむジョムソン・カリガンダキにて。


2016年10月9日(日)~12日(水) 中国科学院大学で講演

 北京の中国科学院大学・国際会議センターで開催された全国生物多様性科学・保全学会で基調講演を行なった。演題は、Bird migration and biodiversity conservation in East Asia。この学会は2年に一度開かれるもので、今回は12回目。中国の全土から、生物多様性の研究や保全にかかわる専門家が600名ほど参加していた。
 講演は10日(月)の午前に行ない、それ以降は中国科学院大学・生態環境科学研究センターに移動し、Cao Lei教授などとともに、今後の渡り鳥関連の共同研究のあり方について議論した。中国の渡り鳥研究は、最近急速に進んでおり、今後の共同研究の展開が楽しみだ。

2016年10月6日(木) 早稲田大オープンカレッジで講義

 早稲田大学・八丁堀校の「生命(いのち)のにぎわいを探るー秋編ー」の講義が始まった。私は1回目と2回目を担当。きょうは初回。「飛び方さまざまー鳥たちの飛行術」について話した。最近の高度通信技術を使った研究のおどろくべき結果をふくめて、鳥の飛行術がいかにすぐれているかに焦点をあてた。来週の2回目は、「渡るか渡らないか、生き方の多様性」について話す予定。
 この講義は、シニア世代向けのもの。私の2回ののち、植物、昆虫、哺乳類についての話が続く。
 受講者は社会で活躍してきた多くの人がふくまれており、とても熱心だ。講義の最中でもあとでも、いろいろな質問がとんでくる。

2016年10月5日(水) 東大と慶応大で講義

 冬学期(慶應大では秋学期と呼ぶ)が始まって、講義の時間が増えてきた。本日は、東大で「生物の多様性と進化」、慶應大でBiodiversity Scienceの講義を行なった。「生物の多様性と進化」は学部生が対象、受講者数は160名ほど、Biodiversity Science(英語の講義)は大学院生が対象、受講者数は10名。
 午前中、東大で講義、すぐに慶應大SFCに向かって午後2時45分から講義と、あわただしい一日だった。Biodiversity Scienceは今年、タイ、インドネシア、中国、韓国、モンゴル、モロッコ、スワジランドなどの学生が受講している。生物多様性の保全をめぐって広く情報交換ができそうで、楽しみにしている。

2016年10月2日(日) モズの観察

 久しぶりに青空の広がった一日、葉山の久留和方面に出かけた。高鳴きするモズの観察が目的。久留和の里山で、予想どおり、モズはあちこちで高鳴きをしていた。2羽が互いにけん制し合っている光景も見られた。野辺には、ところどころヒガンバナが赤い花を咲かせており、モズの高鳴きとともに秋の風情をかもし出していた。
 モズ以外では、ガビチョウやコジュケイが鳴いているくらいで、静かだった。
 近くの露店で購入したおはぎをおいしくいただいた。



2016年9月30日(金) 小出川のヒガンバナ

 少し晴れ間の出た午後、慶應大SFCの近くの小出川にヒガンバナを見に出かけた。最盛期はすぎていたが、川岸にまだ多くの花が咲いており、十分に楽しむことができた。ところどころ、ナミアゲハがヒガンバナの花にとりついていた(写真)。
 モズの高鳴きが始まっている。雑木林の梢で、けたたましい声で鳴いている光景が何か所かで見られた。
 きょうで9月は終わり。不安定な気候が続いているが、秋は確実にやってきている。

2016年9月24日(土) 渋谷で講演

 連続講座「おとなの環境学」の第一回目として、「鳥の渡りと地球環境の保全―旅の名人、渡り鳥のおどろきの生態とは・・・―」について特別講演した。主催は(株)ネイチャー&サイエンス・コンサルティング(NSC)、会場は東京渋谷にある国連大学ビル一階の地球環境パートナーシッププラザ。NSC代表取締役の土光智子さんも、丹沢のツキノワグマの追跡について講演した。
 地球環境パートナーシッププラザ内には、地球環境や生物多様性の保全にかかわるいろいろな活動が紹介されていた。パネルやパンフレットなどが多数展示されており、地域と地球規模の両方で展開されている諸活動の様子がよくわかった。

2016年9月20日(火) 札幌から東京へ

 台風16号が西日本から関東に向かっているとのことで、家族の強い要望から空の便による移動をとりやめ、陸路で札幌から東京方面に戻ってきた。新函館北斗までは在来線特急、その後は新幹線を利用した。
 合計で8時間ほどかかり、当初は退屈するのではないかと思ったが、車窓から見える景色やいろいろな鳥の姿などを楽しみ、よい時間をすごすことができた。
 とくに、道南の内浦湾を望む景色はすばらしく、見ていて飽きなかった(写真)。サギ類やウ類、カモメ類などが景色に活気を与えていた。



2016年9月16日(金)~20日(火) 札幌

 日本鳥学会2016年度大会出席のため、札幌に出張した。会場は北海道大学。参加者が500名以上を越え、盛会だった。いろいろ興味深い講演があったが、とくに、公開シンポジウム「恐竜学者の鳥の話と鳥類学者の恐竜の話」がおもしろかった。鳥は恐竜の子孫、鳥は裏庭の恐竜と言われる今日、恐竜側の話と鳥類側の話の合体/融合は学ぶところが多く、なによりも楽しく話を聞くことができた。
 私は「東京都心におけるウミネコの屋上繁殖」について講演した。
 18日の午前中、近郊の野幌森林公園に出かけた。雨上がりでさわやかな空気の中、散策を楽しんだ。林内はすでに秋の気配。ナナカマドの木々が色づき始め、赤い実が多数ついていた(写真)。鳥の世界は静まりかえり、シジュウカラ類の群れやキツツキ類などが少数見られただけだった。

2016年9月15日(木) 『地球を旅する生き物たち』の出版

 樋口広芳監修『地球を旅する生き物たち』がPHP出版から出た。鳥からウミガメ、クジラ、トナカイなどまで多様な生きものの季節移動について紹介している。多数の興味深い写真や図を使い、わかりやすい文章で要点を押さえて記述している。全ページカラー。
 この本の出版にあたって、私自身、いろいろな生きものの季節移動についてたくさんのことを学んだ。地球をまたにかけて移動する生きものたちの生きざまは、すさまじくもすばらしい!
 よい本を出版できたことをうれしく思っている。



2016年9月10日(土) 田んぼのセイタカシギ

 西表島の田んぼには、セイタカシギがたくさんいる。緑の草の間から、成鳥や幼鳥が姿を現わす(写真)。本州の干潟で見るのとは違った雰囲気がかもし出されている。いかにも南国の湿地でくらすセイタカシギ、といった感じだ。南東部の水田だけでも100羽ほどはいるだろう。
 田んぼには、ほかにタカブシギやアオアシシギ、イソシギ、種不明のジシギ(たぶん、チュウジシギやハリオシギ)もいる。渡り途中のものだ。
 のどかな風景の中でシギを見るのは、とても心地よい。

2016年9月10日(土) 西表島

 昨日、会議と視察を終え、西表島に移動した。夜、島の知人と、田んぼとその周辺の林でナイトウォッチをした。ズグロミゾゴイ、タカブシギ、アオバズク、リュウキュウコノハズクなどの鳥のほか、ヤシガニ(写真)、サキシマハブ、アカマダラ、サキシママドボタルなどを観察、撮影して楽しんだ。
 きょうは、同じ場所でセイタカシギ、イソシギ、アオアシシギ、ジシギ、カンムリワシなどを観察した。
 来るたびに思うが、西表島は生きものの観察にとてもよいところだ。



2016年9月8日(木) 石垣島

 昨日から、沖縄県の石垣島にきている。鳥関係の委員会および視察に参加するのが目的。
 きょうは島の広い範囲を見てまわった。水田には、セイタカシギ、バン、シロハラクイナ、アカガシラサギ、アオサギ、アマサギ、チュウサギ、ダイサギなどが、干潟には、アオアシシギ、キアシシギ、メダイチドリなど、道沿いの林や開けた環境にはモズ、ハシブトガラス、シロガシラ、カンムリワシ(写真)、キジなどが見られる。
 蒸し暑い日が続いているが、サンゴ礁の海は美しく、陸の景色もゆったりしている。

2016年9月4日(日) NHK俳句「渡り鳥」

 人気番組「NHK俳句」で「渡り鳥」が題としてとりあげられ、本日早朝に放送された。6000件を超える応募作品から9句が選ばれ、披露された。選者は、俳人で番組のコーディネーターをつとめる正木ゆうこさん。正木さんご自身の句も。正木さんは大のタカ渡りファンとのこと。司会は岸本葉子さん。
 私はゲストとして招かれ、選ばれた句についての感想を述べ、番組に依頼され生まれて初めてつくった句を披露。渡り鳥の生態についての解説も試みた。俳句はまったくの素人だったが、いろいろ新しい経験をさせていただき、楽しい時をすごすことができた。
 番組終了後に、何人もの知人や友人からから感想などが寄せられた。とても好評のようだった。
 再放送は、9月7日(水)午後3時から3時23分(NHK Eテレ)。

2016年9月2日(金) 三宅島

 昨日から三宅島にきている。台風10号が去ったのち、さわやかな天気が続いている。
 昨日は太路池に出かけた。メジロの群れがあちこちで見られる。10~20羽ほどの群れになっており、ときにはそれらの群れに取り囲まれることがある。ヤマガラがエゴノキの実を貯えているのも見られる(写真)。この時期はエゴノキ、10月になるとスダジイの実が貯蔵対象になる。少数のイイジマムシクイやカラスバトがさえずっている。アカコッコは見られるが、コマドリやミソサザイの姿はない。
 きょうは、すまいの周辺を歩いた。磯の岩礁にはイソヒヨドリがたたずみ、海上にはオオミズナギドリの群れが飛びかっていた。

2016年8月31日(水) 谷津干潟

 三宅島に出かける前の日中の時間を利用して、千葉県習志野市の谷津干潟を訪れた。満潮に近い時間帯だったが、浅瀬でキアシシギ、アオアシシギ、コアオアシシギ(写真)、セイタカシギ、ダイゼンなどが採食、休息していた。
 どの鳥も数は多くなかったが、比較的近距離からじっくりと見ることができた。とくに、見る機会が少ないコアオアシシギがこまめに動きまわりながら、細長いくちばしを使って水の表面や突き出た草から小さなものをつまみ取る様子がよく観察できた。
 今年は、多くの干潟や海浜に渡来するシギ・チドリ類の数が少ないようだ。近年、このなかまの鳥は急激に減少しているが、それを考慮しても今年は少ない。何があったのだろうか。



2018年8月28日(日) イネに群がるスズメ

 めずらしく涼しい天候のもと、舞岡に出かけた。鳥の世界はひっそりしていたが、実りを迎えたイネの穂にスズメが群がっているのが観察された(写真)。防鳥網でおおわれているところにはもちろんいないが、そうでないところでは、数10羽の群れが水田と近くの樹木の間を行き来していた。
 古民家の庭にトロロアオイの美しい花が咲いていた。野辺では、クズやハギ、ツリガネニンジンなどの花が目についた。昆虫では、アオスジアゲハ、モンキアゲハなど。

2016年8月24日(水) NHK俳句「渡り鳥」の収録

 NHK・Eテレの人気番組NHK俳句で「渡り鳥」をテーマにすることになり、本日その収録があった。エッセイストの岸本葉子さんの司会、俳人の正木ゆう子さんの進行のもと、まずは、一般応募数千句の中から選ばれた句や、正木さんご自身の句などが紹介された。そののち、3人で季節と渡り鳥をめぐるいろいろなことがらについて話し合い、私はハチクマのおどろきの渡りの実態などを紹介した。
 正木ゆう子さんは、熱烈なタカ渡りファンだった。毎秋、どこかにタカの渡りを見に行かれているとのこと。知識も経験もかなりの域に達している。それらがご自身の俳句の中に生かされており、とても味わい深いものだった。
 放送日は以下の通り。関心のある方は、ぜひごらんいただきたい。
  9月4日(日)午前6時35分~7時  NHK・Eテレ
  9月7日(水)午後3時~3時25分  NHK・Eテレ(再放送)

2016年8月22日(月) 台風到来

 早朝から台風9号の影響が現れ、あたり一面、猛烈な雨と風に見舞われた。予定していた仕事を延期し、自宅ですごしていた。台風は、午後に関東南部などの本土に上陸。すさまじい風雨で、外の景色が白くかすんで見えた。
 午後4時すぎになってから、風雨ともに和らいだ。自宅前の建物の屋根でカワラヒワがにぎやかに鳴いていた。目をやると、巣立ちびなに親鳥が給餌していた(写真)。何度も繰り返し給餌しているのが観察できた。台風のおかげで、貴重な観察の機会を得ることができた。
 台風一過、夕焼けがきれいだった。



2016年8月20日(土) 神奈川県藤沢市で講演

 藤沢探鳥クラブ主催の講演会で、「地球温暖化と鳥たちのくらし」について講演した。会場は藤沢市民会館。進行しつつある地球温暖化が、鳥の渡来時期や産卵時期にどのような影響を及ぼしているのか、鳥の食物となる植物や昆虫などとの関係はどうなのか、人のくらしにはどう影響があるのかなどについて話した。質疑では、いろいろ興味深い質問があり、参考になった。 
 講演終了後には、探鳥クラブの会員との交流会が開かれた。湘南地方を中心に活動されている方々から、貴重な情報を得ることができ、楽しいときをすごすことができた。



小山市のなつみずたんぼに群れるアオアシシギ
2016年8月13日(土) なつみずたんぼで水鳥観察

 埼玉県北部から栃木県南部にかけて、なつみずたんぼへの水鳥の渡来状況を調べに出かけた。
 なつみずたんぼとは、生産調整のために転換された麦畑の刈り取り後に水を張ったところ。小さないろいろな生きものがすみつくため、シギ・チドリにとって好適な滞在地になる。水張りは雑草防除や防虫の効果もある。農業の新しいあり方と生物多様性の保全の両立をめざす活動で、NPO法人オリザネットが中心になって進めている。この日も、オリザネットのメンバーの案内で見てまわった。
 比較的限られた場所でしか鳥を見ることができなかったが、アオアシシギ、タカブシギ、コチドリ、イカルチドリ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギ、バンなどに出合うことができた。

2016年8月10日(水) 舞岡

 うだるような暑さの中、舞岡に出かけた。さすがに、ガビチョウもウグイスもほとんどさえずっていなかった。里山に響くのは、アブラゼミ(写真)、ミンミンゼミ、ヒグラシなどのセミしぐれ。人の姿もまばら。
 イネに穂がついている。あちこちで、鳥よけの青い網がかぶせられている。が、まだスズメはやってきてはいない。
 青い空に大きな入道雲。古民家の縁側で、盛夏の一日をのんびり過ごした。




放鳥直前のハリオアマツバメをもつ
2016年8月3日(水)~7日(日) ハリオアマツバメの調査

 北海道の帯広で、ハリオアマツバメの調査を行なってきた。昨年に続き、親しい仲間との共同研究。観察と捕獲、追跡機器の装着が目的。まずまずの成果があがった。ハリオアマツバメは5羽前後の小群になって飛びまわっていた。すばらしいスピードで空を切りながら飛ぶ様子は、見ていて実に爽快だった。
 調査地内には、ハリオアマツバメのほか、センダイムシクイ、コサメビタキ、ヒガラ、キバシリ、アカゲラ、トビ、ノスリなどが生息していた。
 帯広はこの時期、七夕祭りでにぎわっていた。日中は暑かったが、夜は涼しくなり快適だった。

2016年8月1日(月) Donate For Birds

減少や絶滅の危機にある鳥とその生息環境を保全する新しい活動が始まった。Twitterを利用した広報、寄付活動だ。この方面にくわしい知人や企業、Conservation Internationalなどが中心になって立ち上げたもので、私は監修をつとめている。ぜひ、以下のサイトにアクセスしていただきたい。

http://donateforbirds.com/

DONATE FOR BIRDSというタイトルのもとで、興味深い内容が展開されている。
日本語と英語のページがある。以下、日本語のページの案内を引用しておく。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
Twitterのサービスが開始され10周年を迎えた、2016年7月15日。

私たちは、世界中で繁殖した、このデジタルな鳥・Twitterを使ってリアルな野鳥達とその環境を守るためのプロジェクト、『DONATE FOR BIRDS』を開始しました。このサイトでは、現在、人間社会の活動の影響によって7種に1種が絶滅の危機に瀕していると言われている野鳥達の生存に重要な生態系の維持、それを可能にする持続可能な社会の構築へ向けた、私たちの取り組みを支援していただくために『2つの寄付の仕方』を設けました。1つはお金を寄付していただく通常の寄付。もう1つは“自分が生み出した鳥であるTwitterを寄付する”という世界で初めての寄付の仕組みです 。お金が寄付できない方でも自分のアカウントを寄付することで周囲(フォロワー)に野鳥とその過酷な現実を伝えることができます。

これまでTwitterは多い時には1日に40万のアカウントが作られ、現在世界では数億のアカウントが存在しています。また、若い世代の方は平均約4個のアカウントを使い分けています。ここ数年、リアルではないソーシャルネットワークの世界に疲れた方等の記事が世界的に増えています。SNSに疲れた方やソーシャルデトックスを始める予定の方にこそ、このプロジェクトに参加をして頂きたいと考えています。

私たちはこのプロジェクトを通じリアルな場、デジタルな場双方で持続可能なあり方をみなさんと一緒に創っていきたいと考えています。
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2016年7月28日(木) 梅雨明け

 本日、関東甲信地方が梅雨明けした。雨がそれほど多くない梅雨だったが、平年より7日遅く、昨年より18日遅い梅雨明けだとのこと。入道雲が広がり、たしかに梅雨明けしたことを感じさせる一日だった。
 神奈川を除く関東6都県に水を供給する利根川水系のダムでは、水位が大幅に低下している。貯水量は平年の6割程度。暖冬による雪不足や、梅雨時のダム付近の降水量が少なかったことが原因のようだ。深刻な水不足が心配される。

2016年7月26日(火) 葉山森戸川

 2か月ぶりに森戸川を訪れた。草木が茂り、鳥の声はあまりしていなかったが、たまにオオルリ、センダイムシクイ、サンコウチョウがさえずっていた。あいかわらず、ガビチョウとウグイスはさかんにさえずっていた。
 サンコウチョウとウグイスは、抱卵中の巣があった。ウグイスの巣にホトトギスが托卵しているのではないかと期待したが、ウグイス卵しかなかった(添付の写真)。
 ヤマユリが林縁で美しい花を咲かせていた(右の写真)。




マメコガネの交尾
2016年7月23日(土)  マクロ撮影の楽しみ

 最近、マクロ機能のすぐれたカメラを入手した。きょうは横浜の舞岡で、マクロ撮影を楽しんだ。ミズヒキやトラノオの花、小さなクモやアリ、甲虫などを対象にいろいろな写真を撮った。おもしろいようにすばらしい写真が撮れる。野外に出る楽しみが、確実にもう一つ増えた。
 鳥の世界は、ガビチョウ、コジュケイ、ウグイス、ハシブトガラスが鳴いているほかは、にぎやかさを失っている。換羽中で頭の羽毛がちょっと乱れたカワセミが、水辺で小魚をさかんに捕っていた。

2016年7月16(土)~17日(日) シノリガモの観察

 知人からの連絡を受けて、シノリガモの子育ての様子を観察に出かけた。場所は青森県南部の森林沿いの河川。ふ化後、約2週間のひな5羽が雌親に連れられ、川を行ったり来たりしていた(添付写真)。ひなはまだ幼いのに、水中に頭を突っ込み、水生昆虫と思われるものをさかんにとっていた。
 時おり、大きな岩の上に乗り、家族でゆったり過ごしていた(右の写真)。とても愛らしい光景だった。観察と撮影はブラインドの中から。警戒されずにじっくりと観察することができた。
 2日間、すばらしい時をすごすことができた。とてもうれしく思っている。


2016年7月15日(金) 夏までの授業終了

 慶應大SFCでの春学期の授業が、きょうで終了した。慶應大SFCでの任期は今年度いっぱいなので、ここでの春学期の授業はきょうの自然環境論で完了となる。ちょっとさびしい気もするが、よい雰囲気の中でこれまで5年度分、じっくりと話すことができた。うれしく思っている。あとは、秋学期の英語の授業Biodiversity Scienceを残すだけだ。
 東京大学を定年退職して、早や4年数か月になる。月日の経つのはほんとうに速いものだ。

2016年7月12日(火) NHKテレビの視点・論点に出演

 本日早朝(4時20~30分、NHK総合)と午後(1時50分~2時、NHK・Eテレ)の2回、上記番組で「鳥の渡りの謎」について話した。『鳥ってすごい!』関連であった出演依頼だ。
 前半では、渡りの驚異の記録として200日間飛び続けたシロハラアマツバメの例、8日ほどでアラスカとニュージーランドの間をノンストップで飛んだオオソリハシシギの例などを紹介した。後半では、東アジアの国をすべて一つずつめぐるハチクマの渡りの詳細を話した。
 10分の短い時間ではあったが、写真や動画を使うことができ、鳥の渡りについて知ってもらうよい機会となった。収録は6月22日。


2016年7月12日(火) 千葉県我孫子と柏

 研究の都合で我孫子市の知人宅を訪問。そののち、我孫子と柏の里山一帯を知人の車でめぐった。暑い日の午後だったが、サシバ、キビタキ、ウグイスなどを見聞きした。水辺付近では、シオカラトンボやノシメトンボ、ハグロトンボ(写真)などのトンボが目についた。
 この地の里山の多くは、水田、休耕田が放置されて草木が生い茂り、サシバがすむのには適さなくなってきている。きょう、かろうじて1羽を見ることができたのは幸運だったのではないかと思われる。放置されている理由は、農家の後継者が育っていないためだ。

2016年7月9日(土) ベイエフエムに出演

 ラジオのベイエフエムで、「鳥ってすごい!」をテーマに、鳥のおそるべき飛翔能力、それを生み出すすばらしい体のつくり、鳥のおどろくべき色覚、数万キロにおよぶ渡りの実態、カラスの信じられない知的能力などについて話した。
   http://www.bayfm.co.jp/flint/
 司会の長澤ゆきさんとの対談形式で進められた。この番組は、「地球を愛し、地球を学び、地球と遊び、地球に生きる」を全体のテーマに、自然や環境にかかわるさまざまな話を展開する。今回のタイトルは、「恐るべき鳥の能力!~200日間飛びっぱなし? 380キロ? 月と地球を往復?」。今年前半に出版された『鳥ってすごい!』を読んでくださった番組ディレクターからの出演依頼だった。
 自由で楽しい雰囲気の中で、とても気持ちよく話すことができた。収録は6月21日だった。
2016年7月9日(土) 明治大学で講演

 東京御茶ノ水の明治大学で、「カラスの多様な食習性と地域食文化」について講演した。この講演は、明大農学部応用植物生態学研究室(倉本 宣教授)が進めるシチズンサイエンス関連のシンポジウム企画の一つ。ほかには、東京農工大・科学博物館の齋藤有里加さんと明大・応用植物生態の高田 陽さんが、市民によるハグロトンボの生息状況調査、カラスの歩き方の行動調査についてそれぞれ話された。参加者は学生や一般社会人で、市民参加の調査に関心をもつ人たちのようだった。
 シンポジウム終了後、久しぶりに神田の古本屋街を歩いた。30年ぶりくらいだったろうか。古い本のにおいのするいくつかの店に入り、学生時代によくこの地を訪れていたことを思い出した。

2016年7月7日(木) 「地球環境」“Global Environmental Research”の編集委員長を退任

 本日開かれた編集委員会で、上記2誌の編集委員長を退任することになった。ちょうど10年前の7月7日に編集委員長に就任したので、すばらしく切りのよい退任となった。この2誌は、一般社団法人・国際環境研究協会が発行する学術誌で、専門外の人にもわかるように総説主体の特集形式によって、地球環境問題をさまざまな側面から扱っている。大部分のページがカラーというのも、特色になっている。
 これまでの10年間、和文誌、英文誌で、地球温暖化が生態系や人間生活に及ぼす影響、外来種が在来生物に及ぼす影響、里山の自然環境保全、東日本大震災が人間生活や生態系に及ぼした影響、干潟生態系の現状と保全、渡り鳥の渡り経路解明と保全への利用、低炭素社会のビジョンと実現シナリオなど、さまざまな特集を組み、国の内外に貴重な情報を発信してきた。とても充実した、すばらしい時をすごすことができたと、うれしく思っている。
 ここで得たいろいろな知識や経験を、今後の私の活動にいろいろ生かしていきたいと思っている。

2016年6月30日(木) ハチクマ関連の論文を2編出版

 一つは、ハチクマの羽毛の微細構造についての論文。

 Sievwright, H. and Higuchi, H. 2016. The feather structure of Oriental Honey Buzzards (Pernis ptilorhynchus) and other hawk species in relation to their foraging behavior. Zoological Science 33:295-302

 この論文では、羽毛の微細構造をハチクマとトビ、サシバで比較し、 ハチクマの糸状微粒子に注目している。 また考察で、糸状微粒子に関連して、ハチクマをビニール袋内でもみほぐしたあとの袋にミツバチを入れ、ハチが不活性になったことを簡単に述べている。 この点の詳細は、別の論文で明らかにする予定。 共著者のHolly Sievwrightさんは、東大の私の研究室に留学していた女性。現在は、イギリスに戻り、Field Study Councilに所属している。

 もう一つは、東シナ海をめぐる春秋の渡り経路の違いについての論文。

  Nourani, E., Yamaguchi, N. M., Manda, A. and Higuchi, H. 2016. Wind conditions facilitate the seasonal water-crossing behaviour of Oriental Honey-buzzards over the East China Sea. Ibis 158:506-518.

 この論文では、モデル解析によって、東シナ海とその周辺の秋と春の気象条件、とくに風況の違いが渡り経路に影響を及ぼしていることを明らかにしている。すなわち、秋には東シナ海経由で、春には朝鮮半島経由で渡るのが好適であることを示唆している。実際の渡り経路と合致した結果だ。第一著者のElham Nouraniさんは、共著者である長崎大の山口典之准教授のもとで学ぶ留学生。

2016年6月30日(木) 都内のウミネコ調査

 江東区で繁殖するウミネコの観察に出かけた。この地域でウミネコは、いくつかのビルに分散して繁殖している。少ないところでは1,2つがい、多いところでは5,6つがい+非繁殖個体50羽以上。どこでも糞と鳴き声がいやがられ、区などの行政に苦情が寄せられている。
 50羽以上が集まる場所は、都内とは思えない状況でウミネコが飛びかい、鳴きたてている。ほかの地域とどうよう、この地域でもウミネコが営巣しているのは、屋上緑化と称して花壇のようなものがつくられているところだ。このあり方を考えることで、多少の対策につながるように思われる。


営巣地のビルの屋上ですごすウミネコ


2016年6月27日(月) 三宅島2

 研究所に隣接する草原に、今年は3つがいのウチヤマセンニュウが繁殖している。朝、窓を開けると、チッチッチッ、チュカチュカチュカという声が聞こえてくる。昼間でもときどきさえずっている。
 近くの森では、ホトトギスやカラスバトの声がよく響いている。アカコッコ(左の写真)、イイジマムシクイ、コマドリ、ヤマガラなども目につく。メジロやウグイスは子連れの家族があちこちで見られる。
 裏の海岸には、ウミネコが一羽。海上には、オオミズナギドリが多数飛びかっている。

2016年6月23日 三宅島

 昨日から三宅島に来ている。昨日は一日雨、きょうは曇りのち晴れで、 午後からは青空が出て気持ちのよい一日だった。 梅雨どきを象徴するように、ガクアジサイの花が野山に彩りを添えている。浜辺にはスカシユリなどがオレンジ色の花を咲かせている。
 きょうは太路池に出かけた。アカコッコ、イイジマムシクイ(右の写真)、メジロ、コマドリ、ミソサザイ、ヤマガラ、ホオジロ、カラスバト、コゲラなどがよく見聞きできた。
 とくに、タブノキの実が熟し始めているのにともなって、カラスバトがあちこちで鳴き、飛びまわっていた。イイジマムシクイはさかんにさえずっている。アカコッコも、この時期は日中でもさえずっている。


2016年6月18日(土) 横浜市舞岡

 今月5回目の舞岡行き(うち3回はホタル見)。先週あたりから田植えが始まり、今はイネが定着し、成長しつつある。
 イネの間でカルガモやハシボソガラスが採食していた。踏み倒すのではないかと心配したが、カモもカラスもイネの間をすり抜けていた。
 池にはカワセミのつがいがいて、のんびり過ごしていた(写真)。めずらしく人をおそれず、羽づくろいをしたり、時おり水中に突っ込んだりしていた。林では、あいかわらずガビチョウが大きな声でさえずっていた。



2016年6月10日(金)~12日(日) 山形

 ハチクマ関連の調査のため、山形県米沢市近郊を訪れた。ハチ類や行動・生理分野の専門家も参加。
 好天に恵まれ、調査も順調に進み、ハチの攻撃回避にかかわることがらを中心に、興味深い結果が得られた。異分野の専門家といろいろ有益な議論や情報交換ができた。
 近隣の山林でハチクマ以外に見られた鳥:ノジコ、ホオジロ、サンコウチョウ、サンショウクイ、ハクセキレイ、ツバメ、イワツバメ、モズ、ハシブトガラス、アカショウビン、カッコウ、ホトトギス、トビ、サシバなど。
 写真は高木の梢にとまるハチクマ。
2016年6月9日(木) 都内某所でウミネコの繁殖を観察

 今年は、知人の松丸一郎さんと都心のウミネコ繁殖分布調査を行なっている。きょうは、某所にウミネコの繁殖を観察に行った。諸事情により場所は明かせないが、都心東部の某マンション屋上だ。
 この場所を中心に40羽ほどがすみついている。実際に繁殖しているのは、7つがい。1卵か2卵の巣が6つ、ひなのいる巣が1つあった。
 都心でウミネコは、2010年ころから繁殖している。どこでも糞害や騒音(鳴き声)などの理由で追い払われ、繁殖地を転々としている。興味深いことに、きょう訪れた場所をふくめて、屋上緑化しているところで営巣していることが多い(写真)。
 



2016年6月4日(土) 舞岡でホタル見

 日中と夜間の2回、舞岡を訪れた。夜はホタルを見るのが目的。午後7時20分ころから約1時間、小川が流れる森の中でゲンジボタルが飛びかうのを観察した。予想していた以上に多数のホタルが飛びかい、十分楽しむことができた。歩いた距離は約500m、出合ったホタルは100頭ほどか。
 ゲンジボタルは、木々に覆われた小川の上を飛びながら、4秒ごとの発光を繰り返す(写真)。数メートルおきに数頭の発光が見られる。多い場合には10頭も。ゆらーり、ゆらーり、つ~と流れるように発光。実に美しい光景だ。飛んで発光するのは雄、雌は地上からそれに応えるように発光する。
 見物に来ていた人の数が多いのにもおどろいた。暗闇の中に、100人以上の人が列をつくって楽しんでいた。

2016年5月25日(水)、26日(木) 尾瀬

 7年ぶりに尾瀬を訪れた。鳥・自然仲間と一緒だった。好天に恵まれ、すばらしい時をすごすことができた。ミズバショウが見頃だったが、少し前にあった大霜のため、多くの場所で植物体が痛んでいた。また、今年は雨があまり降らないため、湿原があちこちで乾燥していた。
 いろいろな鳥を見聞きできた。ホオアカ(右の写真)、クロジ、アオジ、イカル、アカハラ、ノビタキ、モズ、カッコウ、ツツドリ、ジュウイチ、ホトトギス、アカゲラ、コガモ、カルガモ、オシドリなどだ。湿原の乾燥にともなってか、ヒバリがあちこちでさえずっていた。モズはどれも淡色個体だった。オオジシギは1個体だけ声が聞こえたが、空中ディスプレイは見られなかった。
 植物は、ミズバショウ以外では、リュウキンカ、シラネアオイ、エンレイソウ、タテヤマリンドウ、ヤマドリゼンマイ、ワタスゲなどが目についた。シカの足跡や食痕があちこちにあり、植物への影響が心配された。



2016年5月21日(土) 神奈川県葉山町

 サンコウチョウの生息状況を見に葉山の山林を訪れた。1.5キロほどの間に3つがいがすみつき、雄がさえずっていた。少なくとも一つがいは営巣中。抱卵中あるいは小さいひなを抱雛中だ。雌と雄が数10分おきに交代しながら、巣に出入りしていた。
 サンコウチョウ以外では、オオルリやセンダイムシクイ、ウグイス、ガビチョウのさえずりが耳につく。ほかには、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ヒヨドリ、カワセミなど。枝葉が生い茂る狭い川には、カルガモが2~3羽すみついている。
 サンコウチョウやオオルリ目当てのバードウォッチャーやカメラマンが、20人ほどきていた。みな静かに、観察や撮影をしていた。
 出会った人の話では、オオルリは繁殖を試みるのだが、巣ごと人にもって行かれてしまうことが多いとのこと。飼育が目的らしい。
 写真は、飛翔中の昆虫を捕らえたサンコウチョウの雄。

2016年5月18(水)、19日(木) 富士山麓須走、山中湖

 富士山麓で予定している鳥類調査の下見に出かけた。ネイチャーシネプロの吉田嗣郎さんの案内で須走口周辺、須走5合目、山中湖畔、三国峠などを訪れ、森林性鳥類の生息状況を調べた。
 どこもシカによる食害を受けて林床植生が乏しく、いてもよいはずのウグイス、コルリ、ルリビタキ、メボソムシクイなどが不在あるいは少なかった。滞在場所となった須走口周辺では、イカル、クロツグミ、キビタキ、ヤマガラ、ヒガラ、シジュウカラ、アオゲラ、カッコウなどが見聞きできた。
 晴天に恵まれ、富士山の山容がすばらしくよく見えた(写真)。新緑のブナ林などでは、オオカメノキの白い花やトウゴクミツバツツジの淡いピンクの花、フジサンシキウツギの紅色の花などが目立っていた。


 須走口から見た富士山

2016年5月12日(木) 魚が空から落ちてきて野球の試合中断

 5月8日(日)、阪神甲子園球場(西宮市)でプロ野球の試合中、空から魚が落ちてきて試合が一時中断された。関連記事が本日、朝日新聞デジタルに掲載され、私のコメントも載せられた。
 http://www.asahi.com/articles/ASJ5B66B2J5BPIHB03W.html
 奇妙な話だが、おそらく、球場上空を飛んでいたサギかウが球場の大歓声、あるいはタカ類か何かにおどろいて、飲みこんでいた魚を吐き出したものと思われる。魚の大きさは長さ25センチほど。
 この時期は、サギなどの繁殖期。親鳥は採食場所で捕らえた魚を巣のひなに持ち帰る。その途中で起きたことではないかと思われる。数年前には同じ時期、関東などで小魚やオタマジャクシが空から降ってきたという報道がなされていた。これも同じような状況だったのだろう。

2016年5月10日(火) 釣り糸にからまる鳥たち

 釣り糸にからまって飛べなくなったり、足の一部を失う鳥があとを絶たない。本日の朝日新聞デジタル版に関連の記事が掲載された。
 http://www.asahi.com/articles/ASJ576248J57ULBJ008.html?iref=comtop_photo
 記事の中には、足の一部を失ったウミネコやハクセキレイ(樋口撮影)、くちばしに釣り針をからめたハシジロアビ、体全体に釣り糸をからめたクロガモ(加藤 匠さん撮影)などの写真も載せられている。
 釣り人の多くは、自分たちが不用意に捨てた釣り糸が、鳥たちをこのように苦しめていることをおそらく知らない。この問題は、釣り人たちの少しの配慮で改善することができる。この記事が、そのことに少しでも役に立ってくれれば幸いだ。


2016年5月7日(土) 谷津干潟

 シギ・チドリ類などの水鳥を観察に、千葉県習志野市の谷津干潟を訪れた。夏羽になったハマシギやオオソリハシシギ(写真)、キアシシギ、ダイゼン、キョウジョシギ、メダイチドリ、コチドリなどがよく観察できた。ダイサギがカレイをとっていた。ほかには、アオサギ、カワウ、ヒドリガモ、カルガモなど。
 干潟の6~7割ほどがアオサにおおわれていた。岸辺近くのアオサは乾燥して白くなっていた。
 鳥の写真撮影に来ている人が多数いた。
2016年5月7日(金) SFCの鴨池にオオヨシキリ

 学内の通称鴨池で、オオヨシキリがさかんにさえずっていた。渡り途中の個体ではないかと思われる。観察できたのは1個体だけ。最近の5シーズンで初記録。池畔のヨシ原が広がってきているためかもしれない。
 この鴨池では、今月2日まで10羽ほど観察できていたコガモが、1,2羽を除いて姿を消した。ずいぶん遅くまでいたものだが、さすがに北に旅立ったものと思われる。残っているものも、この週末にはいなくなるだろう。
 写真は採食中のオオヨシキリ。



2016年5月4日(水、みどりの日) 多摩川河口

 GWのただ中、川崎市小島新田から多摩川河口に出た。風が強かったが晴天。キアシシギ(写真)、コアジサシ、アオサギ、コサギ、オオバン、ムクドリ、ハシボソガラスなどがよく観察できた。キアシシギは、10羽ほどの群れでカニをとっていた。コアジサシは5~10羽ほどが見られ、ボラとおぼしき小魚を次々に急降下してとっていた。
 GWのこれまで、葉山の森戸川、横浜の舞岡や氷取沢などを訪れ、自然観察を楽しんでいる。森戸川や氷取沢では、オオルリやセンダイムシクイがよく観察できる。

2016年4月23日(土) 都内のウミネコ調査

 墨田区、江東区、台東区をめぐり、ウミネコの生息状況を調べた。都内のウミネコ情報を継続的に集めている松丸一郎さんらと一緒だった。
 ウミネコはこれらの地域に、2,3~5,6羽ずつすみついていた。墨田区と江東区では、求愛時や交尾時の声を発している個体がおり、繁殖の可能性が高いことを示唆していた。
 ウミネコは、2010年ころから上野や御徒町のビルの屋上で繁殖していた。しかし、どこでも騒音(鳴き声)や糞害などの理由で追い払われ、繁殖地を転々と変えている。今年はどうなることか。注視していきたい。


上野の不忍池で休息するウミネコ


2016年4月20日(水) 横浜市舞岡

 春はかけ足で過ぎていく。2週間前にはサクラの美しかった舞岡は、今、新緑の美しい季節を迎えている。林床にはヤマブキの黄色い花が咲き、田んぼにはカエルの声が響きわたっている。
 鳥の世界でとくに注目すべきことはなかったが、冬に姿を消していたカイツブリ(写真)や、求愛給餌をするカワセミなどが見られた。ウグイス、ガビチョウやコジュケイが大きな声でさえずり、アオゲラのピョーという声が響いていた。
 暖かで気持ちのよい一日だった。

2016年4月19日(火) 夏鳥次々渡来

 横浜南部の氷取沢に出かけた。新緑の美しい森の中で、オオルリ(写真)、キビタキ、センダイムシクイ、ウグイス、ガビチョウなどがよくさえずっていた。新しい季節、いのちにぎわう美しい季節がまためぐってきた。
 鳥の観察や撮影をしている何人かの人に出会った。
 暖かな日差しのもと、のんびりと鳥たちの観察をしながら、至福の時をすごすことができた。



2016年4月15日 新緑鮮やか

 季節の移り変わりは速い。湘南地方は新緑の季節を迎えている。慶應大SFCでは、ケヤキやモミジの若葉が萌え出し、美しい緑の世界が広がっている。アメリカハナミズキの花も咲き(写真)、春爛漫の様子が見てとれる。
 鳥の世界では、巣づくりのためにツバメが泥集めを始め、スズメが草わらをくわえて飛びまわっている。学内の鴨池にはまだコガモが少数残っているが、ほかの多くのカモ類は姿を消した。

2018年4月9日(土) 三宅島

 早朝に到着。すぐに太路池に向かう。コマドリ、ミソサザイ、イイジマムシクイ、カラスバトなどのさえずりが響きわたる。湖面には、チュウサギ、アオサギ、ササゴイ、カワウ、オオバンなどの姿。サシバの姿も見られたが、鳴き声はなし。
 新緑の始まった林には、キブシ、スミレ、カジイチゴ、ウラシマソウ、オオシマザクラなどの花が咲く。アシタバの若芽もあちこちに見られる。
 研究所近くの海岸の岩場には、イソヒヨドリ、ウミウ、ヒメウ、ハシブトガラスなどが見られる。曇っていたが、風がなく暖かで、過ごしやすい一日だった。
 研究所の床下から2階の天井裏まで、5年に一度のシロアリ防除をやってもらった。


岩場でさえずるイソヒヨドリの雄 


2016年4月6日(水) 舞岡の桜景色

 野のサクラが美しい。横浜の舞岡では、ヤマザクラ、オオシマザクラ、ソメイヨシノが同時に咲き誇っている。色の異なる桜花が並んで咲いているのは興味深い。
 野辺では、タチツボスミレ、クサボケ、キブシ、ヤマブキなども花々をつけている。竹林にはタケノコが見られる。すばらしい景色の中で半日をすごした。
 鳥の世界は、冬鳥が姿を消し、夏鳥の到来が待たれる。ウグイス、ガビチョウ、コジュケイのさえずりが響いていた。

2016年4月2(土)、3日(日) コシジロヤマドリの観察

 2日早朝、鹿児島の知人から、 人を襲うヤマドリが出た!との連絡があり、急きょ出かけてきた。 以前から依頼していた件だった。場所は鹿児島県北西部の山林。結果、すばらしい観察、撮影、体験をすることができた。尾の一部が途中で折れていたが、1時間ほど、1~3メートルほどの至近距離からじっくり観察でき、 頭に乗られる体験までした。まるで夢のような出来事だった。
 2014年1月に熊本県で観察したアカヤマドリも、とても美しい鳥だったが、このコシジロヤマドリもすばらしく美しかった。暗い林内だったが、濃い赤銅色と腰の白が輝いていた。



2016年4月1日(金) サクラが見頃

 湘南地方でサクラが見頃を迎えている。オオシマザクラは満開、ヨメイヨシノは場所によって満開だったり5分咲きだったり。美しい季節がめぐってきた。野山の景色が一変している。
 テレビなどのニュースによると、東京の上野公園は例年通り花見客で賑わっているが、花見客の半分ほどは外国人だとか。日本の花見が海外にも広く知られるようになっているということか。
 写真は慶應大SFCのオオシマザクラ。

2016年3月20日(日) カラスがカラスを食う

 久しぶりに三浦半島の観音崎を散策した。海岸でハシボソガラスが海草を食べていた。数羽が群れていた。その近くでは、ハシブトガラスがカラス(種名不明)の死骸をついばんでいた(写真)。死骸は死後少なくとも数日は経っているものだった。岩礁にはウミウやヒメウの小群がみられ、磯ではハクセキレイが採食していた。
 山道には、オオシマザクラの花が咲き始め、キブシがあちこちで花をつけていた。ウグイスのさえずりも聞かれ、春の訪れを知らせていた。暖かでよい一日だった。



2016年3月19日(土) 上田恵介教授の最終講義

 立教大学の上田恵介教授の最終講義と慰労会があり、参加した。会場は池袋の立教大学構内。最終講義は、鳥や自然に関心をもった経緯から始まり、最近の国際鳥類学会の開催や福島原発事故の鳥への影響調査まで、いろいろな内容が盛り込まれていた。上田さんとは長いおつきあいで、今後も交流は続いていくに違いない。
 慰労会の場をふくめて、旧知の方たちと出会うよい機会でもあった。最近の仕事にかかわる情報交換、思い出話、健康のことなどで盛り上がった。

2016年3月13日(日) 横浜舞岡

 野辺にピンクのウメの花が咲き、ウグイスのさえずりが聞かれる。いよいよ春がやってきた、という感じを受ける。タシギやヤマシギの姿は見られなかったが、コジュケイのつがいの林床での採食、まだ群れのままのムクドリの地上採食、田んぼで足を振るわせながらのコサギの採食などがよく観察できた。
 タシギやヤマシギがいないせいか、写真撮影の人たちの数が少なかった。
 秋から冬に花を咲かせていたヨメイヨシノの特定木は、花のつぼみをもっていなかった。春に花を咲かせることはできないのだろう。


コジュケイ




ワークショップ後の集合写真。
2016年3月9日(水) 衛星追跡関連のワークショップに参加

 慶應大の三田キャンパスでArgos Asian Bird Tracking Workshopが開かれた。開催の趣旨は、これまでの衛星追跡によって明らかになった渡り経路、渡り様式、重要生息地などについての研究を紹介し、それらの結果を生息地の保全や感染症伝播経路の解明などに役立てる方法について議論すること。主催はCLS (Collect Localisation Satellite)と Cubic-i。
 私は全体の司会進行と次の講演を行なった:衛星追跡研究にもとづく東アジアの鳥類の渡りと保全。
 日本以外に、韓国、中国、台湾、タイ、フランスなどから参加があった。関連の情報交換と関係者の親睦を深めるすばらしい機会だった。

2016年3月6日 千葉の干潟でシギ・チドリ類を観察

 知人の案内で、三番瀬と谷津干潟を訪れた。三番瀬では、ミヤコドリ(写真)約150羽、ハマシギ約1200羽のほか、スズガモ、ハジロカイツブリ、ユリカモメなどを観察した。採食中のハマシギの群れは、干潟でじっとしていると間近まで寄ってきた。
 谷津干潟では、コクガン、セイタカシギ、ヒドリガモ、コガモ、オナガガモなどを観察した。コクガンは一羽だけだったが、人をあまりおそれていないようだった。セイタカシギは10羽前後、交尾しているものがいた。



2016年2月26日(金) 誕生日

 68歳になった。東京大学を定年退職し、慶應義塾大学に移ってほぼ4年。月日の経つのは速いものだ。東大の弥生講堂で最終講義をした時のことが、まだ鮮明に思い出される。が、その後の4年、思いどおりに研究、教育、啓蒙普及活動を展開することができ、とてもうれしく思っている。
 今年の誕生日は、いつもとはちょっと違っていた。研究室の親しい仲間がケーキを用意してくれて、お茶の会を開いてくれた(写真)。祝い品もいただいた。妻からもプレゼントがあった。特別な年ではなかったが、心のこもったもてなしに感激した。

2016年2月25日(木) 宮崎市

 23日に山口から鹿児島出水市へ、24日には出水から宮崎市に移動した。昨日は宮崎市内の山林や河川、沼沢地を、きょうは佐土原の沼沢地を訪れた。昨日訪れたダム湖の付近では、マガモやオオバンなどのほか、ジョウビタキがまぢかでよく観察できた(写真)。佐土原では、マガモが数百羽、オシドリが数十羽、カルガモが数十羽ほど見られた。
 愛媛、山口、鹿児島、宮崎と旅を続けてきたが、同行してくれた鳥仲間や各地の知人のおかげで、とても有意義なときをすごすことができた。今後の渡り鳥研究展開のよい参考になった。



2016年2月22日(月) 西日本を旅行中

 昨日から西日本を旅行中だ。カモ類などを中心に、水鳥類の生息状況を見てまわっている。昨日は、羽田から愛媛県松山に飛び、山あいのダムでオシドリなどを見たのち、松山から高速船で広島へ、広島から新山口に移動した。
 本日は地元の協力者、原田量介さんの案内のもと、山口市内の山地から沿岸部を車で見てまわった。山地のダムでは、オシドリ、マガモ、ホシハジロなどがよく観察できた。ダムの周辺には照葉樹林が茂っており、秋冬期にはオシドリなどがドングリをさかんに食べるとのこと。
 沿岸部のきらら浜とその周辺では、スズガモ、マガモ、ハシビロガモ、カルガモ、コサギ、アオサギ、クロツラヘラサギ、タゲリ(写真)、アオアシシギ、ノスリ、チュウヒ、チョウゲンボウ、ハヤブサなどを見た。鳥を観察するのにはよいところだ。
 

2016年2月12日(金) 『鳥ってすごい!』出版

 山と渓谷社から小著『鳥ってすごい!』(ヤマケイ新書)が出版された。本日、見本刷りが到着。書店に並ぶのは今月20日ころ。飛行、美しさ、採食、渡り、知能などをめぐる「すごさ」に焦点をあてつつ、鳥のユニークなくらしぶりについて述べたものだ。鳥の関係者だけでなく、生きものに関心のある人に広く読まれることを望みたい。定価900円+税。
 以下は出版社による本書の紹介文。

「鳥のすごいエピソード満載で驚きの連続。バードウォッチングがもっとおもしろくなる! 鳥類学の第一人者が語る鳥の巧みさ、面白さ!
 200日間休まず飛び続ける鳥、地球と月を2往復する距離を飛ぶ鳥、日本列島を泳いで1周する鳥、ハチに刺されても平気な鳥、極寒に耐える羽毛の秘密、美しすぎる鳥、車にクルミを轢かせて食べる鳥、滑り台を滑って遊ぶ鳥などなど、鳥たちの巧みですばらしい技や興味深いエピソードを余す所無く紹介! 」

第一章 なんと言ってもすごい鳥の飛行術
第二章 羽毛は鳥の命綱
第三章 鳥はとってもおしゃれ
第四章 くちばしとつがいに見る鳥という生き方
第五章 渡りの謎 [その一] どこからどこへ?
第六章 渡りの謎 [その二] さらなる疑問を追って
第七章 カラスおそるべし! その知能の秘密
第八章 ずるがしこさの極みー托卵
第九章 遊ぶ鳥たち
終章 鳥からのメッセージ



2016年2月11日(木、建国記念の日)

 暖かな日差しのもと、横須賀の田浦の梅の里から海側を歩いた。梅の里ではウメが見頃よりちょっと早いくらい。メジロ(写真左)がつがいや小群で頻繁に蜜を吸いにきていた。
 海側では、カンムリカイツブリ(写真右)やアカエリカイツブリ、オオバンなどをよく観察できた。昨冬はハジロカイツブリがいたので、この場所はカイツブリの観察場所としてよいところのようだ。
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2015年2月4日(木) 三宅島

 久しぶりに三宅島にきた。きょうは、おもに島の南部の太路池ですごした。ものすごい数のヒキガエルが鳴き、交尾していた。それらをねらって、ハシブトガラスやノスリが飛びかっていた。カラスは20~30羽の群れ、ノスリ(写真)は5,6羽がいた。オオタカもいたが、こちらはカエルをねらっているようには見えなかった。
 湖面には20羽ほどのオオバンがいて、水草をさかんに食べていた。水草は、外来魚のブラックバスやブルーギルが増加して植物食の魚を食べてしまったため増加しているようだ。アカコッコ館のレンジャーによると、オオタカはオオバンを捕食しており、オオバンの数が徐々に減少しているとのこと。狭い島の中で、興味深い生物間相互作用が見られる。

2016年1月30日(土) シンポジウム「シギ・チドリの生息地をつくるなつみずたんぼ」で講演

 麦刈り後に畑に水を張ると、夏にシギ・チドリがやってくる。使用される麦畑は、生産調整のため水田から転換されたものだ。水張りは雑草防除や防虫の効果もある。小さないろいろな生きものがすみつくため、シギ・チドリにとって好適な滞在地になる。農業の新しいあり方と生物多様性の保全の両立をめざすこうした活動が、数年前から活発になってきている。
 今回は、このなつみずたんぼの活動に取り組んでおられる農家の方、関連NPO、研究者、行政関係者などが一堂に集まって、問題の背景、取り組みの現状、今後の展開と課題などについて話し合った。私は、全体の問題の背景となる「東アジアにおけるシギ・チドリ類の減少と保全」について講演し、また総合討論の司会を務めた。
 農家の方から研究者、行政関係者までふくむ議論は、とても刺激的で実り多いものだった。栃木県小山市の小学校生徒による「なつみずたんぼの生きもの調べ」についての発表も、印象的だった。
 会場は東京大学農学部2号館。主催はNPO法人オリザネットとNPO法人バードリサーチ。

2016年1月24日(日) シンポジウム「鳥と風の通り道」で講演

 標記のシンポジウムが立教大学で開催され、「鳥の渡りと地球環境の保全」について基調講演した。主催は日本野鳥の会。私の講演のほかにも、日本野鳥の会の職員によるカモ類やタカ類の渡りや保全の話があった。300名ほどが入る大教室に数10人の立ち見が出るほど盛況だった。みなとても熱心に聞いてくださっていたので、話しがいがあった。
 終了後に、池袋のレストランで懇親会があった。久しぶりに野鳥の会の職員の方たちと交流する機会をもてて、楽しい時間をすごすことができた。若い職員が熱心にいろいろなことに取り組もうとしていることがわかり、うれしかった。

撮影:浦 達也

2016年1月18日(月) 慶應大日吉キャンパスで講演

 日吉キャンパスの自然科学研究教育センター主催の講演会で、「鳥の渡りと生物多様性の保全」について話した。午前中、大雪で交通の遅れが目立っていたので、開かれるか心配したが、無事に終えることができた。
 慶應大には3つの大きなキャンパスがある。三田、日吉、湘南藤沢の3つだ。若いころ、三田で非常勤講師を何年かしていたことがある。現在は、湘南藤沢(SFC)で研究・教育活動を行なっている。日吉にはあまり縁がなかったので、キャンパスをながめることをふくめてよい機会だった。
 講演会には、学内の関係者、鳥の関係者、日吉の近隣住民などが参加していた。いくつかよい質問もあり、有意義な時をすごすことができた。


2016年1月10日(日) ウメの開花

 いろいろな用事を済ませたのち、午後の遅い時間に横浜の舞岡を訪れた。日当たりのよい場所にある1本のウメの木で、花が咲き始めていた(写真)。テレビのニュースなどによると、都内でも昨年より2週間ほど早く咲き始めたとのこと。
 昨冬とどうよう、同じ場所にタシギやヤマシギがきている。写真を撮る人たちが20人ほどいた。昨冬までと違って、女性が3割ほどに増えている。海外からの人も2人見かけた。今年はクイナも現れているとのこと。しばらく人でにぎわいそうだ。

2016年1月3日(日) 横浜氷取沢

 横浜市南部の氷取沢に出かけた。冬とは思えない暖かさだった。歩き始めてすぐ、庭先の赤いツバキの花にメジロが蜜を吸いにやってきていた(写真)。2羽のつがいと思われる鳥が、一本の木に5分ほどとどまって蜜を吸っていた。
 森の小路では、ルリビタキの写真を撮る人たちが10人ほど道をふさいでいた。ルリビタキはなかなか現れないようで、私が通り過ぎたときには、皆よもやま話をしていた。昨冬は、近くでミールワームを置いて写真を撮っている人たちがいた。鳥の写真を撮る人の数が増えているが、マナーが問われている。


2016年1月1日 金谷航路

 晴天のもと、久里浜―金谷間の船に乗った。房総半島、伊豆半島、大島などがよく見えた。船上から人が与える餌にユリカモメ、ウミネコ、トビが群がっていた。きりもみ状態の飛翔を続けながら、人の手からすばやく餌をとっていくものが多い。また、船が進むのを追うように、カモメの群れが飛びかっていた。
 帰路、沈む夕陽の中で富士山が美しく映えていた(写真)。
 夜、横須賀で映画「母と暮せば」を観た。心が洗われるすばらしい映画だった。妻とともによい元日をすごすことができた。






















1.ミズバショウの咲く尾瀬湿原、2016年5月26日


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2.梢でさえずるアカハラ、尾瀬、2016年5月26日


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3.メジロ。伊豆諸島三宅島


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4.ウチヤマセンニュウ。伊豆諸島三宅島










5.シノリガモの親子。青森県南部。











6.ウグイスの巣卵。神奈川県葉山町。












7.古民家の庭先に咲くトロロアオイ。神奈川県戸塚区舞岡。












8.セグロセキレイ。栃木県塩原。


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