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折々の記録
 
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2024年

2024年11月15日(金) 晩秋

 暦の上ではすでに立冬を過ぎて冬に入っているが、まだ20℃、25℃を超える日がやってきている。しかし、季節は着実に進んでいる。湘南地方では、モズの高鳴きは終わり(写真)、ジョウビタキの姿が目立ってきている。水辺ではカルガモに加えて、オナガガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロなどのカモ類が目立ち、換羽が終了している個体も少なくない。 
 カモ類の求愛行動も始まっている。カルガモは、水面から上体をおこし、くちばしを下方に向けつつ、ピーと小声ではあるが高い声で鳴いている。そのうち、オナガガモの求愛行動も見られるようになるだろう。
 丘陵地に広がるミカン畑では、黄色く色づいた数多くのミカンの実が、まわりの緑の中できわだっている。茶色に変わりつつある林の縁では、カラスウリの橙色の実が目につく。


2024年11月10日(日) 加藤幸子さん お別れ会

 今年3月に亡くなられた芥川賞作家、加藤幸子さんのお別れ会が都内で開かれ、出席した。会場はアルカディア市ヶ谷 私学会館。
 加藤さんは作家として知られると同時に、鳥や自然に強い関心を持つナチュラリストでもあった。私は鳥や自然を通じていろいろな交流があった。そんな中でもとくに印象に残っているのは、毎年12月のクリスマスの時期に、銀座のソニービルで自然と音楽をテーマに開いたイヴェントのことだ。
 このイヴェントは、1990年代中ごろから10年間ほど続いた。毎回、加藤さんの朗読、嶋田璃里さんのサティのピアノ演奏、私の鳥関連のスライドとお話で構成された。嶋田さんのご主人の浜田剛爾さんがマネージメントを務め、ゲストとして、音楽家・作家の新井満さんやジャズピアニストの佐藤允彦さんなどを招待した。華やかな雰囲気の中で、加藤さんの鳥や自然をめぐる朗読は、とても心温まるものだった。
 今年も、クリスマスの時期が近づいてきた。この時期になると、私はいつもあの銀座での楽しかったイヴェントのことを思い出す。加藤さんは、私たち鳥仲間、自然仲間に限りなくすばらしい時と機会を与えてくれた。深く、ふかく感謝している。

2024年11月7日(木) NHK・BS「世界の怪鳥・聖鳥伝説」の再放送

 国内外の神話や伝説に登場するさまざまな鳥をめぐり、その背景や実態などを紹介する標記の番組。4月に放映されたが、この11月に再放送されることになった。

★ダークサイドミステリー 世界の怪鳥・聖鳥伝説を追え!?八咫烏から翼竜生存説まで?
  世界の怪鳥・聖鳥伝説を追え!〜ヤタガラスから翼竜生存説まで〜 - ダークサイドミステリー - NHK
  11/22(金)21:00-21:59 NHK BS
  11/28(木)11:00-11:59 NHK BS(同内容の再放送)

 番組内で私は、主に現生鳥類との関係で、松村一男・和光大学名誉教授と話を展開する。松村教授は神話学の専門家。番組は、美しいイラストやコンピュータグラフィックスなどが多用されており、大迫力。とても見ごたえがある。登場する鳥は、エピオルニス、ドードー、八咫烏(ヤタガラス)、サンダーバード、ロック鳥、ヒゲワシ、ワライカワセミなど。

2024年10月25日(金) 冬ガモの渡来

 都内での会議終了後に、上野の不忍池を訪れた。キンクロハジロ(写真)やオナガガモが渡来しており、水辺に秋の鳥景色を見せ始めていた。キンクロハジロは、白黒ツートンカラーの雄中心に10羽ほど、オナガガモは、全体で30~40羽、換羽が(ほぼ)済んでいる雄が10羽ほどだった。まだ本格的なにぎわいには至っていない。
 ほかには、カイツブリやアオサギなどがちらほら。高く伸びたハスの間を移動していた。
 道行く人の8割は外国人。アジア系の人だけでなく、欧米の人たちの姿も目についた。スズメに餌を与える人たちの姿は消えていた。



2014年10月17日(木) ハクチョウたちが戻ってきた!

 ハクチョウたちに追跡機器や小型カメラを装着し、渡りの様子を追跡、公開しているスワンプロジェクト。

 ハクチョウの背に乗って (intelinkgo.com)
 
 本年2月12日(月)のこの「折々の記録」でも紹介している。
 携帯電話網を利用して追跡していることから、春にロシアの通信圏外に出てから情報が途絶えていた。最近、秋の渡りが始まり、ハクチョウたちが南下し、通信圏内に入ってきたことから、機器内に蓄積されていた位置情報や画像を見ることができるようになっている。画像は繁殖地の様子もいろいろと映し出しており、とても興味深い。
 左の写真は、そのうちの一つ。広大なツンドラ地帯の奥で、コハクチョウが2羽、採食している様子が映し出されている。
 なんとすばらしい状況なのだろう!ハクチョウたちが「撮影」してくれた繁殖地での様子が、手に取るようにわかるのだ。今後、さらに多くのハクチョウたちが戻ってくれば、数多くの画像を見ることができる。とても楽しみだ。

2024年10月12日(土) コスモス園での小鳥の群れ

 三浦半島の久里浜にある「花の国」を訪問。この時期、いつもならコスモスの花が見頃なのだが、今年はまばら。夏の猛暑の影響で、生育がよくなかったとのこと。
 興味深いことに、この広大なコスモス園にスズメやカワラヒワ、ハクセキレイ(写真)などの群れがやってきていた。スズメは100羽以上、カワラヒワは数10羽が、コスモスの葉先や地表で、おそらく大量に得られる種子をついばんでいた。ハクセキレイは若鳥をふくめて、10羽前後が散らばり、地表面から小昆虫か何かをついばんでいた。
 ほかは、モズの高鳴きが少し。
 朝晩、涼しくなってきている。ようやく、本格的な秋の到来といったところか。




2024年10月6日(日) “釣り人寄生” のコサギ

 これまで何度か述べている“釣り人寄生” のコサギ。横浜市北部の公園で釣り人のそばに居つき、魚籠の中の小魚を盗み取ったり、釣り上げられた小魚をもらったりするサギのことだ。足指が黒と黄色のまだら模様であることから個体識別が可能。本日も、4,5人の釣り人の間に居座っていた(写真)。
 ただ、この日は盗みももらいも得られず、たたずむのみ。それでも、2時間ほどの観察の間、立ち去ることはなかった。
 ようやく涼しくなってきた。夜は虫の音が響きわたる。

2024年9月23日(月) ようやく初秋の気配

 秋分の日の振り替え休日。めずらしく涼しい。昨日までの暑さがうそのようだ。横浜市南部の舞岡へ。
 田んぼの縁などでヒガンバナが咲き始めている。ちょっと初秋の気配。コムラサキの青紫色の実が輝いている(写真)。まるで、宝石が連なっているようだ。ガマズミの実はまだ緑色。
 鳥の世界はほぼ静寂。ガビチョウだけが、例によって大声でさえずっている。エゴノキにヤマガラがやってきて、実をくわえていく。モズの高鳴きの時期だが、聞かれない。池にはカルガモの5,6羽の群れ。大げさに羽ばたいて水浴びをしている。
 この涼しさは、一時的のもののようだ。完全に気候は狂ってきている。



2024年9月18日(水)千葉でシギ・チドリの観察

 知人の案内で、千葉県内のシギ・チドリめぐりをした。種数、個体数ともに多くはなかったが、トウネン、イソシギ、オオソリハシシギ、シロチドリなどがよく観察できた。
 とくに印象的だったのは、波打ちぎわを優雅に動きまわりながら採食するオオソリハシシギの小群(写真)。人おじせず、私たちのそばを通り過ぎていった。炎天下での観察だったが、それにも増して貴重な時間だった。

 ある港の建物では、コシアカツバメの2,3つがいがまだ子育てをしていた。久しぶりにとっくり型の巣を見て楽しんだ。
 案内してくれた知人たちとの会話も楽しく、よい時を過ごすことができた。感謝!

2024年9月13日(金)~16日(月) 日本鳥学会大会

 今年度の大会の主会場は東京大学。参加者は推定で1000名を超え、とても盛会だった。年々、若い研究者が目立ってきている。口頭発表、ポスター発表、自由集会、ランチオンセミナー、ミニシンポジウム、公開シンポジウムなどいろいろな発表、情報交換の場があった。
 私は、コムクドリの渡り中継地としての九州の重要性、ミゾゴイやハリオアマツバメの食習性などの口頭発表にかかわるほか、渡り公開プロジェクト関連の自由集会で講演した。近隣の中央大学後楽園キャンパスで開かれた鳥インフルエンザ関連の公開シンポジウムでは、コメンテーターもつとめた。
 学会の大会は、研究発表の場であると同時に、鳥仲間、共同研究者、研究室OBやOG、多くの知人との交流の場でもある。今回も多くの方と接触の機会があり、とても有意義だった。ただ、日中の気温がいまだに高く、少なからず疲れた。
 来年の大会は北海道、9月の同時期に開催の予定。たぶん、涼しいなかで開かれることになるだろう。

2024年9月4日(水) ギンヤンマの交尾、産卵

 横浜市北部の公園。釣り人に盗み寄生するコサギを観察。例によって同じ特定個体による行動。釣り人に近づき、魚籠の中をうかがう。ただし、時おり釣り人に追いはらわれ、魚籠内の魚を得ることは困難な様子。釣り上げた小魚を投げてくれる釣り人はいない。あっちに行ったり、こっちに戻ったり、自分で採食したり、行動が定まらない。
 そんな様子を観察していたところ、岸辺の水草に産卵しているギンヤンマを目撃。雄と雌が連結して飛びながら、時おり水草にとまり、雌が尾の先端を水中の水草につけて産卵する(写真)。このあたりでは、ギンヤンマは多くないので、産卵の様子を見ることができたのは幸運。
 中学生の頃、夏休みにオニヤンマやギンヤンマを追いかけていたことを思い出した。すばやく飛びまわるヤンマ、ひらひら舞うカワトンボも、鳥以外の強い興味の対象だった。


2024年9月2日(月) 台風10号、熱帯低気圧に

 台風10号は、昨日正午に東海道沖で熱帯低気圧となり、影響は弱まった。ただし、時おり、突発的に強い雨が降ってくる。
 早くも11号がフィリピンの東の海上で発生した。ただし、日本方面には来ない模様。
 大雨が続いたのち暖かい空気が立ち込めたため、林床にはおどろくほど多くのキノコが出てきている。

2024年8月30日(金) 日本列島水びたし

 台風10号による影響で列島は強烈な暴風雨に見舞われている。台風は奄美大島から北上し、九州全土に大雨をもたらし、現在は本州西端から四国あたりを移動している。移動速度が遅いために、各地の降雨量は尋常ではなく、1日あるいは2日ほどでこの時期の月間降雨量に達しているところもある。風雨の影響は関東地方にも及んでいる。東京では大きな街路樹が折れて道路をふさいだり、河川が大きく増水したりしている。
 当初、920hPaほどだった強烈な状況は、現在、990hPaほどになっているが、台風としての勢力は依然として強い。今後、進路が東に向かう場合には、この週末から週明けくらいには関東を通過することになる。交通網の遮断、河川の氾濫、停電、食料不足などが心配される。
 この長引く風雨の中で、鳥たちはどう過ごしているのだろうか。しっかりした逃げ場のないかれらは、人間以上に厳しい生活を強いられているに違いない。




2024年8月18日(日) 猛暑続く

 日本各地の多くの都市で、最高気温が35℃を超える猛暑日が3週間以上も続いている。東京や横浜では、夜になっても30℃近い日が多い。エアコンなしでは生活できない。
 住まい近くの緑地。例によって、カラスが口を開けてあえいでいる。ハシブトガラス、ハシボソガラス(上の写真)ともに姿は目立つが、いかにも苦しそうな雰囲気だ。全身黒い羽衣をまとっているので、よけいその感が強い。全身白いコサギでさえ、水浴びしたあと、しばらく体を水につけたままにしている(下の写真)。
 セミだけは元気。アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシなどの合唱。木々の幹には、セミの抜け殻が多数ついている。一方で、早々に亡くなった成虫の死骸が、少しずつ地表に目立ち始めている。
 暑さはまだまだ続く模様。ただ、季節は確実に進んでいる。じきに、シギ・チドリが訪れる季節がやってくる。

2024年8月7日(水)、8日(木) 富士山麓

 7日、水村春香さんの案内で、山梨県立・富士山科学研究所を訪問、所員や所長の方々と交流。その後、所内の研究林をまわり、夜は所員の方々と懇親会を楽しんだ。水村さんは、慶應大SFCから東大・森林動物へと進み、博士号を取得後、昨年から富士山研で研究員を務めている。
 8日は、水村さんたちに同行して、富士山麓の広い範囲をめぐった。車で移動しながら、亜高山帯の鳥を中心に観察し、シカによる林床の食害の様子などを見てまわった。
 鳥は繁殖期が終わっていることもあり、多くはなかったが、エナガ、ヒガラ、キクイタダキ、キビタキ、ルリビタキ、メボソムシクイ、アカハラ(上の写真)、クロツグミ、ホオジロ、モズ、コサメビタキ、ソウシチョウ(外来種、下の写真)、コゲラ、アオゲラ、ノスリ、トビなどを観察することができた。ルリビタキやメボソムシクイ、クロツグミ、ソウシチョウなどは、さえずりも聞かれた。

 富士山麓は、1960年代、70年代ほど鳥たちのにぎわいはない。が、それでも美しい森の中でいろいろな鳥や植物を観察できるすばらしい場所だ。もちろん、清らかな空気の中を散策しながら、すばらしい景観を楽しむこともできる。カラマツなどの植林を制限し、シカの食害を減らし、自然のなかでの観光のあり方をきちんと考えていけば、世界自然遺産への登録も夢ではないはずだ。
 右の写真2点は、水村さん撮影。





2024年7月18日(木) 梅雨明け

 本日、気象庁が、関東・甲信地方が梅雨明けしたとみられる、と発表した。いよいよ、これからが本番の夏、酷暑続きの日々が始まる(実際には、もう始まっているが)。
 すまい近くの緑地では、ニイニイゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミが鳴き始めている。木々の幹には、それらの抜け殻が見られる(写真はニイニイゼミの抜け殻)。ただし、数はまだ少ない。
 鳥たちの世界は、全般的に静か。キジバトだけがデデッポーポーと鳴いている。
 道ばたでは、ミソハギ、ノカンゾウ、ギボウシなどの花が咲いている。

2024年7月16日(火) マンションの階段踊り場で営巣するカルガモ

 東京新聞から、東京杉並区のマンション5階に至る階段踊り場で、カルガモが営巣しているとの連絡があり、取材に応じた。

  https://www.tokyo-np.co.jp/article/340375

 カルガモの繁殖時期としては遅い例で、現在、踊り場の花壇の中で抱卵している。これまでこのような例は知られていない。人の通りはあまりないようなので、比較的安全なのかもしれないが、カラスに見つからないか心配だ。うまくひながふ化したら、親鳥に連れられて階段を降りていくのだろうか。

2024年7月2日(火)~4日(木) 三宅島

 今期3度目の三宅島。梅雨どきではあるが、なんとか天候に恵まれ、よい日々を過ごした。
 2日、研究ステーション到着後すぐに、室内にウチヤマセンニュウが紛れ込んでいるのを発見。あちこち飛びまわっていたが、窓を開放後、外に戻っていった。

 調査は火の山峠入口、太路池、村道雄山線、富賀浜、伊豆岬、薬師堂などで実施。アカコッコ、イイジマムシクイ、コマドリ、ウグイス、ウチヤマセンニュウ、ミソサザイ、メジロ、ホオジロ、ヒヨドリ、カワラヒワ、ホトトギス、カラスバトなどを観察。まだアカコッコ、イイジマムシクイ、コマドリ、ウチヤマセンニュウ(写真)、ミソサザイ、カラスバトなどがさえずっており、とくにコマドリとホトトギスのさえずりが各地できわだっていた。ヤマガラは相変わらず目立たなかった。
 植物は、島内各地でガクアジサイの青い清楚な花、海岸でハマカンゾウやスカシユリの橙色の花が目立っていた。昆虫は、アオスジアゲハ(多数)やカラスアゲハ(下の写真)など。
 期間中、同行してくれた知人による料理や、島在住の方をふくめた島での自然観察/環境教育論議も、おおいに楽しんだ。





2024年6月22日(土) クサフグの産卵

 昨日(21日)、気象庁によって関東の梅雨入りが伝えられた。平年より2週間ほども遅い。この日は夏至で満月。
 この時期の満月(や新月)の1,2日後くらいには、クサフグの集団産卵が見られる。本日夕刻、横須賀市の深浦にその様子を見に出かけた。この地では、岸辺の岩場にクサフグが集まって産卵し、岸壁からその様子を安全に、じっくりと見ることができる。この日は観察会が開かれており、多くの人が訪れていた。
 午後6時15分頃から何10,何100ものクサフグが次々に現れ、その後、水際でバシャバシャ激しく動きまわりながら雌が産卵。雄が放精して水が白く濁る(写真)。1か所に数10尾が集まり、跳ねまわるすさまじい光景があちこちで展開される。まさに、生命(いのち)の躍動!私たち夫婦をふくめて、見ている人たちは、みな、感動。
 クサフグの集団産卵は、梅雨どきの風物詩ともなっており、近年、観察に訪れる人の数が増えているようだ。



2024年6月16日(日) 多摩川河口

 梅雨入りが遅れている。ここ数日は、日中30℃を超える真夏の暑さ。
 そんな中、川崎側の多摩川河口を訪れた。毎年この時期、訪れる場所だ。目的はオオヨシキリの観察。川原に発達したヨシ原で繁殖している。3、4羽ほどの雄が、空間を開けながら、葉や茎の先端付近にとまって、ギョシギョシ、ギョギョシなどとさえずる。くちばしをいっぱいに広げて大きな声でさえずるので、よく目立つ(写真)。梅雨時の風物詩といってよい。
 付近には、ツバメ、ムクドリ、スズメ、カワウなどがいる。ツバメは草原上をすいすい飛びながら、何かを捕らえる。ムクドリやスズメは、土手の草の間から小動物をついばむ。カワウは50~80羽ほどの群れが、水の中にさかんに潜って魚を捕っている。
 この時期の川原にも、生命(いのち)のにぎわいが見られる。


2024年6月9日(日) 葉山の森4

 梅雨時のような天気が続いている。数日のうちには、正式な梅雨入り宣言がある模様。
 今季4度目の葉山の森。ウグイス、オオルリ、キビタキ、センダイムシクイ、サンコウチョウ、ホトトギス、ガビチョウなどのさえずりが響きわたる。ただし、抱卵あるいは育雛に入っている鳥が多いせいか、夏鳥を中心に見聞きできる機会は限られている。
 森の一角で、サンコウチョウが抱卵中(写真)。雄と雌が交代で抱卵している。地上10数メートルのところ。長居して繁殖妨害してはいけないので、早々にその場を離れる。
 抱卵や育雛を自身でしないホトトギスは、けたたましい声で鳴きたてている。ウグイスなどへの托卵をねらっているのだろう。ウグイスの谷渡り鳴きも響きわたる。

2024年6月8日(土) Professor oration

 インドネシアのIPB University (Bogor Agricultural University)で、新任教授の紹介イヴェント/講演会(Professor oration)が開かれた。4人の新任教授の一人、Syartinilia教授が私の親しい知人で、彼女から直接参加の誘いを受けていたが、諸事情からオンライン参加となった。Professor orationという行事は、日本ではなじみがないが、海外の大学では重要なイヴェントとして開かれることが珍しくない。
 この日のProfessor orationも一大行事で、大学の学長はじめ重要人物の出席のもと、国歌や校歌の演奏、4人の教授の学歴や職歴のくわしい紹介、各教授による講演へと進んだ。会場には、研究教育関連の同僚だけでなく、教授らの家族、親戚、親しい知人なども列席していた。 
 Syartinilia教授(通称Liaさん)の講演は、東京大学での博士号取得となったジャワクマタカ(Javan Hawk-Eagle, Garuda)の生息分布解析にかかわる研究と、私との共同研究になるハチクマの渡りとインドネシアでの越冬環境特性にかかわる研究の紹介からなっていた。どちらの研究もこれまでに多数の学術論文となっており、また後者の共同研究の内容は、小著『鳥たちの旅―渡り鳥の衛星追跡』(NHKブックス、2005年)のインドネシア語版(Syartinilia訳、Penerbit IPB Press, 2016)でもくわしく紹介されている。
 Liaさんの講演は、お世話になった大学の同僚や関係者、国内外の共同研究者、家族や知人への謝辞にも多くの時間が費やされていた。ご本人もご家族も、涙ぐむ場面があり、感動的だった。
 国際交流、国際共同研究がこのような形で進展したことを、とてもうれしく思っている。


2024年6月6日(水) カルガモ親子

 すまい近くの緑地の池周辺で、カルガモのひなが生長している(写真)。生後3週間ほどになり、ひなのあどけなさが消えてきている。ひなの数は4羽に減少。多くのひながカラスやヘビなどの捕食にあってしまったようだ。
 おとなの鳥どうよう、ひなも日なたに長居するのは苦手なようで、きょうは草むらの日陰で休んでいることが多かった。

 池には、カルガモ以外、カワセミ、コサギ、アオサギ、カワウなど。周囲の林には、シジュウカラ、メジロ、ヒヨドリ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、キジバトなど。
 ビワの実は黄色く熟しているが、すでに下方の部分を中心に、カラスなどに食べられてしまっている。

2024年6月6日(木) 出版社が「水道ガラス」の貴重動画を無断使用

 文一総合出版発行の『とことんカラス』(2023年)の中で、私が撮影した貴重動画が無断使用されてしまった。横浜の公園で、ハシボソガラスが水道の栓をまわして水を飲んだり浴びたりする動画だ。この動画は、世界的にも稀なカラスの行動を示しているもので、私がたいせつに保管、管理しているものだが、今回、同書中で、なんの断りもなく、以前ほかの書籍で使用された本動画にリンクを張られてしまったのだ。
 もちろん、担当の編集者、バーダー編集部、文一総合出版社には厳重に抗議。本日、正式な謝罪文が届いた。しかし、なんとも複雑な気持ちをぬぐい切れないでいる。読者に迷惑がかかったわけではないのだが、たいせつにしているものを安易に、無断で使われてしまったことが残念でならないのだ。意図して無断使用したのではないとのことだが、そうだとしても、背景には、編集側の関係者の安直さや傲慢さが垣間見えるような気がしてならない。

2024年6月3日(月) 三宅島2

 朝、ホトトギスのけたたましい声でめざめる。雌が数日前から、研究ステーションの敷地内で繁殖するウグイスへの托卵をねらっている(写真)。ウグイスも警戒して、谷渡り鳴きを繰り返す。
 近くで、アカコッコのちょっとしわがれた声のさえずり。本州のアカハラの清涼なさえずりとは異なる。ウチヤマセンニュウのさえずり。藪の中から聞こえてくる。時おり、空中に飛び立ってさえずる。カラスバトのウッウルル、モオ~ウという大きな声。牛の声のようにも聞こえる。
 雄山(おやま)を見渡すと、緑が山頂に向かって広がっている様子がわかる。環状道路、通称「はちまき道路」のあたりまでは、オオバヤシャブシの低木林がせりあがっている。
 きょうは朝一番で、村営の温泉に行く予定。近隣の知人に同行する。



2024年6月2日(日) 三宅島

 昨日から三宅島に滞在中。台風1号は過ぎ去ったが、まだ天候は不安定。だが、鳥たちは活発に動いている。とくに、カラスバトとホトトギスは島のどこに行っても目や耳につく。カラスバトはタブノキの実を求めて、ホトトギスは托卵相手を求めて、それぞれ動きまわっている様子。
 島の南部、太路池では、ほかにイイジマムシクイ(写真)、コマドリ、アカコッコ、ウグイス、ミソサザイ、メジロ、ヒヨドリなど。ヤマガラの姿はあいかわらず目立たない。
 島の各所で、ガクアジサイの青い花が雨に濡れて輝きを増している。すでに梅雨時の気配だ。
 夜、研究ステーションの部屋から、波音に混じって、アオバズクやホトトギスの声が聞こえてくる。早朝には、ウチヤマセンニュウやコマドリ、アカコッコのさえずり。なんとも幸せが気分になる。

2024年5月23日(木)~25日(土) 山梨県北部森林

 知人の案内で、山梨県北部の森林地帯で鳥見を楽しんだ。この時期、めずらしく好天に恵まれ、美しい緑におおわれた広大な森林で、ヒガラ、ウグイス、ヒヨドリ、コマドリ、アカゲラ、ジュウイチ、トビ、クマタカなどを観察。
 標高800~1000mほどの緑豊かな森林ではあったが、ところどころ、シカの採食で林床植生が貧弱になっていた。その影響か、林床を好む鳥の姿があまり目につかなかった。
 標高600mほどの林に囲まれた住宅地では、ジョウビタキやガビチョウを見聞きした。どちらも繁殖している模様。
 久しぶりに、大自然のなかでゆったりと過ごすことができた。知人ご夫妻にはたいへんお世話になった。鳥や自然をめぐる会話や情報交換が楽しく、有意義だった。感謝!

2024年5月22日(水) 白いツバメのひな

 熊本県長洲町の住宅街で、3羽の普通のひなに全身白いひなが混じって成長している。
朝日新聞の昨日のオンライン記事に続いて、本日、紙面でも紹介された。私がコメントを寄せている。メラニン色素の欠如による変異個体だと思われる。

https://www.asahi.com/articles/ASS5P1G9FS5PTIPE004M.html

この白いひなは、くちばしや足まで白いが、目は正常の黒。ほかのひなに混じって元気に給餌を受けている。巣立ちの時期で、日中は巣から出て電線などにとまっているが、夜は巣に戻っているとのこと。

2024年5月21日(火) カイツブリの親子も

 前日と異なる緑地の池。カイツブリが2羽のひなを育雛中。親鳥が水面をおおう水草の間をぬいながら、さかんに潜ってザリガニなどを捕らえ、ひなに与えている(写真)。ひなは生後2週間ほどか、自分でも潜るが、捕食はほとんどできていない。
 近くには、カルガモの親子も。ひなは昨日の池のひなより少し大きい。雌親1羽と11羽のひなが、水路をせわしなく移動しながら採食。ときおり、陸に上がって移動。歩道にも出て、道行く人の間をすり抜けていく。なんとも愛らしい光景だ。



2024年5月20日(月) カルガモ親子

 すまい近くの緑地にカルガモ親子が現れた。毎年、この時期に登場する。よく観察している人の話では、今年は5日ほど前にふ化した模様。最初は13羽だったのが、12羽になり、本日は5羽。カラスやタカの捕食にあったのだろう。
 カルガモのひなは、いつ見てもかわいらしい。雌親の前後を動きまわりながら、草の葉や種子をついばんでいる。ひなも親鳥も、人が見ていてもほとんどおそれない。道行く人がみな足を止め、その愛らしい光景をながめている。
 これからしばらくのあいだ、ひなたちの成長を見ていくことになる。

2024年5月18日(土) 葉山の森

 久しぶりの晴天。今期3度目の葉山の森。オオルリ、センダイムシクイ、サンコウチョウ、ホトトギスなどの夏鳥が勢ぞろい。ただし、オオルリやセンダイムシクイはつがい形成が済み、産卵、抱卵に入っているため、あまりさえずりが聞かれない。渡来後まもないと思われるホトトギスは、例によってけたたましく鳴いている。
 留鳥は、ウグイス、シジュウカラ、ヤマガラ、ヒヨドリ、メジロ、ガビチョウ、コゲラ、アオゲラなど。ウグイスとガビチョウのさえずりが響きわたっている。
 緑は一気に濃くなり、そんななか、ハコネウツギの白やピンクの花が目立っている。

2024年5月15日(水) すっかり緑が濃くなった

 連休中からこれまで、横浜から三浦半島を中心に鳥や自然を見てまわっている。特別変わったことはないが、鳥たちの日常にふれている。
 すまい近くの緑地では、キショウブの黄色い花が咲きほこる湿地で、カワセミがさかんに飛び込み採食を見せている。コゲラやアオゲラ、ハシボソガラスやハシブトガラスは、子育て中。本日は、ハシブトが地表面からチョウの成虫を咥えあげて食べているのを目撃。メジロは(写真)、まだ赤いクワの実の間から、黒く熟した実を見つけ出して食べている。
 そろそろ、カルガモのひなが登場するころだ。池のほとりを、親鳥のあとについて移動するひなの群れが見られるはず。
 森の木々は緑の濃さを増している。雨が降ると、梅雨どきのような雰囲気になる。もうじき山野では、渡来時期の遅いカッコウやホトトギスなども出そろうだろう。


2024年5月11日(土) 野学校(やがっこう)で講演

 設立12周年を迎えた野学校で、「世界の自然と自然、人と人をつなぐ渡り鳥」について講演した。会場は東京・武蔵小山の小山台会館。野学校は、「バイ菌からクジラまで、みんなで学ぶ野学校」をキャッチフレーズに、生きものや自然の世界のありかた、人のくらしとの関係などについて学び、議論する団体だ。
 私の話は、近年、科学技術の発達によって目に見える形で明らかになってきた鳥の渡りの実態を紹介する内容。対象となった鳥は、コムクドリ、サシバ、ハチクマ、カンムリウミスズメ、オオハクチョウ、ハリオアマツバメなど。パワーポイント上で、これまでの研究で明らかになった渡りの経路、重要な中継地や越冬地、渡りと気象との関係、渡り鳥をめぐる保全活動などについて話した。また、鳥たちは長距離の渡りを通して、世界各地の人と人をも結びつけていることを紹介した。
 参加者はとても熱心で、質疑応答の時間にもいろいろ重要な質問をしてくれた。
 古くからの友人や知人も多く参加しており、有意義な交流の時間を過ごすことができた。


2024年4月26日(金) 葉山の森

 例年この時期に訪れる葉山の森。新緑に包まれる小道を歩く。オオルリ、キビタキ、センダイムシクイなどの夏鳥のさえずりが響きわたる。ウグイス、シジュウカラ、ガビチョウなどの常連の鳥たちのさえずりも。ほかに、コゲラやアオゲラ、カルガモなど。サンコウチョウやホトトギスはまだ来ていない。
 今年は植物の季節が例年よりも少しずれている。この時期に見られるヤマブキ、ニリンソウ、ウツギなどの花々は、すでに盛期をすぎている。ただし、フジは見事に咲きほこっている(写真)。庭園に咲くフジ花も見事だが、やはり、緑の山野のフジはすばらしい。

2024年4月19日(金)~21日(日) 三宅島

 春の鳥類調査のため、三宅島を訪れた。天候に恵まれ、快適にすごすことができた。太路池周辺、薬師堂、伊豆海岸、三七山方面を対象に観察。主要対象地の太路池周辺では、アカコッコ(上の写真)、コマドリ、ウグイス、イイジマムシクイ、ミソサザイ、ヒヨドリ、メジロ、ヤマガラ、ハシブトガラス、イソヒヨドリ(下の写真)、コゲラ、カラスバト、キジバト、アオバズク、コジュケイ、コサギ、ゴイサギ、ダイサギ、カワウなどを観察した。
 全体に鳥は少なめで、とくにヤマガラの姿はどこでもほとんど見かけなかった。目立ったのは、コマドリとウグイス。コマドリは、照葉樹林内だけでなく、オオバヤシャブシが優占する林でもさえずりが聞かれた。同じ傾向は、ほかの場所でも認められた。ウチヤマセンニュウやホトトギスは、まだ渡来していない。
 鳥以外で目についたのはソメイヨシノ。あちこちで花は咲いているのだが、本土のような絢爛さはなく、どこでも一本の木の中ですかすかに花をつけていた。赤場暁を中心に各地でタラノキの芽吹きが見られたが、島民によって若芽が採取されている様子はほとんどない。太路池の照葉樹林の林床に、アリドオシの一大群落が見られた。島では棘が消失する傾向があるのだが、どの個体にもしっかりついていた。ちなみに、タラノキの方は、少数を除いて棘は消失している。
 今回、観察には、三宅島在住の菊地ひとみさんと八丈島在住の岩崎由美さんが同行してくれた。お二人とも鳥だけでなく、植物や島の文化・歴史にもくわしいので、いろいろ参考になることが多かった。感謝!





2024年4月7日(日) 人おじしないコサギたち

 近隣の複数の公園でコサギを観察。このあたりのコサギは人おじしない。以前から書いている、釣り人に盗み寄生する個体もいれば、人がすぐそばを歩いていても、気にせずに採食する個体もいる。
 そんなコサギの一羽が、水面に散り落ちたサクラの花びらのあいだを歩きながら、採食していた。水面にうっすらと姿が映り、なんとも美しい光景(写真)。近距離からこんな様子を見ることができるのは、なんとも幸せだ。
 多くの地域でコサギは、人の姿を見るとすぐに飛び立ってしまう。じっくり観察するのはなかなか難しい。この地では、釣り人や公園を行き来する人が鳥を追い払ったりしない。そのため、コサギはのんびりくらしており、場合によると、手の届くような距離で見ることができる。
 人がやさしい気持ちで接すれば、鳥たちも人を決しておそれないということだ。

2024年4月6日(土) ソメイヨシノ満開

 横浜や湘南地方でソメイヨシノが満開を迎えている(写真)。天気はいまひとつだが、行楽地はどこもお花見でにぎわっている。
 夏鳥の渡来は、ツバメなどを除いてもうちょっと待たねばならないが、ウグイスやメジロ、シジュウカラやイソヒヨドリなどのさえずりは各地で響きわたっている。

 大学では、春休みを終えて多数の新入生が加わり、学生たちの楽しげな会話、各種サークルへの勧誘の声、大きな音声の太鼓や音楽でたいへんなにぎわいだ。
 自然も人の世界も、あらたな時期を迎えて活気に満ちている。心おどる季節がやってきた!




2024年4月2日(火) NHK・BS ダークサイドミステリー「世界の怪鳥・聖鳥伝説」に出演

 国内外の神話や伝説に登場するさまざまな鳥をめぐり、その背景や実態などについて、和光大学で神話学を専門にする松村一男名誉教授と話を展開した。美しいイラストやコンピュータグラフィックスなどが多用され、BSプレミアム4Kだけあって大迫力。見ごたえがあった。登場した鳥は、エピオルニス、ドードー、八咫烏(ヤタガラス)、サンダーバード、ロック鳥、ヒゲワシ、ワライカワセミなど。
 再放送が、あす4月3日午後3時00分~4時00分に放送される。本日はBSプレミアム4K放送だったが、あすは通常のBS放送。

https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/schedule/


2024年3月28日(木) ソメイヨシノの開花日

 今年は、冬は比較的暖かったが、3月になって寒い日が続き、サクラの開花が遅れている。とは言っても、ソメイヨシノの話。ヤマザクラやオオシマザクラはすでに開花している(写真)。東京のソメイヨシノの開花は、昨年から10日以上遅れている。
 あすから週末にかけて、日中の気温が20℃を超えるとのこと。一気に開花するのではないかと予想される。
 じきに4月。春本番を迎えることになる。
 写真はオオシマザクラの開花。横浜北部にて、3月27日撮影。

2024年3月26日(火) テレビ番組出演の予定

● NHK・BS「ダークサイドミステリー」「世界の怪鳥・聖鳥伝説」
 https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/schedule/
 日時:4月2日(火)NHK・BSプレミアム4k 夜9時~10時00分
(対応可能なリモコンの4Kボタンを押して、次に1を押すとNHKのBSプレミアム4K
4Kを観ることができる。美しい映像が見られる)。再放送が翌4月3日、NHK・BSで午後3時から予定されているが、期日は変更の可能性あり。
 概要:和光大学で神話学を専門とする松村一男教授と、神話や伝説に登場する鳥をめぐって話を展開。私は神話や伝説にはあまりくわしくないので(ちょっと謙遜)、おもに現生の鳥にかかわる部分を話す。登場する鳥は、エピオルニス、ドードー、八咫烏(ヤタガラス)、サンダーバード、ロック鳥など。いろいろな映像やイラストが組み込まれ、楽しい構成になっている。

● NHK総合「ダーウィンが来た!」
 4月7日(日)午後7時30分~8:00
 「ダーウィンが来ちゃった!」コーナーで、部分白化した白いカワセミをめぐって、カワセミの羽衣の構造色について解説。


2024年3月17日(日) 春の香り

 暖かい日が続いている。横浜や湘南地方では、コブシ(写真)やモクレンの花が咲き、野の草木が芽を開き始めている。あたりには、そうした草木が発する香りがただよっている。春の香りだ。里の景色は、ところどころ黄緑色に染まっている。
 メジロやヒヨドリが、時おりおりの花を訪れ、蜜をなめとっている。シジュウカラは巣穴探しに励み、ハシボソガラスは小枝を集め、巣づくりを始めている。ウグイスのさえずりはまだまれだが、季節の変わり目を知らせてくれる。アオサギのくちばしは、赤みを増してきた。冬鳥のオナガガモやキンクロハジロなどのカモは、池から姿を消した。
 いよいよ、本格的な春がやってくる。

2024年3月13日(水) Cao Lei教授と面談

 国際バイオロギング学会に出席中のCao Lei教授と面談した。Cao Lei教授は中国科学院の鳥類学者で、ガンカモ・ハクチョウ類を中心とした鳥類の渡りを研究している。私とは10年以上の親交がある。
 面談の場所は、学会会場(東京大学)から離れた武蔵境にある日本獣医生命科学大学。彼女の特別セミナーが開かれるとのことで参加し、その前後に意見/情報交換した。彼女を中心としたカモ類(広義)の渡り研究は、近年めざましい進展をとげており、学ぶところが多かった。話題は、中国と日本で越冬するハクチョウの渡りの経路や時期、ロシアの繁殖地での滞在期間などの違いにも及んだ。この内容は、現在執筆中の中日研究者の共著になる論文にかかわるものだ。
 Cao Lei教授らとの共同研究は、今後もいろいろな形で進んでいくことになりそうだ。

2024年3月8日(金) 春のきざし2

 雨模様の多い昨今、晴れ間を見て神奈川県立・四季の森公園を訪れた。
 アオジ、シジュウカラ、ヤマガラ、コゲラ(トップページの写真)、ヒヨドリ、ハシボソガラス、カワセミ、カワウなどを観察。コゲラの声や姿が目立った。カワセミは、おそらく撮影用に人が立てた棒杭にとまっており、近くで数人のカメラマンが大きな声でしゃべっていても気にする様子がなかった。カワウは園に隣接する中山中学校の人気のない校庭に、1羽たたずんでいた。風が冷たく、気温が低いせいか、ウグイスのさえずりは聞かれなかった。
 園内では、マンサク(右の写真)やサンシュユ、ハナモモの花が咲き、春のきざしを感じさせていた。




撮影:林 勇智


撮影:林 勇智
2024年3月7日(木) サシバは船に乗って旅をする!

 サシバが春の渡りの途中、夜間、船に乗って北上する様子を述べた論文が出版された。

Wu, Y., Lin, Y. C. and Higuchi, H. Night landing of Grey-Faced Buzzards (Butastur indicus) on a ship during migration. Journal of Raptor Research 58: 125-128.
https://doi.org/10.3356/JRR-23-00047

 昨年9月、金沢大学で開かれた日本鳥学会大会で発表した内容だ。以下、論文の概要を述べておく(大会講演要旨より)。

 「帆翔するタカ類は海上を、とくに夜間に渡るのが困難である。視界が悪い上に、上昇気流などを利用しにくいためである。われわれは、この困難を軽減する可能性のある渡り行動をサシバで観察した。2023年3月下旬の夜間、フィリピンと台湾のあいだを航行する船に、最大40羽のサシバが降り立った。これらのサシバはすべて元気で、衰弱などはしていなかった。船上でサシバは、船首の手すりやデッキに止まり、静かに過ごしていた。当時、風は穏やかで、空に雲はほとんどなく、星も見えていた。したがって、サシバは悪天候のために船に不時着陸したわけではない。この時期は、サシバの春の渡り期にあたり、船上にいたサシバの位置は、フィリピンから台湾方面に向かうサシバの渡り経路沿いにあった。おそらく、これらのサシバは渡りの途上にあり、夜間の移動の安全とエネルギー節約のために船に降り立ち、休んだものと思われる。これらのサシバは、翌日の早朝5時までの間に船上からすべて飛び立ち、台湾方面に向かったものと推察される。この観察は、帆翔性のタカ類が渡り途上で船を利用することを報告する最初の例である。」

 Yinyin Wu(呉 盈瑩)さんは、私の東大時代の大学院生で、サシバの越冬生態研究で博士号を取得した方、現在は台湾猛禽研究会の研究員。Lin Y. C(林 勇智)さんは、台湾猛禽研究会の研究員で、実際に船上でこの観察を行なった方だ。
 今回発表した論文は、非常に興味深い観察結果を述べており、広く注目されている。


2024年3月3日(日) 春のきざし

 寒い日が続いているが、季節は確実に進んでいる。
 横浜や湘南地方では、ウメ、ロウバイ、カワヅザクラの花がすでに見頃を過ぎ、先週末(2月24日、逗子)には、ウグイスのさえずりも聞かれた。毎年のことながら、ウグイスのさえずりは、春を感じさせてくれる。
 すまい近くの緑地の池では、常連のカワセミ、コサギ、カワウ、カルガモ、オナガガモ、キンクロハジロ(写真)などが見られる。オナガガモやキンクロハジロは、じきに北へと旅立っていくのだろう。
 あと20日ほどもすれば、ソメイヨシノの開花も始まるとのこと。寒いとはいえ、今冬はやはり暖冬、サクラの開花も早いとの予想。




2024年2月7日、岩手県北上市を飛行中の群れを愛称「キヨシ」のカメラが撮影
2024年2月12日(月) スワンプロジェクト

 ハクチョウの渡りをカメラ付きGPSで追跡する公開プロジェクトが始まっている。その名もスワンプロジェクト。
    https://www.intelinkgo.com/swaneyes/jp/
    
 これまでの衛星追跡では、対象となる鳥の位置情報が衛星を介して届き、移動経路を明らかにしてきたが、今回のは一歩進んで、位置だけでなく、その場所の画像が送られてくる仕組みだ(左の写真参照)。宮城県の伊豆沼から追跡中の10羽のオオハクチョウが対象となっている。プロジェクトリーダーは、宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団の嶋田哲郎さん。私は顧問を務めている。
 ハクチョウの一部は、すでに伊豆沼を出発して青森や北海道まで北上している。位置情報も画像も公開されている。サイトでは、ハクチョウたちの旅の様子が、これまでよりもはっきりわかるように工夫されている。ぜひ、上記のサイトをご覧いただきたい。

2024年2月8日(木) 葛西臨海公園

 早稲田大学オープンカレッジの講義/実習で、千葉県の葛西臨海公園に出かけた。おだやかで暖かな天気のもと、鳥見を楽しんだ。内陸の水辺では、コサギ、アオサギ、オオバン、マガモ、カルガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、カイツブリ、カワウなどを、沿岸の海域ではセグロカモメ、ヒドリガモ、ウミアイサ、カンムリカイツブリなどがよく観察できた。陸域では、アカハラ、メジロ、ヒヨドリ、ハクセキレイ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、キジバト、トビ、ノスリなど。
 園内のウメは2~3分咲き。ロウバイの黄色い花。
 お天気にも、鳥たちにも恵まれ、参加者もおおいに楽しんでいる様子だった。

2024年2月5日(月) 雪景色

 横浜では、本日午後から雪になった。東日本全体では大雪とのこと。横浜の雪はそれほど激しくないが、しっかりと雪景色になった(写真)。
 雪景色を見るのはうれしいが、あとで凍って滑りやすくなるのはこまる。とくに先週、駅で転んでけがをしている状態なので、なおさらだ。

 あたりは、静まりかえっている。鳥たちの声や姿も見聞きできない。
 予報では、雪は今晩中にはやむようだ。




2024年2月1日(木) ヨシガモやオカヨシガモ

 早稲田大学八丁堀校での講義のあと、皇居のお堀に立ち寄った。予想通り、ヨシガモやオカヨシガモでにぎわっていた。ヨシガモ20数羽、オカヨシガモ5、6羽ほど。どちらも、さかんに頭を水中に突っ込んで採食していた。
 ヨシガモの雄は、とてもおしゃれな鳥だ。緑や赤紫に輝く頭部、白い喉には黒い横縞、胸の細かなまだら模様、弓形に垂れる翼の三列風切羽など、見事というほかない。オカヨシガモの方は、全体に灰色から褐色系の一見地味な色合いだが、近くで見ると、細かな縞模様や笹の葉状の飾り羽などが美しい。
 この2種のカモは、関東南部では比較的めずらしい鳥だったが、近年、渡来数が増加している。皇居のお堀は、かれらの様子をよく見られる場所の一つだ。東京駅から至近距離にあるので便利でもある。

2024年1月21日(日) 常連の鳥たち

 2日ほど雨が降ったが、本日午後に晴れ。青空が広がり、夕刻には夕陽がビルの壁を赤く染めた。
 ちょっと暖かめ、手袋やマフラーをはずして近隣の緑地を散策。この時期の常連、メジロ(上の写真)、ハシボソガラス、アオゲラ、カワセミ(下の写真)、ハイタカ、オナガガモ、カルガモ、キンクロハジロ、コサギ、アオサギ、カワウなどを観察。メジロは水浴び、ハシボソガラスはスダジイの実を趾で押さえて摂食、アオゲラは梢でピョー、ピョー、カワセミは至近距離で水面に飛び込み、新参のハイタカはカラスに追われる。コサギは足振り漁法で採食、オナガガモは2羽連れが目立ってきている。
 道ばたでは、スイセンやロウバイの花、ところどころでウメの花も咲き始めている。早春と言えるほどではないが、じきにそんな雰囲気もただよってくるはず。
 今週から早稲田大学オープンカレッジで講義。講義名「冬の野山、のんびりバードウォッチング 」。全6回、うち実習1回。秋のコムクドリの大群飛、船に乗って旅をするサシバの群れ、ときおり出現する人馴れヤマドリ、冬のトモエガモの大群飛などの新情報をまじえて話す予定。楽しみにしている。




2024年1月20日(土) アホウドリ保全への支援の呼びかけ

 山階鳥類研究所によるアホウドリの調査、研究、保全への支援呼びかけが公開されている。そのプロジェクトに協力して、私も呼びかけ文とビデオメッセージを寄せている。

★呼び掛け文
あなたの寄附でアホウドリを復活へ。|公益財団法人山階鳥類研究所 (yamashina.or.jp)
このサイトの後ろの方に、私の呼びかけ文が掲載されている。

★ビデオ応援メッセージ
https://www.youtube.com/watch?v=dssJUPACO28

 アホウドリはこれまでのさまざまな努力により、個体数は増加してきている。しかし、かれらの生活は、海洋環境の悪化、繁殖地の環境劣化、噴火のおそれなど、深刻な問題にさらされている。今後の継続的な調査や活動を展開していく上で、多くの方からの支援を必要としている。ぜひ、ご協力を!




2024年1月14日(日) トモエガモの大群

 知人の長島充・ヒロコご夫妻の案内で、千葉県の印旛沼にトモエガモの観察に出かけた。この地ではここ数年、トモエガモの渡来/越冬数が急増している。カモたちは北印旛沼に集中しており、この日は総数5~7万羽ほど。沼の水面をおおうようにびっしりと浮かんでいた。ときおり、チュウヒやミサゴなどが飛んでくると、一斉に飛び立ち、ものすごい大群が塊となって上下左右にとびまわった。
 このカモの群れには、オナガガモも混じっていた。オナガガモは沼の縁寄りに集まっており、総数の約1割ほど。マガモ、ヨシガモが5,6羽ほどずつ加わっていた。トモエガモは大群で水上にいるときも、空を飛んでいるときも、鳴き声を発しない、というか聞こえてこない。羽音はするが、全体にとても静かだった。
 午後5時15分頃、陽が落ち、暗くなりかけたころ、カモたちが一斉に飛び立ち、黒雲となってねぐら方面へと向かっていった。ただし、ねぐらのありかは不明。夕焼け、三日月、遠景の富士山が一つのセットになり、とても美しかった
 道中、鳥を中心としたネイチャーガイドを務めるマーク・ブラジルさんと出会った。まったくの偶然だったが、40年ぶりの再会。マークとは若いころ、いろいろ交流があった。たがいに驚き、短い時間ではあったが、近況を知らせ合った。彼は奥さんと友人のクリスさんと一緒tだった。

 案内してくれた長島ご夫妻には、たいへんお世話になった。とても感謝している。ちなみに、ご主人の充さんは、主に鳥を題材にした著名な画家/版画家。


2024年1月4日(木) ヤマシギなど

 横浜市南部の里山。毎冬、ヤマシギが訪れる場所。好天のもと、本日も会いに出かける。1羽だけだが、毎年訪れる同じ場所で採食や水浴びをしていた(写真)。雑木林の落ち葉に完全に溶け込んでおり、目を離すと次に見つけるのに苦労する。くちばしを土の中に根元まで差し込み、ミミズなどをとっていた。水浴びのあとには、しばらく羽づくろい。
 昨冬は3羽ほど見られたので、これからまだやってくる個体がいるのか。
 近隣には、シロハラやガビチョウ。どちらも地表面で採食。3年ほど前までタシギも来て、まじかで見られたのだが、最近は姿を現わさない。時おり、ガビチョウのさえずり。上空にノスリ。
 早くも、ロウバイが黄色いつぼみを多数つけている。一部、花が開いている。

2024年1月2日(火) 能登半島で大地震

 昨日(1月1日)午後4時過ぎ、石川県能登半島を中心に、最大震度7の非常に強い地震があった。地震の規模はマグニチュード7.6、この地震の影響で、広範囲の沿岸地域で1~2mにも及ぶ津波が発生。震度3~5程度の地震は、その後も頻発している。
 この地震による死者は、2日午後9時半の時点で55人。建物の倒壊が多発しており、被害は甚大だ。今後しばらくは予断を許さない。
2024年1月1日(月) 三浦半島小網代

 好天のもと、三浦半島南端の小網代の森を訪れる。京急の三崎口駅で降りて改札を出ると、正面に富士山が見える。少しかすんでいるが、頭にはしっかりと雪をかぶっている。歩いて小網代の森入口へ。
 静かな森の中を歩く。アオジ、モズ(写真)、メジロ、ヒヨドリ、ハシブトガラスなどが姿を現わす。森を抜け、干潟に出ると、アオサギが静かにたたずみ、上空にはトビやカワウが飛びかう。干潟前面の森はカワウの糞で白くなっている。ただ、カワウの群れは見られない。
 少し風があり、日陰は寒いが、日なたに出ると暖かな日差しが体を包んでくれる。


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