2016年6月30日(木) ハチクマ関連の論文を2編出版
一つは、ハチクマの羽毛の微細構造についての論文。
Sievwright, H. and Higuchi, H. 2016. The feather structure of Oriental
Honey Buzzards (Pernis ptilorhynchus) and other hawk species in relation to their foraging behavior. Zoological
Science 33:295-302
この論文では、羽毛の微細構造をハチクマとトビ、サシバで比較し、 ハチクマの糸状微粒子に注目している。 また考察で、糸状微粒子に関連して、ハチクマをビニール袋内でもみほぐしたあとの袋にミツバチを入れ、ハチが不活性になったことを簡単に述べている。
この点の詳細は、別の論文で明らかにする予定。 共著者のHolly Sievwrightさんは、東大の私の研究室に留学していた女性。現在は、イギリスに戻り、Field
Study Councilに所属している。
もう一つは、東シナ海をめぐる春秋の渡り経路の違いについての論文。
Nourani, E., Yamaguchi, N. M., Manda, A. and Higuchi, H. 2016. Wind conditions
facilitate the seasonal water-crossing behaviour of Oriental Honey-buzzards
over the East China Sea. Ibis 158:506-518.
この論文では、モデル解析によって、東シナ海とその周辺の秋と春の気象条件、とくに風況の違いが渡り経路に影響を及ぼしていることを明らかにしている。すなわち、秋には東シナ海経由で、春には朝鮮半島経由で渡るのが好適であることを示唆している。実際の渡り経路と合致した結果だ。第一著者のElham
Nouraniさんは、共著者である長崎大の山口典之准教授のもとで学ぶ留学生。
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