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折々の記録
 
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2021年

2021年12月27日(月) 三田演説会の動画サイト

 今月14日に開催された三田演説会での私の講演、「鳥の渡りと地球環境の保全」の動画サイトが公開された。

    https://youtu.be/cuFu8k9_tFo

 関心のある方は、ぜひご覧いただきたい。

2021年12月25日(土) 横浜市野島

 晴天の中、横浜市南部の野島に出かけた。海の鳥を見るのが目的。オオバン、ハジロカイツブリ、カンムリカイツブリ(写真)、スズガモ、オナガガモ、カワウ、トビなどを観察。ハジロカイツブリは単独、カンムリカイツブリはスズガモ約150羽の群れの中に15羽ほど。オオバンは、あちこち分散して20~30羽。
 波間に浮かぶカンムリカイツブリは、多くの個体が首を引っ込め、胸を丸く突き出す形で休息。奇妙な格好だが、全体に白く見えるので遠くからでも目立つ。
 Merry Christmas ! 夫婦で静かな一日を過ごした。




撮影:慶應義塾広報室
2021年12月14日(火) 三田演説会で講演

 慶應義塾の伝統行事、三田演説会で講演した。演題は「鳥の渡りと地球環境の保全」。コロナ禍がおさまってきている状況の中、対面での講演、会場は三田キャンパスの北館ホール。
 講演では、渡り追跡の方法から始め、オオハクチョウ、マナヅル、ハリオアマツバメ、サシバ、ハチクマの渡りの様子を紹介。続いて、季節による渡り経路の違いの理由へと進み、渡り鳥が遠く離れた国や地域の自然と自然、人と人をつないでいる様子を紹介して話を終えた。
 会場からは、いろいろな質問があった。海上を長距離移動する利点や方法、同じ場所に戻ってくることの意義、鳥の種によって渡り経路が異なる理由、一極集中するツルの越冬群に鳥インフルエンザなどが広がる危険性、などに関連したものだ。どれもすぐれた質問で、よい意見交換の場となった。
 久しぶりの対面での講演。会場の人のまなざし/表情をじかに感じながら話すのは、やはり刺激的で楽しい。とても有意義な時間を過ごすことができた。

  当日の動画サイトはこちら↓
   https://youtu.be/cuFu8k9_tFo
 
  慶應義塾サイトニュース↓
https://www.keio.ac.jp/ja/news/2021/12/16/27-91502/

2021年11月28日(日) 紅葉見頃、コロナ禍下火

 湘南地方では、紅葉が見頃を迎えている。モミジやイチョウなどの木々の葉が、赤や黄色に染まり、青空に映えている。気温も急激に下がってきており、朝の気温は10℃以下。冬の気配が感じられる。
 コロナ禍がおさまってきている。東京や神奈川などでも、一日の感染者数が10人を切っている(11月28日の最新情報)。ゼロの県も増えている。そんなこともあって、公園や緑地では、紅葉を楽しむ人の姿が数多く見られる。
 このまま収まってくれればよいのだが、海外の多くの国では、感染者数が再び増加している。



2021年11月27日(土) 津久井浜

 三浦半島の津久井浜を訪れた。広大なミカン農園にミカンが鈴なりになっており、収穫が最盛期を迎えている(写真)。ミカン狩りに訪れている人も多い。
 ミカン農園には、人だけでなく、鳥も訪れる。ヒヨドリやハシブトガラスなどだ。こうした鳥除けのために、ときおり空砲が響きわたる。また、ところどころにタカ型の凧が舞っている。長い紐がついたタカ凧は、風に吹かれて上下左右にゆら~り、ゆら~りと舞う。なかなかよくできており、遠くから見ると本物のタカのようにも見える。
 この時期の別の作物は、キャベツ。こちらも広大な畑があちこちに見られる。冬のあいだ、やはり、ヒヨドリなどの食害に合う。一面に細かい網がかけられている畑が目につく。
 12月14日の三田演説会の参加申し込みが、すでに満席のため打ち切られたとのこと。うれしいような、申し訳ないような気持ちだ。

2021年11月26日(金) 三田演説会での講演案内

 12月14日(火)午後、慶應義塾大・三田キャンパスで三田演説会が開かれ、そこで講演する予定だ。案内のチラシもできてきており(写真)、広報が展開されている。三田演説会は慶應大の伝統ある行事。いろいろな方にお話しできるのを楽しみにしている。
 鳥たちは、渡りを通して遠く離れた自然と自然をつないでいる。また、遠く離れた国や地域の人と人をもつないでいる。たとえば、日本と北極圏のツンドラとの間を行き来するオオハクチョウ、朝鮮半島の非武装地帯を渡りの重要な中継地にするマナヅル、東アジアのすべての国を一つずつめぐって日本に戻ってくるハチクマ。これらの鳥はそれぞれ、ロシアと日本、北朝鮮と韓国、インドネシアと日本の自然と自然、人と人をつないでいる。
 講演では、こうしたいろいろな鳥の渡りの様子をスライドで紹介する。また、これら地球規模で移動する渡り鳥が直面する保全上の問題点を探り、解決に向けての課題について議論する予定。

 日時:12月14日(火) 14:45~16:15
 場所:慶應義塾大学・三田キャンパス北館ホール
 講師:樋口広芳(東大名誉教授/慶塾大訪問教授)
 演題:「鳥の渡りと地球環境の保全」
 紹介・申し込みサイト:どなたでも申し込み可。無料。
    
以下のサイトで、事前の申し込みが必要
 申し訳ありません、満席により、申し込み受付終了です。
https://www.keio.ac.jp/ja/events/2021/12/14/29-83310/


2021年11月23日(火) オンライン講演「かしこいカラス、こまったカラス―ニュースなカラスの事件の真相―」

 『ニュースなカラス、観察奮闘記』の出版を記念して、標記の催しが開かれ、講演した。主催は、書籍の発行元の文一総合出版。
 講演では、水道の栓を回して水を飲んだり浴びたりする「水道ガラス」、車にクルミをひかせて割る「車利用ガラス」、石鹸やロウソクをもち去りかじって食べる「石鹸ガラス」や「ろうそくガラス」の話題を中心に話した。それぞれの話題の中に、私自身が撮影した動画や、インターネット上で公開されている映像を織り込んだ。最後に、カラスの知能やカラスの行動観察についての話題を紹介した。
 とても好評だったようで、質問や意見などが80件(!)近くあるようだった。カラスは身近な存在で、よく目につく。いろいろおもしろいことを見せるので、多くの人が何かしら感じていることがある。そんなところから、質問なども多かったものと思われる。
 参加者からもいくつか興味深い情報提供があり、楽しく有意義な時間を過ごすことができた。


2021年11月10日(水) コサギの足振り漁法

 すまい近くの緑地の水辺で、コサギが水中で足を振るわせていた(写真)。通称「足振り漁法」だ。水草や砂泥の中から、小魚を追い出しているようだ。
 水中から足を出すと、黄色い趾(あしゆび)がきわだって見える。漁果はかんばしくないが、せっせと足を振っている。

 子供のころ、小川の岸辺で私も同じように足を振り、フナなどを追い出して網ですくっていた。そんな光景を思い出しながら、2,3mの至近距離で採食するコサギを興味深く観察した。
 池では、オナガガモの数が増えてきた。キンクロハジロも1羽加わり、にぎわいを見せ始めている。

2021年11月9日(火) 『ニュースなカラス、観察奮闘記』の出版

 『ニュースなカラス、観察奮闘記』が出版され、本日、見本が届いた。いろいろ話題の多いカラスたちについて、行動の詳細や観察の様子を平易な物語風にまとめたものだ。
 水道の栓を回して水を飲んだり浴びたりする「水道ガラス」や、ビワの種子を吐き出して「ビワ園」をつくる「ビワガラス」など、新しい話題が中心となっている。が、同時に、車にクルミをひかせて割る「車利用ガラス」や、石鹸をもち去りかじって食べる「石鹸ガラス」など、過去から現在に至る歴史をもつ話題もとり上げている。
 私自身、楽しみながら書き進めたので、お楽しみいただける内容になっているかと思われる。

 書店などでの発売は、11月18日(木)から。アマゾンなどでは、予約注文がすでに始まっている。


2021年10月27日(水)、28日(木) 沖縄

 久しぶりに沖縄を訪れた。飛行機を利用した長距離の旅も、昨年2月のカンボジア以来。今回は、国の環境関連の仕事。那覇市内のみ。
 おもに会議だったが、漫湖干潟を訪れる機会があった。マングローブと干潟からなる環境。マングローブではシロガシラ、干潟ではリュウキュウツバメ、イソシギ、セイタカシギ、オニアジサシ、アオサギ、ミサゴなどを見た。オニアジサシは冬羽。近隣の干潟では、オオメダイチドリも。
 1年半ほどコロナ禍で活動が制限されていたので、仕事でも楽しみでも旅行はきわめて限定されていた。やはり、旅はすばらしい。このままコロナ禍がおさまることを願いたい。


2021年10月24日(日) 冬ガモの渡来、新型コロナ感染者急減

 すまい近くの緑地の水辺に、オナガガモが渡来した。今のところ雌雄1羽ずつ(写真)。雄の羽衣は、まだエクリプス羽。
 留鳥のカルガモの数も増えている。一部はほかからやってきたものだろう。しばらく姿を見せなかったアオサギ、コサギもやってきた。カワセミは常連。

 コロナ禍がおさまってきている。きょうの東京都と神奈川県の新規感染者数は、それぞれ19と11。ちょっと信じられないような減少ぶり。減少の原因が何なのか、ワクチン接種の普及などが考えられるが、詳細は不明。専門家も首をかしげている。

2021年10月23日(土) 出版と講演の予定

 11月から12月にかけて、以下の出版と講演を予定している。現在、予約の申し込みが始まっている。

★『ニュースなカラス、観察奮闘記』の出版
 水道の栓を回して水を飲んだり浴びたりするカラス、しかも飲む時と浴びる時
で栓のまわし方と水量を変えるというかしこさ。そんな「天才カラス」をめぐる
話を中心に、いろいろ興味深い「ニュースなカラス」を紹介。
書誌情報は以下の通り。

 書名:『ニュースなカラス、観察奮闘記』
 著者:樋口広芳
 出版社:文一総合出版
 定価:1600円+税
 発売予定:11月18日
 紹介サイト:https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784829972373
   
★「ニュースなカラス」講演会
 上記の出版に合わせて、以下のオンライン講演会が開かれる。
 
 日時:11月23日(火)17:00~18:30
 演題:「かしこいカラス、こまったカラスーニュースなカラスの事件の真相ー」
 申し込み方法:以下のサイトを通じて入場券を入手。無料。
 開催方法 :zoomウェビナーを使用しての生放送の動画配信
 紹介・申し込みサイト:
 https://peatix.com/event/3036741/view?k=7fe53ac7a1759a49e46b9abecf199746b7c400b6

★慶應義塾大学・三田演説会で講演 
 日時:12月14日(火) 14:45~16:15
 場所:慶應義塾大学・三田キャンパス北館ホール
 講師:樋口広芳(東京大学名誉教授/慶應義塾大学訪問教授)
 演題:「鳥の渡りと地球環境の保全」
 紹介・申し込みサイト:どなたでも申し込み可。無料。事前の申し込みが必要
  https://www.keio.ac.jp/ja/events/2021/12/14/29-83310/
 概要:多くの鳥は、毎年、春と秋にそれぞれ数千キロから数万キロの
  季節移動、「渡り」をする。近年、人工衛星を利用した追跡などにより、
  鳥の渡り研究は飛躍的に進展した。その結果、鳥たちのおどろくべき
  渡りの実態が明らかになってきた。東アジアのすべての国を一つずつ
  巡る鳥がいる。北極と南極の間を行き来している鳥もいる。10か月間、
  飛びっぱなしという鳥もいる。本講演では、こうしたおどろきの実態を
  紹介するとともに、渡り鳥をめぐるいろいろな地球環境問題について
  議論する。

2021年10月16日(土) 三宅島

 14日(木)から三宅島にきている。今回は、調査ではなく、台風で傷んだ研究ステーションの修理が目的。今月初めに到来した台風16号により、倉庫の鉄の扉が外れてしまうなどの被害を受けた。知人の助けを借りて、どうにか元に戻すことができた。
 台風の影響は、森林の木々に大きく及んでいる。島の広範囲にわたって、オオバヤシャブシなどの葉が、おそらく潮風により茶色く枯れている。林床にはおびただしい枝葉が落ちている。
 短期間だが、鳥の観察もできた。出合いの頻度や個体数は少なかったが、アカコッコ、イソヒヨドリ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、カラスバトなどが見聞きできた。
 今年は久しぶりにスダジイの実のなりがよい。ただ、それによりヤマガラの姿が目立つことにはなっていない。メジロはカラスザンショウの実をさかんについばんでいた(写真)。

 錆ケ浜の港では、キョウジョシギが1羽見られた。



2021年9月28日(火) カラスのポリ袋片採食

 すまい近くの緑地の3,4か所で、カラスの群れが目についた。数羽から10羽前後の群れになっており、ハシブトガラスだけ、ハシボソガラスだけの群れと、両者が入り混じる群れがあった。
 ハシブトガラスの群れの中に、半透明のポリ袋片を取り合うものたちがいた(写真)。ボロボロになったポリ袋片だが、2,3羽のカラスが食いちぎり合い、口の中に入れていた。おそらく、食品が入っていた袋だったのではないかと思われる。
 ほかに、何を食べているのか不明な群れがいた。地上に次々に集まり、ついばむ様子が見られた。スダジイの実が多数落ちていたので、また食べがらもあったので、その実を食べていたのかもしれない。

2021年9月27日(月) 映画「総理の夫」

 映画「総理の夫」が今月23日に公開され、本日、鑑賞した。原田マハの同名小説が映画化されたもので、鳥類学者が主役というめずらしい設定。なんと、妻が総理大臣になり、政治の闇の中で孤軍奮闘する一方、夫の鳥類学者は、私生活でも研究生活でもさまざまに翻弄される。カッコよい鳥類学者というより、「トホホの鳥類学者」となっている。

    映画『総理の夫』公式サイト (first-gentleman.jp)

 鳥類学者の夫は田中圭さん、総理役の妻は中谷美紀さんが演じている。妻は容姿端麗、頭脳明晰、夫はあたふたするだけのたよりない存在。しかし、妻が窮地に陥り、総理退陣を余儀なくされる状況のなか、最後に、すばらしくかっこよい弁をふるい、場をおおいに盛り立てている。
 映画は小説と少し違っているが、十分に楽しめる。田中圭さんも中谷美紀さんも適役。中谷さんは文字通り、容姿端麗、演説にも説得力と優しさが感じられる。おりしも、明後日は自民党の総裁選。女性候補も立っているが、残念ながら、中谷さん演じる女性総理のような雰囲気は伝わってこない。映画の方がよくできすぎているのか。

2021年9月17日(金)~20日(月) 日本鳥学会大会

 コロナ禍のなか、日本鳥学会の大会がオンラインで開かれ、参加した。私自身の発表はなかったが、共同研究者がハリオアマツバメの渡りや採食、草原性鳥類の群集構造にかかわる発表を行なった。
 この学会がオンラインで行なわれるのは初めてだったが、とても盛会だった。とくにポスター発表は時間制限がなく、十分な時間の中で活発に質疑が行なわれていた。
 いろいろ興味深い発表があったが、とくに印象に残ったのは、黒田賞の受賞記念講演。バイオロギングを利用した海鳥の移動生態と、農業生態系を構成する鳥の動態と保全・管理の2講演だ。前者は明治大学の山本誉士さんによるもの、後者は農研機構の片山直樹さんによるもの。どちらもすぐれた視点から研究が展開されており、論文も多数発表されている。片山さんは、私の東大時代の研究室OB。
 4日間、直接顔を合わせることができないのは残念だったが、情報収集や意見交換の場としては貴重な機会だった。

2021年9月5日(日) 舞岡

 今月に入ってから不安定な天気が続いている。きょうも霧雨のち曇り。
 久しぶりに、横浜南部にある舞岡の里山に出かけた。イネの穂が伸びてきて、垂れ始めている。実りの秋が近づいてきているのが感じられる。
 スズメが数10羽の群れでやってきて、穂をさかんについばんでいる(写真)。相当程度、食べられている様子。キジバトもついばんでいる。ただし、キジバトはつがいでいるので、たいした被害にはならないだろう。
 コロナ禍のなか、街中の人込みを避け、こうした里山を訪れる人が多い。きょうは日曜日なので、ちょっと多すぎかな、といった感じ。



2021年8月31日(火) 秋の気配

 暑い日が続いているが、8月もきょうで終わり。
 すまい近くの林では、いろいろなドングリが落ち始めている。多数のセミの死骸とともに、秋の気配が感じられる。

 夜には虫の音も響き始めている。あすからは、日中の気温も25℃前後に下がるとのこと。コロナ渦はあいかわらず続いているが、単独の散策は楽しめそうだ。
 夏の小鳥やタカ類の南下も、そろそろ見られるようになるだろう。

2021年8月28日(土) 口開けガラス

 蒸し暑い日が続いている。蝉しぐれのなか、鳥たちは換羽中のためか目立たない。が、カラスとカルガモだけは目につく。
 カラスはハシブトもハシボソも、また口の中が赤い若鳥も黒い年配の鳥も、みな、口を開けて暑さをしのいでいる。日中は直射日光のあたるところにはあまり出ず、木陰などですごしているが、それでも口を開けている(写真)。
 すまい近くの緑地でのこと。マメコガネが花の上で、キマダラカメムシが幹で交尾していた。昆虫の世界では、次の世代に生命(いのち)をつなぐ行動が広がっている。



2021年8月20日(金) イボテングタケ?

 不安定な天気が2週間ほど続いている。西日本では豪雨続きで、大きな災害があちこちで発生している。
 雨の合間に夏日が戻ってくると、林床にいっせいにキノコが姿を現す。きょうも、すまい近くの林の数か所に、写真のキノコがたくさん出ていた。イボテングタケのように見えるが、どうだろうか。イボテングタケだと有毒だ。

 あいかわらず、蝉しぐれ。だが、すでにアブラゼミなどの死骸が路上に多数落ちている。夏の終わりが近づいていることを告げているようだ。

2021年8月2日(月) タカサゴユリ 花盛り

 湘南地方のあちこちで、タカサゴユリが花盛りを迎えている。タカサゴユリは台湾の固有種で、日本では外来種。この時期、清楚な花を多数つける。種子を多数生産し、風散布で分布を広げる。
 蒸し暑い日が続いている。日中の外気温は35℃前後。カラスは日陰にいても、口を開けてあえいでいる。日向に出ているのは、ドバトくらい。ドバトの祖先種、カワラバトは砂漠に生息する鳥なので、暑さに強いのかもしれない。カルガモなども日陰で休んでいる。
 新型コロナ感染が急拡大を続けている。先週は、新規感染者が4000人を超える日があった。先月31日から北海道の帯広に、ハリオアマツバメの調査に出かける予定だったが、空港や機内の混雑を考え、見送った。



2021年7月27日(火) 蝉しぐれ

 夏まっさかり。すまい近くの緑地では、鳥の多くがひっそりしている一方、セミたちがにぎやかだ。ニイニイゼミ(写真)、ミンミンゼミ、ヒグラシなどの声が、まさに蝉しぐれとなっている。木の幹には抜け殻が多数ついているが、成虫の姿はあまり目立たない。木の上の方で、声だけが響きわたっている。
 池とその周辺には、3組のカルガモ親子がのんびり過ごしている。ひなの大きさが家族ごとに違っているのがおもしろい。
 首都圏を中心に、新型コロナ感染が急拡大している。40,50代の人への感染が目立つ。

2021年7月16日(金) 梅雨明け

 気象庁は本日、関東甲信地方が梅雨明けしたと発表。平年より3日早いとのこと。今年は梅雨入りが平年より遅かったこともあり、梅雨期間は1か月前後と短めだったことになる。
 昨日あたりから、日中の気温が30℃を超えている地域もある。入道雲が現れ、大気は不安定。雷雨などが発生している。
 緑地では、ミンミンゼミなどが鳴き始めている。いよいよ本格的な夏の到来だ。

2021年7月11日(日) カルガモ家族、大行進

 すまい近くの緑地に、カルガモの4家族が現れている。ふ化5日目ほどの8ひな(写真)、8日目くらいの4ひな、30日目くらいの3ひな、もう少し進んだ4ひなをそれぞれ連れた4家族だ。
 家族間の距離は2~20mほど。互いに2mほどに近寄っても、警戒したり攻撃したりはしない。

 この4家族のうち、4日目の8ひなと雌1羽からなる家族は、午後になって大移動。池から緑道を経て住宅街へ。道路を横切ること4、5回。私のすまいあたりから直角に曲がり、川のある方向へ。どこまで行ったかは不明。私が見とどけた限りでも、200~300mほどは移動。
 本日、2回目のワクチン接種をぶじ終了。患部が痛み、重苦しいが、生活に大きな支障はない。



2021年6月26日(土) クサフグの産卵

 横須賀の深浦に、夫婦でクサフグの産卵を見に行った。これまでは三浦半島先端の油壷に行っていたが、今年はじめてこの地を訪問。夕方6時すぎに到着、7時ころまで観察、撮影。
 50mほどの岸辺一帯に、おびただしい数のクサフグが集まり、産卵、放精していた。産卵、放精時には、浅瀬で多くがバシャバシャはねながら動きまわり、海水が白く泡立つ(写真)。生命のかがやきを感じさせてくれるすばらしい光景だ。
 クサフグの産卵は、5月下旬から7月上旬くらいまで、満月や新月の日の2,3日後が見ごろ。本日は、満月の2日後くらいだった。

2021年6月21日 カルガモ育雛、ハシボソガラスの巣立ち

 すまい近くの池で、カルガモの育雛が見られる。生後2週間ほどのひなを5羽連れている(写真)。ちょっと遅い繁殖例。直線距離で100mほどを移動する。
 観察中のハシボソガラスの巣では、4日ほど前に2羽のひなが巣を離れ始めた。その後、巣を出たり入ったりしていたが、本日は完全に姿を消した。巣内の育雛期間は、35日ほど。
 池の周辺では、ハンゲショウの白い葉がきわだっている。花もつけているが、葉の方がずっと目につく。







2021年6月17日(木) ビワ探し大作戦PJ

 NHKが市民科学の一環として、「ビワ(とカラスの関係)探し大作戦プロジェクト」を立ち上げた。


https://www.nhk.or.jp/citizenlab

 都市を中心に広がるビワの木。ちょうどこの時期、黄色い大きな実をたくさんつけている。ちょっと気をつけて見ると、変なところにも生えている。庭や工場の敷地の外側とか、立ち入り禁止の線路内とかだ。あるいは、植えたことはないのに庭にビワの木が生え、黄色い実ををつけている、なんてこともある。
 その多くは、おそらくカラスがまいた実がもとになって出てきたものだ。だが、ビワの実に集まるのはカラスだけでなく、メジロやヒヨドリなども来る。
 そんな様子をみんなで探ってみよう、というのが、この市民参加のプロジェクの趣旨だ。私はその先導役のような役割を果たしている。
 作業部隊の準備が大幅に遅れてしまったため、今になっての広報。ちょっと遅い立ち上がりだが、上記のホームページをごらんいただき、身のまわりのビワの木に注目していただければ幸いだ。
 おそらく来年の5月、6月が本格的な情報収集の時期になると思われる。今年はその前哨戦といったところだろうか。気楽にご参加いただければ幸いだ。


2021年6月10日(木) 『鳥の渡り生態学』の出版

 『鳥の渡り生態学』(樋口広芳・編)が東京大学出版会から出た(定価5,500円+税)。序章と終章ふくめて、全体で14章。カモ類、タカ類、小鳥類などの渡り経路から、渡りと気象、渡りと生活史、高標高や長距離移動する鳥の生理、生息地の保全や感染症とのかかわりなど、いろいろな問題を扱っている。分担執筆の形式をとっており、それぞれの分野で活躍する研究者14名が執筆にあたった。
 鳥の渡り研究は、近年飛躍的に進展した。本書はその最前線を紹介している。これまで研究成果の多くは英語の論文で発表されているので、本書によって多くの方に、渡り研究の現状を知っていただけるのではないかと期待している。




2021年6月3日(木) ハシボソガラスの育雛

 継続観察中のハシボソガラスの育雛が順調に進んでいる。ひなの数は2羽。生後20日ほど。黒い羽毛が全体に生えてきて、活発に親鳥に餌ねだりする(写真)。
 巣の真下は、市民が頻繁に通り過ぎる通路。が、気づく人はまずいない。カラスの方も、気にしている様子はない。
 悪天続きだが、関東の梅雨入りはまだ少し先のようだ。コロナ渦はまだ収まる気配がない。


2021年5月30日(日) 葉山・森戸川

 久しぶりの好天の中、葉山の森戸川流域の森林を訪れた。緑の木々に包まれた景観の中で、オオルリ、キビタキ、サンコウチヨウ、センダイムシクイ、ホトトギス、ウグイス、シジュウカラ、メジロ、ヒヨドリ、ガビチョウ、コゲラなどを観察。今年はキビタキが目につく。
 オオルリやサンコウチヨウは、雌が抱卵に入ったせいか、あまりさえずっていない。ただし、まだ巣づくり中のつがいの雄は、よくさえずっている。

 最近、女性で長い望遠レンズをもって鳥の写真を撮っている人が目立つ。ただし、若い人はほとんどいない。
 鳥以外では、カワトンボがあちこちに。林外ではホタルブクロの花が目立つ。

2021年5月24日(月)~26日(水) 三宅島

 2000年噴火後の生態系回復状況の調査。神着、火の山峠下、太路池、村道雄山線、坪田林道、伊豆薬師、伊豆岬方面で調査。
 雄山方面の緑は、さらに上方に拡がっている。山腹の噴火あとでは、ヒサカキやオオバヤシャブシなどに混じって、タブノキの若木が赤い葉を多数つけており、緑の景色の中できわだっている。
 鳥は、山腹方面の草地や低木林ではホオジロやメジロなどを除いて目につかない。噴火の影響の少ない都道周辺の照葉樹林では、イイジマムシクイ、コマドリ、アカコッコ(上の写真)、ミソサザイ、メジロ、ヒヨドリ、ホトトギス、カラスバト(下の写真)などが目立つ。釜の尻や伊豆岬方面には、ウチヤマセンニュウ(トップページの写真)が渡来してきている。  夜、釜の尻の研究ステーション周辺では、毎晩、アオバズクの声が聞かれる。
 24日、太路の林でエゾセンニュウのさえずりを聞く。あの、チョッピン、カケタカの声。本種は、三宅島をふくむ伊豆諸島で初の記録。

 しばらく梅雨時のような天気が続いていたようだが、ガクアジサイが島内のあちこちで、青から薄紫の美しい花を咲かせている。イボタの白い花も盛りで、島内全体に強いにおいを漂わせている。南西諸島原産のテッポウユリ、島中にものすごい勢いで広がっている。白い可憐な花がよく目立つ。
 晴天にめぐまれ、快適な日々を過ごすことができた。




2021年5月19日(水) ハリオアマツバメの渡り論文の報道

 北海道新聞の電子版に、Pacific Science誌に掲載された論文の内容が紹介された。タイトルは、「酪農学園大の森准教授ら ハリオアマツバメの飛行経路を解明」。掲載サイト は、こちら
 記事では、春と秋で太平洋を8の字を描いて渡ることや、越冬地はオーストラリア東部であることなど、研究の概要がきっちりとまとめられてある。共同研究者の和賀大地さんが撮影したハリオの写真も載っており、充実した内容になっている。
 紙版は、あす20日の朝刊で紹介予定とのこと。
 論文の書誌情報などは、この「折々の記録」の5月5日のところに示してある。

2021年5月19日(水) 神社の境内から浮き玉が消失

 本日の朝日新聞大阪本社版と朝日新聞デジタルに、大阪の四條畷神社(しじょうなわてじんじゃ)の境内から浮き玉が多数消失する記事が掲載された。4月、境内の手水舎に浮かべられた色とりどりの浮き玉が、30個以上もなくなったとのこと。

    「なぜ?神社から消えていく浮き玉 有力な「容疑者」とは」
    
 この件で私は取材を受け、コメントが紙上に掲載されている。状況からして、「容疑者」はカラスと判断された。神社のある環境からすると、ハシブトガラス。カラスはきれいな色のものを持ち去り、巣に置いて「飾り」のようにする習性がある。ゴルフボールを持ち去る例がそうだ。おそらく、この神社の浮き球を「失敬」していったカラスも、同じようなことをしたのではないかと想像される。
 手水舎に浮かべられた浮き玉は、直径4センチと5センチの2種類。このうち持ち去られたのは、すべて4センチのものとのこと。カラスのくちばしの大きさからして、5センチのものはちょっと大きすぎたのかもしれない。ちなみに、ゴルブボールは直径4.3センチ。


2021年5月18日(火) ハシボソガラスの育雛

 すまい近くの緑地で繁殖するハシボソガラス、5日ほど前にひなが孵化。親鳥による育雛が進んでいる。巣内のひなは2羽。まだ目は開いていないが、体の皮膚は黒ずんできている。羽毛が発達しかけているのだろう。
 この巣は、人通りのある道沿いのクスノキ上にある。地上8メートルほどのところにあり、それなりに目立つが、道行く人は気づいていない。親鳥が人を襲うこともないので、めいわくがられて巣を落とされることもなさそうだ。
 このまま、順調に子育てが進行することを望みたい。
 池のカルガモのひなは、2羽に減ってしまった。何かに襲われた模様。

2021年5月14日(金) カルガモのひな孵る

 すまい近くの緑地の池に、カルガモのひなが親鳥とともに現れた。ひなは全部で12羽。近隣の方の話では、2日前にはじめて現れたようだ。昨年と同じ場所だが、10日ほど早い。親鳥は一羽、状況からして雌。
 道行く人がみな、わぁ、かわいい!などと言って集まってくる。そばにカワセミがいても、カルガモのひなの方が断然人気が高い。たしかに、ひなたちは小さい毛玉のようだし、ちょこちょこ動きまわる動作もとても愛らしい。親鳥のあとを一斉に泳いでついていく様子など、人を幸せな気分にさせてくれる。
 人がたくさん集まりすぎ、また子供が至近距離まで近寄ったりして、ちょっと心配だ。
 これから2か月ほど、この付近で子育てが展開される。



2021年5月7日(金) ヤマボウシの花など

 横浜北部の緑地。ヤマボウシの花が咲き始めた(写真)。緑の木々の中で、白い大きな花(総包片)がひときわ輝いている。例年より、やはり早い時期に咲いている。初夏を想わせる花だ。
 ミズキやハコネウツギ、ニセアカシアなどの花は、そろそろ盛期を過ぎつつある。

 緑地内の歩道の上で、のんびり昼寝しているカルガモ4,5羽に遭遇。散策やジョッギングする人が至近距離を通っても、ほとんど動じない。頭を背中に突っ込んだままのものもいる。おもしろいので、動画を撮っておいた。

2021年5月7日(金) インドネシアの研究者とウェブ会議

 インドネシアの研究者7人とZoomで研究会議を開いた。テーマは、ハチクマの繁殖地、中継地、越冬地が温暖化の影響を受けて今後どう変化するか、だった。主催はボゴール農科大学のSyartinilia准教授。通称Liaさん。衛星追跡したハチクマの越冬地の環境特性などについて、共同研究してきた女性研究者だ。私の『鳥たちの旅―』(NHK出版、2005年)のインドネシア語版を出版してくれた人でもある。
 今回の会議は、Liaさんの学生、Aryo A. Condroさんを中心に行なってきた上記研究内容をめぐっての議論。この研究によると、温暖化の影響を受けて、数10年後、100年後にはハチクマの生息域はかなり縮小してしまう。たいへん興味深い内容だ。気象、地理、昆虫などの研究者も加わって、実りある議論ができた。
 写真は、会議後のスクリーンショット。


2021年5月5日(水) ハリオアマツバメの渡り経路解明論文を発表

 北海道で繁殖するハリオアマツバメの渡りを、微小なジオロケータを利用して追跡した論文が出版された。春秋で太平洋を8の字を描いてダイナミックに渡る様子を明らかにした。越冬地はオーストラリア東部。長崎大の山口典之准教授、酪農学園大学の森さやか准教授、旭川のエデュエンス・フィールド・プロダクションの米川 洋氏らとの共同研究の成果。以下、書誌情報。研究は現在も進行中。

Yamaguchi, N. M., Mori, S., Yonekawa, H., Waga, D. and Higuchi, H. 2021.
Light-level geolocators reveal that White-throated Needletails (Hirundapus caudacutus) follow a figure-eight migration route between Japan and Australia.
Pacific Science75:75-84.
https://doi.org/10.2984/75.1.3

2021年4月23日(金) 生物季節観測にかかわる論文発表

 気象庁は昨年11月に、1953年以来続けてきた生物季節観測を大幅に縮小すると宣言した。観測当初、105か所で100種目以上の動植物を対象にしていた生物季節観測を、2011年に58か所、植物34種目、動物23種目までに減少させていたのだが、2021年からさらに動物はゼロ、植物は6種目に減少させるという内容だ。
 これに対して、この生物季節観測の重要性にかんがみ、今回、私をふくむ日米韓の研究者が共同で減少内容の見直し、今後の観測体制の変更、市民科学の導入の重要性などについて、以下の論文を発表した。
 
Doi, H., Higuchi, H., Kobori, H., Lee, S-D. and Primack, R. 2021. Declining phenology observations by the Japan Meteorological Agency.
Nature Ecology and Evolution https://doi.org/10.1038/s41559-021-01459-3

 気象庁がこれまで行なってきた生物季節観測は、北海道から沖縄までに及ぶ広範囲、多様な対象生物種目、60年以上の長期間にわたる観測という点で、世界的にもきわめて重要なものである。とりわけ、近年はこれらの結果を利用して、地球温暖化関連で国内外の研究者がさまざまな解析を行なってきた。今回、共著者となっている研究者は、そうした解析や論文執筆に積極的にかかわってきた人たちだ。
 この論文が引き金になって、生物季節観測がより充実した内容に発展することが望まれる。

2021年4月21日(水) ハシボソガラスの抱卵

 すまい近くで観察中のハシボソガラスの営巣。完全に抱卵に入っている。
 よい観察場所を見つけたので、様子が明瞭にわかる。今後、孵化、育雛の過程が記録できるはず。




2021年4月20日(火) 葉山・森戸川

 快晴のもと、新緑に萌える神奈川県葉山の森戸川流域の森林を訪れた。毎年のことながら、この時期の(もっとも、今年は例年より2週間ほど早い)この地には、まばゆいばかりの新緑が広がっている。
 梢ではオオルリがさえずり、枝葉の間をセンダイムシクイがさえずりながら移動。ウグイスやメジロ、ヤマガラ、ガビチョウなどのさえずりも響きわたる。カワセミが鳴きながら川筋を飛びまわる。すばらしい景観、すばらしい音景色!

 ノダフジの薄紫、ヤマブキの黄色、ウツギやニリンソウの白の花々が、緑の中できわだっている。若葉の上にはカワトンボが(写真)。
 コロナ禍が再拡大する中、安らぎのひとときを過ごすことができた。

2021年4月19日(月) キンラン

 横浜北部の緑地、美しい新緑が広がっている。一年の中でもっとも活気に満ちた季節。散策がことのほか楽しい。
 緑地の片隅に、キンランが咲いていた(写真)。これまで気がつかなかったが、すばらしい出合いだった。キンランはラン科キンラン属の1種。かつてはめずらしい植物ではなかったが、1990年代ころから急激に減少し、1997年に環境省のレッドリスト中で絶滅危惧II類として掲載された。
 林縁では、在来種のミズキが白い花を咲かせている。





2021年4月15日(木) 葛西臨海公園

 2年ぶりで、東京江戸川区にある葛西臨海公園を訪れた。目的は、春季の渡り鳥の観察。
 干潟では、ホウロクシギ(上の写真)、オオソリハシシギ、ユリカモメ、コサギ、ダイサギ、カルガモ、ハシボソガラスなどを、内陸湿地では、イソシギ、クロツラヘラサギ(下の写真)、オオバン、カイツブリ、カワウなどを観察。
 ホウロクシギは2羽、大きく湾曲した長いくちばしを砂泥中に差し込み、採食していた。オオソリハシシギは1羽、波打ちぎわで反り上がった長いくちばしを砂泥中に差し入れ、ゴカイのような長いものを捕り出していた。ユリカモメは数100羽、すでに頭が黒くなっている夏羽個体が多かった。
 クロツラヘラサギは、1羽あるいは2羽。水面から突き出た棒の上で、頭を背中に突っ込んで休んでいることが多かった。八丈島で4月初めに見た夏羽個体とは異なる、文字通り顔の黒い個体。岸辺には、この鳥目当ての20~30人ほどの人が集まり、観察、撮影に励んでいた。

2021年4月14日(水) ハシボソガラスの営巣

 すまい近くの緑地で、ハシボソガラスの一つがいが繁殖を開始した。営巣木は街路樹のクスノキ。数日前に小枝をくわえて巣づくりしているのを確認、本日は巣についているのを観察。産卵期あるいは抱卵の初期と思われる。巣材に人工物を使っている様子はない。巣高は地上5mほど。
 このあたりは市街地だが、ハシボソガラスが優占しており、ブトは少ない。ハシボソガラスは人馴れしていて、人との距離は数mほどになる。営巣しているつがいの巣も、人が通る道の真上にある。今後の観察が楽しみだ。



2021年4月7日(水) 新緑広がる

 横浜や湘南地方では、早くもサクラの季節が終わり、新緑が広がっている。ケヤキ、コナラ、カエデなどがそれぞれの若緑を見せ、道端ではヤマブキ、ヤマツツジ、アメリカヤマボウシ(ハナミズキ)などが黄や橙、白の花々をつけている。全体に、例年よりも2週間ほど早い模様。
 すまい近くの緑地の池では、オナガガモ、キンクロハジロ、オオバンなどがすべて姿を消した。北へと旅立ったのだろう。カルガモだけは、つがいごとに間隔を空けてくらしている。6つがいほどが観察対象になっているが、雌が産卵や抱卵に入っているものは、一例くらいのようだ。

2021年3月31日(水)4月1日(木) 八丈島、八丈小島

 クロアシアホウドリの繁殖経過を観察するため、31日、八丈小島を訪れた。伊豆諸島自然史研究会の地元メンバー同行。
 今期、クロアシアホウドリは65巣で産卵(1巣1卵)、ふ化数は50、現在育雛中のひなは47。昨シーズンの産卵数49、ふ化数31、巣立ひな数30と比べると急増している(伊豆諸島自然史研究会調査)。
 今回、繁殖地内は、育雛中のつがい(上の写真)、求愛中の若鳥のつがい候補、若鳥の5~10羽ほどの群れなどからなり、上空を飛ぶものも多く、にぎやかだった。あいかわらず、人をまったくおそれず、静かにしている人の脇を通り過ぎていく個体、人が歩く前を行進する群れなどがいた。
 小島の集団繁殖地は、確実に安定期へと向かっていると言える。ただし、ハシブトガラス、ワシタカ類、ドブネズミなどの捕食者の脅威があり、また繁殖に適していない地域も広がっている。今後、こうした捕食者への対策と環境管理が重要な課題となる。
 八丈小島は無人島。調査関係者以外、繁殖地への立ち入りは規制されている。
 本日1日は、八丈本島の主に三原山方面のいくつかの場所を訪れた。コマドリ、ミソサザイ、アカコッコ、ヤマガラ、シジュウカラ、イイジマムシクイなどに出合うことができた。海辺では、希少種のクロツラヘラサギの夏羽個体を観察する機会にも恵まれた(下の写真)。





2021年3月26日(金) サクラ満開

 横浜や湘南地方では、桜が満開、見頃を迎えている。この時期、暖かい日が続いているせいか、ソメイヨシノ(写真)、ヤマザクラ、オオシマザクラのどれもが満開となっている。
 暖かい陽光のもと、お花見でにぎわっている。ただし、多くの場所で、人出は例年より多くない。数日前に緊急事態宣言が解除されたが、自粛している人が多いからだろう。

 ケヤキやコナラなどの新緑も始まっている。一気に春が訪れてきた感じだ。

2021年3月17日(水) サクラの開花

 暖かい日が続いている。3月14日の東京のサクラ(ソメイヨシノ)開花宣言に続き、本日、横浜でも開花宣言が出された。例年よりだいぶ早い。東京の開花は、気象庁による1953年の観測開始以来、最速。横浜は2番目とのこと。
 自然の景観もだいぶ変わってきた。コブシは満開(写真)、ヤマザクラやオオシマザクラはじきに見頃、タチツボスミレの花も。
 野山はさまざまに彩られ、ウグイスのさえずりが響きわたる。新緑にはまだ早いが、春がやってきた実感がわく。



2021年3月14日(日) カンムリカイツブリ夏羽

 横浜市南部、金沢区の野島海岸。スズガモの150羽ほどの群れに混じって、夏羽に衣替えしたカンムリカイツブリが1羽(写真)。冬のあいだ、冬羽のものは時おり見られるが、この場所で美しい夏羽個体を見たのは初めて。加えてウミアイサも。この鳥はここでは珍しい。
 スズガモの群れは、最盛期と比べると3分の1ほどの数。それでも、波間に揺れる姿が陽光のもとで多数の白い玉として輝く。冬のあいだの常連のヒドリガモやオオバンも、少なくなってきてはいるが健在。オオバンは、岩にへばりついている藻を、くちばしを斜めにして削り取って食べている。
 林縁では、キブシの花が開き始めている(下の写真)。枝から垂れ下がる淡黄色の総状花序は、かんざしのように見える。コブシとともに、春早い時期の花だ。オオシマザクラの花も、咲き始めている。ソメイヨシノはまだ蕾。
 外気温が20℃にもなる暖かな日。春の気分を満喫することができた。

2021年3月3日(水) コブシ、咲く!

 湘南地方では、コブシの花が咲き始めた(写真)。新緑にまだ早いこの時期、野山に白い花がきわだつ。また一つ、早春の訪れを知らせてくれている。自然と、気分が高揚してくる。
 キブシの花は、まだちょっと固めで開いていない。

 鳥の世界では、エナガがつがいの2羽に分かれ、巣づくりを始めているようだ。 この鳥の繁殖は、ほかの小鳥より早い時期から始まる。コケで外装をつくり、羽毛を次々に運び込んで内装を完成させる。羽毛のおかげで、巣の中は鳥が入ればすぐ温かくなる。






2021年2月25日(木) 車を利用したカラスのくるみ割り

 クルミの実を道路に置き、車にひかせて割るカラスの観察のため、前日から秋田を訪れた。知人の案内で、この行動をじっくり観察、撮影することができた。
 行動の概要は以下の通り。問題の鳥はハシボソガラスの特定個体。場所は、ある交差点。オニグルミの実をくわえたカラスは、道路上に出て行って実を置く(上の写真)。近くで様子を見ながら、車がひいていかないと、実をくわえて位置をずらす、あるいは移動させる。車にひかれると、急いで跳び出していき、砕けた実の中身をついばむ(下の写真)。
 この個体はつがいでくらしているが、もう一方の個体は、クルミを車にひかせることはしない。実が割れると、ひかせた個体に続いて路上に出て行き、砕けた実を食べる。ただし、ひかせた個体に時おり軽く突き放される。ひかせる個体の方が少し大きいので、雄ではないかと思われる。
 この場所以外にも、付近には、路上にクルミを置いて割るカラスがいる。ただし、定常的に見られることはないようだ。
 調査地一帯は雪景色。美しい光景だが、雪の中でくらすカラスはたいへんだろう。クルミの利用は、きびしい冬を乗り切るのに都合がよいに違いない。


2021年2月18日(木) くわえているのは何?

 すまい近くの緑地の水辺で、ハシボソガラスが水中から何かを次々にくわえて口にふくんでいた(写真)。ドングリのようにも見えるが、凹凸がないので違うようだ。知人の植物学者にたずねたが、何だか不明とのこと。
 ひょっとすると、人が投げたものかもしれない。散策する人の中には、カモなどに給餌する人がいる。菓子のようなものなのかも。
 それにしても、好物なのか、くちばしにいっぱいくわえ込んでいるのが興味深い。喉袋も膨らんでいるので、おそらく10個以上は口にしたのだろう。あとで食べるか、貯蔵するのではないかと思われる。
 カラスはいろいろな行動を見せる。日々、新しい発見がある。




2021年2月17日(水) ヒキガエルの交尾、産卵

 すまい近くの緑地の池。二ホンヒキガエルの交尾や産卵が進んでいる。場所によって多少違い、すでに産卵されているところもあれば、まだ交尾段階のところもある。本日見たところでは、交尾が試みられているものの、ほとんどはうまくいっていなかった。
 ヒキガエルが出ている場所では、コロコロコロ、コロコロコロという声が絶え間なく響いていた。
 こうした光景も、早春の訪れを知らせてくれている。

2021年2月13日(土) 廃棄されたミカンに集まるカラスやヒヨドリウグイスの初鳴き。

 三浦半島の津久井浜。ミカンやイチゴの栽培がさかんな地域だ。ミカンは収穫が済み、イチゴは今が収穫期。
 収穫後に廃棄されたミカンがミカン畑のあちこちに散乱しており、そこにハシブトガラス、ヒヨドリ(上の写真)、コジュケイが集まり、さかんについばんでいた。
 カラスは200~300羽、ヒヨドリは50~60羽もが集まっていた。コジュケイは多数いるが、姿がよく見えないので数は不明。ヒヨドリが採食目的で、一か所にこんなに集まっているのは、見たことがない。カラスは飛び立つと空が黒くなる感じで、多数の鳴き声とともにちょっとこわかった。

 上記のすさまじい光景を除けば、全体におだやかな景色が広がっていた。この時期としては暖かな日差しのもと、ウメは見頃(下の写真)、道端にはフキノトウが見られた。鳥は、メジロ、ウグイス、カワラヒワ、ハクセキレイ、カルガモ、コガモなどが目立った。ウグイスは、さえずり始めていた。
 これを書いている間、夜11時過ぎに、大きな地震が発生。震源地は福島県沖。宮城や福島では震度6強、横浜あたりでも4~5ほどか、かなり激しく揺れた。





2021年2月5日(金) コゲラの巣穴掘り

 すまい近くの緑地で、コゲラが巣穴を掘っていた(写真)。落葉樹の地上10メートルほどのところ、枯れている幹の部分、直径3~4㎝の穴だ。くちばしでコツコツコツとたたく音が響くので気がついた。穴はすでに丸くあけられている。時おり、穴に首を突っ込んで内部を削っている模様。
 ハシボソガラスが、スダジイの実を足で押さえて食べていた。スダジイであることは、食べ残しの実を採取して確認。コナラやカシ類の実も落ちているが、ヤマガラどうよう、甘いスダジイの実が好きなようだ。
 池には、カルガモ、オナガガモ、オオバン、コサギ、アオサギ、カワウなどがいる。1週間ほど前まではキンクロハジロの群れがいたが、このところ姿を消している。カルガモやオナガガモは、すでにつがいになっている。


2021年2月3日(水) 高病原性鳥インフルエンザの発生拡大

 昨年11月から、高病原性鳥インフルエンザの発生が続いている。この冬の型はH5N8。2月2日現在、北海道から九州までニワトリや野生の鳥の感染が頻発している。ニワトリでは、17県41事例、西日本での例が多い。野生の鳥では、10道県37事例が認められている。
 野生の鳥では、ハヤブサ、フクロウ、オオタカ、ノスリ、オジロワシなどの猛禽類の感染死亡例が多く、ほかではオシドリ、マガモ、オナガガモなどのカモ類やナベヅルの感染死亡例が続く。
 家禽の場合、1羽でも発生が認められれば、法律により、その養鶏場のニワトリはすべて殺処分される。今冬は、家禽農家に甚大な被害が及んでいる。
 人の世界では新型コロナが、鳥の世界では高病原性鳥インフルエンザが猛威をふるっており、両者の勢いはしばらくおさまりそうにない。

2021年1月31日(日) 舞岡

 風もなく暖かな好天のもと、横浜市南部の舞岡に出かけた。モズ、ウグイス、ジョウビタキ(写真上)、メジロ、ヒヨドリ、スズメ、ハシボソガラス、ヤマシギなどが現れた。とくにジョウビタキはじっくりと観察できた。めずらしく、ガビチョウのさえずりが聞かれなかった。
 緊急事態宣言下ではあるが、好天下とあって多くの人が散策やバードウオッチングを楽しんでいた。バードウオッチャーの中には、イギリス人のグループもいた。お目当ては、ヤマシギやアリスイとのこと。退職者たちなのか、1年ほど滞在して、北海道から沖縄までの各地でバードウオッチングを楽しんでいるようだ。
 植物では、フクジュソウ(写真下)やロウバイの黄色い花が目についた。ウメの花はまだちょっと早い模様。
 外来種のタイワンリスがあちこちでガチャガチャガチャと大きな声で鳴いていた。
 あすから2月。今冬はコロナ禍と大雪をふくむ寒冷気候で、日本各地でたいへんな状況が続いているが、季節は確実に進行している。自然の中で鳥や植物を見ていると、困難続きの毎日の生活を、いっとき忘れることができる。






2021年1月14日(木) 三宅島2

 晴天、しかし強風。島の西部、阿古神社から村道雄山線へ。中腹を取り巻く環状林道付近から、雄山山頂部をながめる。体が飛ばされそうになるくらいの強風。環状林道から上は、落葉草木が一面茶色に枯れているが、林道下部の際までは、一部、常緑のヒサカキなどが進出している様子がわかる(写真)。
 林道から都道に向けて下降しながら、植生や鳥の状況を観察。強風のため、鳥はあまり現れないが、植生の回復状況はよく見てとれる。復興事業として建設された砂防ダムは、土石流や植生の回復によって機能していない。
 昼食は、伊豆岬でミサゴやウミウを観察しながらとる。至福の時間。

2020年1月13日(水) 三宅島

 本日から三宅島にきている。2000年噴火後の鳥や自然の回復状況調査が目的。定期的にきている、と言いたいところだが、コロナ禍の中、予定通りにはこられていない。
 きょうは、神着から伊豆、坪田の都道沿いの林の様子を見てまわった。このあたりは噴火の影響の少なかったところだが、今回はメジロ、ヒヨドリ、イソヒヨドリ、ハシブトガラス、ノスリくらいしか観察できていない。アカコッコやコゲラ、カラスバトの気配はない。全体に鳥の数が少ない模様。
 林のヘリでは、ツワブキの黄色い花やアオノクマタケランの赤い実がきわだっている。
 一仕事終えてから、知人宅を訪問。庭にヤマガラやシジュウカラがくる(写真)。ヤマガラは住人の手にも乗る。長年の付き合いだからとのこと。



2021年1月11日(月) 緊急事態宣言下の成人式

 1月7日に、新型コロナ感染関連の「緊急事態宣言」が首都圏に発出された。昨春の第一回目に続いて2回目。そんな中、きょうは成人式。各地で式の延期や中止が相次いだが、横浜市は会場や回数を増やすなどして開催。街の中には、成人を迎えた男女があちこちで見受けられた。とくに、和服に身を包んだ女性がひときわ目を引いていた(写真)。
 緊急事態宣言下であることと、この街中の華やかな雰囲気とは、まるでちぐはぐ。また、新成人式を除いても、街中の人出は宣言以前とあまり変わらない。昨春の一回目とは大違い。
 コロナ渦は、欧米中心になお急速に拡大している。国内外で今後どう拡がっていってしまうのか、いつ収束するのか、見通しが立っていない。

2021年1月1日(金) ウメ一輪

 すみわたる青空。風もなし。元日にふさわしいお天気のもと、三浦半島の久里浜に出かける。特別な目的はないが、毎年のように夫婦で年の初めに出かけている。久里浜天神社で初詣。久里浜天神社は菅原道真を祀る神社。菅原道真は、学問の神さまとして広く信仰を集めている。だからお参りしているというわけではないが、小学生のころ、偉人伝で読んでから何となく親しみを感じている。
 境内にウメの木が1本ある。年によっては、元日にかなり多数の花が咲いている。今年は一輪だけ(写真)。それでも、冬から初春への季節の移り変わりを伝えてくれる。
 コロナ禍が広がっている。今年はどんな年になるのだろうか?日々の平穏と世界の平和を願いたい。


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