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折々の記録
 
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2025年




2025年12月23(火)、24日(水)宮城で講演、野外観察

 宮城県伊豆沼・内沼がラムサール条約登録40周年を迎えた。それを記念して23日にシンポジウムとレセプションが開催され、私はシンポジウムで基調講演を行なった。演題は「世界の自然と自然、人と人をつなぐ渡り鳥」。会場はくりはら交流プラザ、エボカ21。
 予想していた以上に盛大な催しで、正直驚いた。県の副知事、県会議員、県内外の大学教授などをはじめとして、各界の識者が参加し、シンポジウムもレセプションももりあがっていた。私の基調講演以外に、地元の研究者や学校関係者による伊豆沼の生態調査や啓発・普及活動の成果が発表され、内容的にも充実していた。
 24日は早朝6時台から、ガン類の朝の飛び立ち(上の写真)を観察。総数10万羽以上のガン類が竿になり鍵になって次々に飛び立つ様子は、壮観の一言。朝食後には沼とその周辺の田んぼを車で見てまわり、ガン類やハクチョウ類の採食や移動の様子を観察した。
 とくに印象的だったのは、ハクガンの群れ(下の写真)。100から150羽ほどが田んぼに降り、落ち籾などをさかんについばんでいた。ハクガンは、日本でこの地以外ではまれな希少種だ。

 両日とも、伊豆沼・内沼環境保全財団の嶋田哲郎さんにお世話になった。深く感謝している。

20251125(火)日~27日(木) 秋の三宅島

 

 久しぶりの三宅島。主に太路池とその周辺で鳥類調査。メジロ、ウグイス、ヒヨドリ、ハシブトガラス、キジバト、カラスバト、シジュウカラ、ヤマガラ、スズメ、コガモ、ヒシクイ(上の写真)、カイツブリ、オオバン、ミサゴなどを観察。ただし、池の周辺の森はほぼ静寂。カラスバトのウルル~という声だけが響く。

シジュウカラ、ヤマガラ、スズメは近隣の新鼻荘の餌台での確認。ほかではほとんど見ないヤマガラが、ここでは比較的普通にやってくる。餌(ヒマワリの種)があるのがわかっているため、この周辺に居ついているのかもしれない。以前と比べてちょっと警戒心が増している。

 コガモ(2)、ヒシクイ(1)、カイツブリ(3)、オオバン(5)、ミサゴ(1)は、太路池の湖面で観察。ヒシクイはこれまでで初めて。ただし、アカコッコ館によると23度記録があるらしい。ミサゴは岸辺で水浴後、上空を飛翔。

 研究ステーション近傍の岩場には、ウミウが4羽。

 アオノクマタケランが、林床のあちこちで赤い実をつけている。ツワブキの黄色い花も目を引く(下の写真)。

 島の知人からの情報。三宅島をふくむ伊豆諸島の沖合に、浮体式の洋上風力発電施設の建設計画が持ち上がっているとのこと。説明会が何度か開かれているようだ。





2025年11月20日(木) 鳥の渡り経路追跡論文2編公表

 ジオロケーターを利用したチゴモズの渡り経路と、衛星追跡によるミゾゴイの渡り経路を推定した2つの論文が、最新の日本鳥学会誌に掲載された。

★谷口裕紀,小池重人,田悟和巳,柏原聡,大坪二郎,Anders P. Tøttrup,樋口広芳.2025.ジオロケーターを利用したチゴモズ?Lanius tigrinusの渡り経路推定. 日本鳥学会誌 74:257-270.
★萩原陽二郎,小村健人,田悟和巳,時田賢一,樋口広芳.2025.衛星追跡による秋のミゾゴイGorsachius goisagiの渡り追跡事例.日本鳥学会誌74:285-290.
 
 チゴモズの渡りについては、3個体の成鳥で、秋田県の繁殖地からインドシナ半島を経てボルネオの越冬地までの秋の経路を推定。そのうちの1羽では、春に秋の経路を逆戻りするように北進し、その後、琉球諸島を経て秋田の繁殖地まで移動する経路を推定した。
 ミゾゴイについては、1個体の幼鳥を静岡県の繁殖地からトカラ列島中之島や奄美大島近隣を経てフィリピンのルソン島西側沖合まで追跡した。このさい、経路上で発生した熱帯低気圧や台風の風況変化にともない、移動経路を大きく変えた可能性がある。
 チゴモズ、ミゾゴイともに希少種で、これまで渡りについての知見はなかった。限られた追跡例とは言え、貴重な研究事例となった。


2025年11月20(木)、21日(金) 高松にて

 会議や現地調査のため、香川県の高松市を訪れた。20日には市内のため池などをめぐり、21日には栗林(りつりん)公園を訪問。
 この地は、農業用の水不足対策として市内のあちこちにため池がある。これらのため池は林に囲まれ、鳥たちの生息地にもなっている。ヒヨドリ、ツグミ、カルガモ、ホシハジロ、オオバン、コサギ、カワウ、ミサゴ(上空)などを観察。ただし、鳥は期待したほど多くはなかった。

 栗林公園は、国の特別名勝に指定されている広大な文化財庭園。緑深い紫雲山を背景に、6つの池と13の築山が巧みに配置されている。どの池でも、マガモが数羽から10数羽、雄は換羽を終え、美しい「青首」になっていた。ほかには、アオサギやあまり人おじしないカワセミ(写真)など。
 2日間、好物の讃岐うどんを存分に味わった。とくに21日には、朝はかけうどん、昼はカレーうどん、夕食には天ぷらうどんを楽しんだ。


2025118日(土) 「二季」の様相

 

 平地の野山では、ケヤキやヤマザクラの葉が黄や橙に色づいている(写真)。昨日は、暦の上ではすでに立冬。季節が足早に通り過ぎている。春と秋が失われつつあり、巷では、四季ならぬ「二季」の様相を呈してきていると報じられている

 今秋は、全国各地でクマの出没が相次いでいる。本来の山地の生息地で、主食となるドングリのなり具合がよくないために、平地まで下りてきて野菜やクリ、カキなどにとりついているようだ。人身事故も少なからず起きており、地元の行政や猟友会だけでなく、自衛隊まで出動する騒ぎになっている。

 騒ぎは、クマだけにとどまらない。サルやイノシシなども里や人家付近にまで出現し、人との軋轢を生じさせている。
 こうした野生動物との軋轢は、温暖化、過疎化、山林の荒廃などともかかわっており、今後、増加していくことが予想される。単なる追い払いや駆除などの対症療法にとどまらない、環境管理を念頭においた根本対策を講じていく必要がある。

2025年10月26日(日) 温暖化関連のシンポジウムで講演

 藤原ナチュラルヒストリー振興財団の公開シンポジウム「気候変動の自然史」で、「地球温暖化が鳥の生活に及ぼす影響」について講演した。会場は、中央大学後楽園キャンパス3号館。話の内容は、初鳴き時期や繁殖開始時期などの生物季節の変化、植物や昆虫との生物間相互作用の変化、個体数の増減、渡り経路や生息地の縮小をめぐる未来予測など。
 私以外に3名の演者が、それぞれ、気候変動にかかわるメタンの増加、気候変動にともなうサンゴ世界の変化、温暖化による木材の形成機構の変化について講演した。ふだんあまり聞くことのない内容だったので、とても勉強になった。シンポジウム終了後の懇親会も、いろいろな情報交換の場となり、有益だった。
 藤原ナチュラルヒストリー財団は、長年、自然史関連の研究助成やフォトコンテスト、今回のようなシンポジウムなどの活動を行なっている。
2025年10月18日(土) 小網代

 久しぶりの好天のもと、三浦半島南部の小網代を訪れた。林の梢では、モズがけたたましく高鳴きしていた(写真)。ときおり地上に飛び降り、昆虫の成虫のようなものをくわえ捕り、近くの柵の上でついばんでいた。林内は静かだったが、ときおり、ガビチョウの大きなさえずりが響きわたっていた。
 湾に隣接する林には、数百羽のカワウが集まり、上空を群れ飛んでいた。止まり場となっている林の枝葉は、糞で白く染まっていたが、この光景は、ここ数年見られなかった。湾の中には、ウミネコ、コサギ、アオサギなどが見られ、ボラと思われる魚を捕食していた。カワウが多数集まっているのも、これらの魚の群れを目当てにしているためかもしれない。
 湿地とその周辺には、外来種のセイタカアワダチソウがあちこちで群落をなし、黄色い花を咲かせていた。





2025年10月13日(月、スポーツの日の休日) 舞岡

 しばらく体調不良でおとなしくしていたが、ようやく元に戻ってきたので、横浜市南部の舞岡に出かけた。典型的な里山の風景の中、ヤマガラ(上の写真)、モズ、エゾビタキ、ハシボソガラス、ガビチョウ、コジュケイ、アオサギ、カルガモなどを観察。
 全体に静寂の中、モズの高鳴き、ガビチョウやコジュケイのさえずりが耳に残った。エゾビタキは、この時期の代表的な渡り鳥。東南アジア方面への渡りの途中に立ち寄っている。
 林縁では、コムラサキ、ガマズミ、カキの実がそれぞれ紫、赤、橙に色づき、ホトトギスが薄紫、コスモスがピンク、ノギクが白い花を咲かせていた。
 古民家の縁側に置かれた竹ざるには、ヤマブドウ、アケビ、クリ、カキ、サトイモ、サツマイモ、トウモロコシ、稲穂などの秋の実りが盛り込まれていた(下の写真)。
 秋らしい風景と生きものの世界を堪能でき、よい一日を過ごすことができた。
 ただ、この時期、伊豆諸島の八丈島と周辺の島々には、台風23号が到来、数日前の22号と合わせて大きな被害をもたらしている。研究ステーションのある三宅島も影響を受けているはず。少なからず心配だ。


2025年9月12日(金)~16日(火) 日本鳥学会札幌大会に参加

 今年の大会は、北海学園大学(口頭発表、ポスター発表)と北海道大学(大会シンポジウム)の両方で行なわれた。参加者は800名ほど、口頭発表72件、ポスター発表140件あり、盛会だった。
 私は、インドネシア・ボゴール農科大学のSyartinilia Wijayaさん、Aryo Adhi Condroさんと連名で「インドネシアの越冬地におけるハチクマの環境選択と気候変動の影響」について口頭発表した。衛星追跡した測位点にもとづき、モデルやシミュレーションを用いて、環境選択や保全上の問題点、気候変動による将来の生息状況変化などについての内容だった。
 大会シンポジウムでは、「鳥学が牽引する現代生態学~鳥の研究は面白い!~」をテーマに、濱尾章二(音声コミュニケーション)、日野輝明(群集生態、)、中村雅彦(行動生態)、綿貫豊(海鳥研究)の4名によるこれまでの研究の概要が紹介された。それぞれがすぐれた研究内容を、独自の語り口で話され、興味深かった。
 大会終了後の16日は、北大の構内などを散策して楽しんだ。写真は“Boys, be ambitious!”の名言で知られるウィリアム・S・クラーク博士の胸像。



2025年8月20日(水)~22日(金) 熊本

 会議と鳥観察のため、熊本を訪れた。会議は国交省関連。鳥の観察は、熊本市内や阿蘇の草原、荒尾干潟とその周辺などで行なった。
 熊本市内では、主にムクドリやコムクドリのねぐら入りなどを観察。荒尾干潟では、アオバト、キアシシギ、イソヒヨドリ、ウミネコなど、隣接する内陸湿地では、タカブシギ、トウネン(写真)、アオアシシギ、コチドリ、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、オオタカなどを観察。
 阿蘇の草原では、出現したのはホオアカ、ツバメ、ハシボソガラス、トビのみ。その分、NPO法人阿蘇花野協会の方たちの案内で、ダイセンフウロやコバギボウシなど、さまざまな野の花を見てまわる機会を得た。
 鳥は全般に少なかったが、案内してくれた地元の坂梨仁彦さんや坂口里美さんなどから、いろいろ興味深い鳥情報を得ることができた。感謝!

2025年8月13日(水) セミの季節

 猛暑が続いている。東京や神奈川では日中、35℃以上になる日も珍しくない。
 セミの季節だ。すまい近くの緑地では、昨年までは聞かれなかったクマゼミの声が、今年は聞かれる。ただし、不思議なことに早朝だけ。この地で優占しているのは、アブラゼミ(写真)。おびただしい数の個体や鳴き声が確認できる。それに続くのが、ミンミンゼミやヒグラシ。
 鳥の世界はひっそりしている。暑さと換羽中であることが関係しているのだろう。換羽中はエネルギー保持のため、あまり動かない。目立つのは、カルガモとカラスだけ。カルガモは池の水に入って涼しげ、ハシボソガラスは、口をあけながらも地表面で何やらついばんでいる。本日、同上の緑地で記録したのは、ほかにヒヨドリ、ハシブトガラス、キジバト、ドバトのみ。
 早くも、アブラゼミの死骸をあちこちで見かける。夕刻には、草むらから虫の音も。暑さは続いているが、季節は確実に進行している。


2025718日(土) 梅雨明け

 

 本日、気象庁は関東甲信と北陸、東北南部で梅雨明けしたとみられると発表。例年とほぼ同じ時期だ。とはいえ、神奈川県などでは、梅雨入りしたとされる610日ころ以降、雨はほとんど降っていない。むしろ、梅雨入り前には雨続きだった。これまでの時期、西日本はたびたびの豪雨。異常気象が続いている。

 このところ、ちょっと体調不良。熱中症にかかってしまったようだ。

2025714日(月) トモエガモの群れと航空機との衝突の危険

 本日夜7時のNHKニュース7で、トモエガモによる航空機との衝突の危険性が放送され、トモエガモの渡来状況や危険の実態などについてコメントした。動画や静止画も提供。
 
トモエガモは大きな、しかも密集した群れになる傾向があり、生息地の近くに空港があると鳥衝突を起こしやすい。トモエガモとの衝突による航空機事故は、昨年12月、韓国の務安空港で発生。乗客乗員179人が死亡する大惨事につながった。日本でも大きなニュースになったが、危険な状況は日本でも起きかねない。実際、昨年1月、羽田空港を出発して島根県の出雲空港に着陸しようとした機体に、トモエガモ3羽が衝突した事例がある。幸いにも大事故には至らなかったが、機体確認の結果、右の翼などに損傷が見つかり、折り返しの便は欠航した。
 NHKニュースの件は、以下のNEWS WEBでもくわしく紹介されている。。  

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250714/k10014862911000.html





202577日(月)~9日(水) 三宅島

 東京や横浜では猛暑が続いているが、ここ三宅島でもひどく蒸し暑い日が訪れている。この3日間、研究ステーションから火の山峠入口あたりを調査したのち、バイクで島を一周、村道雄山線から環状林道にも足を延ばした。
 この時期、もっとも目や耳につくのはホトトギス(上の写真)。あちこちで、けたたましい声で鳴いている。ウグイスなどへの托卵と関係した行動だ。ウグイスの警戒声も耳につく。ほかには、イイジマムシクイ、ウチヤマセンニュウ、コマドリ、アカコッコ(下の写真)、メジロ、ヒヨドリ、ホオジロ、ミソサザイ、カワラヒワ、ハシブトガラス、キジバト、カラスバト、アマツバメなど。これらは最盛期ほどではないが、見聞きはむずかしいほどではない。
 イイジマムシクイとコマドリ、ホオジロは、島の各所で、日中でもところどころでさえずっている。ウチヤマセンニュウは局地的だが、早朝にはさえずりが聞かれる。アカコッコは目立たないが、ときおりあまり人おじしない個体に出合うことがある。とはいえ、イタチ放獣前ほどではない。カラスバトはよく茂った森の中で、グルグルグル、モーウ、モーウと大きな声で鳴いている。
 ヤマガラは、太路池をふくめて、例によって出合いの頻度が非常に低い。というか、ほとんど見聞きできない。
 海岸の草地などでは、ハマカンゾウの群落が橙色の花々を咲かせている。林縁では、アオノクマタケランの白い小さな花々や、サクユリの大輪の白い花。夏の雰囲気が存分に伝わってくる。


202572日(水) 「ダークサイドミステリー怪鳥伝説」の再放送

 

 昨年4月に放送された以下の番組、

 

世界の怪鳥・聖鳥伝説を追え!〜ヤタガラスから翼竜生存説まで〜 - ダークサイドミステリー

 

が、7月3日(木)午前0:15~:14 と、7 11()午前11:00~11:59に再放送される。ともにNHKBS

 国内外の神話や伝説に登場するさまざまな鳥をめぐり、その背景や実態などについて、美しいイラストやコンピュータグラフィックスなどをまじえて紹介される。私は、和光大学で神話学を専門にする松村一男名誉教授とともに話を展開していく。登場する鳥は、エピオルニス、ドードー、八咫烏(ヤタガラス)、サンダーバード、ロック鳥、ヒゲワシ、ワライカワセミなど。見ごたえのある番組だ。


2025年6月20日(金)~22日(日) 旭川

 20日、列車で稚内から旭川へ移動。名寄までの沿線には、よく茂った森林が広がっていた。旭川とその周辺では、草原から山林で鳥たちを観察。山林内の草地には、ヒバリやオオジシギ、ハリオアマツバメなどが生息。草原から離れた原野では、トビ、オジロワシ(上の写真)、ハヤブサ、チョウゲンボウなどを観察。貴重な体験となった。
 滞在中盤には、車で道東方面にも移動。シブノツナイ湖やコムケ湖の草原では、稚内周辺とどうよう、ノビタキ、ノゴマ、コヨシキリ、オオジュリン、ツメナガセキレイなどを観察。ほかに、タンチョウにも遭遇。観察はできなかったが、希少種のマキノセンニュウもいたとのこと。
 旭川滞在中、鳥以外では(キタ)キツネや(エゾ)シカ、ユキウサギ(下の写真)に出合った。キタキツネは、あいかわらず道路ぎわで姿を見かける。エゾシカは、あちこちの原野に生息。牧場にまで入り込んでいる。ユキウサギは、山林内の路上で観察。本州のノウサギとは別種。ノウサギと比べて耳が小さく、足が大きい。冬毛は白くなる。

 旭川を訪問したのは、45年ほどぶり。1980年代、ウグイスの巣に赤い卵を産みこむカッコウ類の種を探る目的で、毎夏訪れていた(小著「赤い卵の謎」思索社や児童書「赤い卵のひみつ」小峰書店、を参照)。当時、一緒に調査をしていた人やいろいろ交流のあった人の多くは、すでに他界していた。林内を移動しながら、ササの茂る林床でウグイスなどの巣探しに励んでいたころのことが、思い出された。今はヒグマとの遭遇が怖くて、あんな行動はちょっと無理だろう。
 旭川での滞在も、すばらしい日々だった。地元の米川 洋さんと川島順次さんには、たいへんお世話になった。感謝!







2025年6月18(水)~20日(金) 北海道稚内

 草原性の鳥の観察を目的に、稚内とその周辺地域を見てまわった。おもな訪問先は、サロベツ原野と浜頓別。ハマナスやシシウド、エゾカンゾウ、カキツバタなどの花々が咲く草原から湿地。ノビタキ、ノゴマ(上の写真)、コヨシキリ、オオジュリン(下の写真)、ツメナガセキレイ、ウグイス、シマセンニュウ、エゾセンニュウ、ツツドリ、カッコウ、ダイサギ、アオサギ、カワウ、スズガモ、キンクロハジロ、ホシハジロなどを観察した。
 鳥をよく観察できたのは、浜頓別のベニヤ原生花園。ここでは、ノビタキやコヨシキリが優占種、それに続くのがツメナガセキレイやオオジュリン、少なめなのがノゴマやシマセンニュウなど。意外だったのが、ツツドリ。本州ではツツドリは典型的な森林の鳥で、姿はあまり見られないが、ここでは、草原そのものにはいないものの、木々がまばらに生育する明るい環境に出てきて、姿も比較的見やすい。電線にとまる姿も珍しくない。だれに托卵しているのか、興味深いところだ。
 カモ類は、上記の3種が越夏している模様。「北の国」の鳥景色をかもし出している。
 ノゴマやエゾセンニュウは、自然草原以外でも、住宅地の空き地にある草地や疎林にもいる。ノゴマは姿を見やすいが、エゾセンニュウはほとんどさえずりのみ。夜間でもさえずっている。
 滞在中、気になったのは、各地に林立する風車。場所によっては、おどろくほど多数の風車が不自然な景観をつくり出している。
 好天にも恵まれ、すばらしい日々を過ごすことができた。地元の小西 敢さんにはたいへんお世話になった。感謝!


2025年6月12日(木) 初夏の森のにぎわい

 一昨日(6月10日)、関東地方でも梅雨入りした。その10日ほど前から雨がちの天気だったので、梅雨入りと言ってもあまりピンとこない。
 本日は、久々の好天。葉山の森に出かけた。オオルリ、キビタキ、サンコウチョウ、センダイムシクイ、ホトトギスなど、初夏の鳥の世界を代表する鳥たちを観察。とくにオオルリとサンコウチョウについては、繁殖状況を確認。オオルリは育雛中、サンコウチョウは抱卵中(写真)。夏鳥以外では、ウグイス、メジロ、ヒヨドリ、ガビチョウなど。
 これらの鳥たちのさえずりが響きわたり、森の中は活気に満ちていた。
 明日からは、また雨模様。初夏の生命(いのち)のにぎわいは、雨とともにあるとは言え、最近の豪雨はちょっと破壊的だ。鳥たちの子育てが安全に進むことを願いたい。

2025年6月10日 映画「花まんま」好評上映中!

 今年3月13日、この折々の記録で紹介した一般公開映画「花まんま」が好評だ。4月25日に公開されて以来、鑑賞した友人や知人などから、ありがたい感想が多数寄せられている。
 この映画の中で私は、水道の栓を回して水を飲むカラスの映像を貸し出している。また劇場パンフレットの中で、カラスの生態や行動について解説文を書いてもいる。すばらしい映画作品に、少しでも貢献できたようでうれしく思っている。

 この映画、原作は朱川湊人さんの直木賞受賞作の同名小説「花まんま」だ。しかし、小説の中では、主人公の女性の結婚相手がカラスの研究者としては設定されていないし、カラスも登場しない。製作者側の方の話によると、関係者が小著『ニュースなカラス、観察奮闘記』を読んで気に入り、脚本の中に取り入れてくださったとのこと。うれしい限りだ!
 これまでにも、NHKの朝ドラ「半分、青い」や、フランス映画「Le Peuple Migrateur(邦題WATARIDORI)」(2003年アカデミー賞:長編ドキュメンタリー賞受賞)、日本映画「総理の夫」などの製作にかかわった。今回の「花まんま」をふくめて、異分野の作品にかかわることができるのは、とても刺激的なことだ。

2025年6月9日(月) ビワとカラスの季節

 東京や横浜、湘南地方などでは、ビワの実が黄色く熟し始めている(写真)。昨年は実のなり具合がよくなかったようだが、今年は各地で、黄色くなった実を多数つけているのが目立つ。
 熟し始めたビワの実には、ハシブトガラスやハシボソガラスがやってきて食べ始めている。ただし、まだ熟し方が十分ではないためか、例年見られるがつがつと食べる様子はまだ見られない。
 カラスはビワの実を食べることで、その拡散に貢献している。メジロやヒヨドリ、スズメも食べにやってくるが、カラス以外は枝につく実をつついて食べるだけなので、種(たね)の拡散にはつながらない。最も貢献度が高いのは、ハシブトガラス。いくつも頬張り、やわらかい果肉を(もぐもぐして?)食べたのち、種子を吐き出す。それを親木から離れたところでもやるので、種子の拡散につながるのだ(くわしくは小著2021『ニュースなカラス、観察奮闘記』8章)。
 ハシボソガラスは、メジロやヒヨドリのように、枝についた実を細めのくちばしで突いて食べることが多い。ただし、実をくわえ去り、近隣の樹上や電線、地上でも食べるので、やはり拡散に貢献する。
 これからのビワの季節。カラスたちのそんな様子を見るのも楽しみだ。



2025年6月3日(月) 雨の日のカラス

 このところの雨がちな毎日。すまい近くにすみつくハシボソガラスが、雨に濡れてしょんぼり(写真)。晴れた日には足もと近くにまでやってきて採食を続ける元気者なのだが、この日の姿はちょっと可哀そう。晴れたら、また元気な姿を見せてほしい。
 道端の青紫の紫陽花は輝いている。こちらは雨の中の様子がお似合いだ。

2025年6月1日(日) 水辺のにぎわい

 5月30日に訪れた公園で、再度鳥見。水辺はバン、カイツブリ、カルガモなどでにぎわっていた。バンは1羽、カイツブリは、すでに親から離れた幼鳥が数羽、カルガモは、親子の群れが少なくとも4群。カルガモの親子は、どれも人をほとんどおそれず、足もと近くまで寄ってくるものもいた。
 孵化後数日しかたっていないカルガモのひなたちは、姿も動作もとてもかわいらしい(写真)。生後20日近いひなは、ちょっと大人びた感じ。道行く人は、そんな様子を見て楽しんでいる。ほほえましい光景だ。
 隣接する林には、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ムクドリなどが飛びかっていた。



2025年5月30日(金)バンやカルガモ親子

 天気予報によると、東京近辺の梅雨入りは6月上旬のようだが、ここ1週間ほど、すでに梅雨入りしているような天気が続いている。
 横浜北部で開催された会議終了後、近隣の公園を訪れた。生後2日目くらいのひなと、10日ほど経過しているひなを連れたカルガモ2家族が見られた。ひなの数は、それぞれ4羽と8羽。人をほとんどおそれず、足もとにまでやってきた。
 おもしろいことに、バン(写真)が1羽そばにいて一緒に採食していたが、ときおり、カルガモの雌親に追い払われていた。ひと月ほど前までは見られなかったので、最近すみついた個体のようだ。額板の赤がきわだっていた。近くで繁殖するのかもしれない。

2025年5月22日(木)~24日(土) 長野県野辺山

 知人のグループに合流して、野辺山で鳥や自然の観察を行なった。ちょうどこの時期、野辺山一帯は新緑を背景に白いズミやピンクのミツバツツジ(上の写真)の花々が咲き誇り、とても美しい景観をつくり出していた。場所によっては、サクラソウやクリンソウなどの花々も見られ、景観に別の彩りを添えていた。
 草原では、ノビタキ、ホオアカ、ホオジロ、オオヨシキリ、カッコウ、キジ、ノスリなどが、林ではキビタキ、コルり、ジョウビタキ、ウグイス、メボソムシクイ、ウソ(下の写真)、イカル、カワラヒワ、コガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、コムクドリ、アカハラ、クロツグミ、ホトトギス、ジュウイチ、アカゲラ、オオアカゲラ、アオゲラなどが見聞きできた。
 ただ、林内の草本や低木は、広範囲にわたってニホンジカの食害にあっていた。その影響もあってか、鳥たちの姿やさえずりは、驚くほど目や耳に入ってこなかった。場所によっては、文字通りサイレントスプリング(沈黙の春)の様相を呈していた。
 そんななか、目についた鳥はジョウビタキ。近年、数や分布を増しているが、この地域では普通種になっている。別荘地が点在する林を好み、ヒッヒ、ヒッヒという鳴き声とともに、人をあまりおそれずに飛びまわっていた。
 ニホンジカは、数頭から10数頭の群れをなし、移動しながら採食していた。
 親しい知人たちとの鳥見や情報交換、食事などは、とても楽しかった。すばらしい3日間を過ごすことができ、みなに感謝している。




2025年5月14日(水) 葉山の森

 今季2度目の葉山の森。新緑が終わり、すっかり緑に包まれていた。オオルリやセンダイムシクイなどに、サンコウチョウやホトトギスが加わり、夏鳥は出そろった感じだ。留鳥のウグイス、ヤマガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ガビチョウ、コゲラ、アオゲラなどとともに、にぎやかな鳥景色、音景色をつくり出している。
 オオルリやセンダイムシクイは、すでに巣づくりから産卵、抱卵の段階に入っている模様。崖上の一角にオオルリの巣を発見。繁殖が順調に進むことを願い、その場をすぐに離れた。
 ささやぶのあちこちでウグイスのさえずりが響きわたる。それにともなって、ホトトギスのさえずりもきわだつ。これから、両者の攻防戦が始まることになる。

2025年5月4日(日) 鳥の雌雄の羽色

 鳥の雌雄の羽色が種類によって違っていたり似ていたりする理由について、東京新聞の本日朝刊で解説した(依頼原稿)。スズメやカラスなど、違いのない鳥と、カモ類やクジャクなど、大きく異なる鳥を対象に、求愛、つがい、つがい外交尾などに焦点を当てて述べた。ハシボソガラスとマガモのつがい写真も提供。
 同記事は、東京新聞デジタルにも掲載。
 <人には聞けない2.0>鳥の雌雄の外観、種類で差 どうして?:東京新聞デジタル
 また5月5日、中日新聞にも掲載。


2025年4月30日(水) 葉山の森

 大型連休中の一日、好天のもと、葉山の森へ。夏鳥観察の好機と思って出かけたが、オオルリ、センダイムシクイなど、渡来はしているものの、姿、声とも芳しくない。例年だと、この時期よく目立つのだが。。。
 それでも、20mほど離れた樹上で、小声でさえずるオオルリの雄1羽に出合うことができた(写真)。結局、2㎞ほどの間に、オオルリ4、センダイムシクイ2のさえずりを確認した。ほかは、ウグイス、ガビチョウ、ヒヨドリ、メジロなど。サンコウチョウはまだ渡来していない模様。
 鳥の世界は思いのほか静かだったが、植物はフジの花があちこちで見事に咲き誇っていた。今年は、今が一番見頃のようだ。

2025429日(火) カキツバタやハコネウツギなどの花々

 

すまい近くの緑地を散策。森はすでに新緑に包まれ、湿地とその周辺ではカキツバタ、キショウブ、フジ、ハコネウツギなどが、見事な花々を開かせている。希少なキンラン(上の写真)の生育地では、地元の方の保護の努力が実って今年は株が少し増え、訪れる人たちの目を楽しませている。

この時期、カルガモは1羽で見かけることが多い(下の写真)。1羽でいるものの多くは雄。つがいの雌は、どこかで抱卵しているのだろう。来月中旬には子連れで現れるに違いない。同じことは、ハシボソガラスなどにも当てはまる。これら同じ地域にすみつく留鳥たちは、すでに繁殖の段階に入っている。

オオルリ、キビタキ、センダイムシクイなどの夏鳥は、渡来して日が浅く、今はまだ旅の途中、あるいは繁殖地に到着しているものも、なわばりやつがい相手の確保に忙しいはずだ。かれらの美しい姿やさえずりは、新緑の森や林にすばらしい活気をあたえている。





2025426日(土) 「鳥の詩学」を拝聴

 

 慶応大・日吉キャンパスで標記のシンポジウムが開かれ、拝聴した。慶応大の福田桃子、学習院大の岡部杏子のお二人が中心になって企画され、フランス文学に登場する鳥を扱った2回目のシンポジウムだ。

 

  慶應義塾大学 教養研究センター|イベント・セミナー

 

私はこの分野にはまったくの門外漢だが、フランス文学の詩をふくめた作品にどんな鳥がどのように登場し、それがどんな意味をもっているかを知ることは興味深い。この日は詩に焦点が当たったシンポだったが、全9講演、ヴィクトル・ユゴーからボードレール、アポリネールなどに至る人間模様に鳥模様が交錯し、なんとも不思議な世界を垣間見た。

 日吉キャンパスでこのようなシンポジウムが開かれるというのは、うれしいことだ。





2025年4月14(月)~17日(木) 三宅島

 夏鳥や留鳥の渡来状況、繁殖状況などの調査のため、伊豆諸島の三宅島を訪れた。森はすでに新緑に包まれ、鳥たちのさえずりでにぎわっていた。
 神着の研究ステーションの敷地内や周囲では、コマドリ、イイジマムシクイ、ツバメ、アオバズク、チュウサギ(以上、夏鳥。ただしコマドリとアオバズクの一部は留鳥)、アカコッコ、メジロ、ウグイス、ヒヨドリ、ホオジロ、シジュウカラ、イソヒヨドリ、ハシブトガラス、ヒメウ(以上、留鳥)などが見聞きできた。ウチヤマセンニュウやホトトギスなどの夏鳥は、まだ渡来していなかった。これらの渡来は、今月下旬から5月中旬になる予想。
 ツバメは、調査期間中、ステーションの上空を10羽前後が勢いよく飛翔、ときおり電線にとまっていた(上の写真)。渡りの途中と思われる。アオバズクは16日の夜間に鳴いていた。
 島の南部、太路池周辺では、上記の鳥以外に、ミソサザイ、コゲラ、カラスバト、コサギ、アオサギなどを記録した。常連のはずのヤマガラの姿が目につかなかった。
 伊豆の薬師堂の森では、ミソサザイが樹木の根元で営巣中(下の写真)。産卵間近の様子。ほかに、イイジマムシクイ、コマドリ、カラスバトなど。
 15,16の両日は、荒天のため船が欠航した。

2025年4月13日(日) 流山市で講演

 NPOさとやまと流山(ながれやま)市おおたかの森センター共催の特別講演会で、「渡り鳥たちのフシギ なぜ渡るのか、どういうルートをたどるのか」について講演した。会場は、流山市おおたかの森センター。
 この地域には、最寄りの駅名「流山おおたかの森」(つくばエクスプレス)からも察せられるように、豊かな自然環境が広がり、オオタカやサシバなどのタカ類も繁殖している。ただし、都心からのすぐれた利便性や住みよい街づくり(「母になるなら流山!」といったメッセージも)などから開発が急速に進み、かつての生命(いのち)のにぎわいは失われつつある。そんななか、NPOさとやまは、流山市を中心に里山の自然や生きものの観察、啓発普及、保全活動を熱心に進めている。
 講演会は盛況で、興味深い質問も多数寄せられた。外は雨がちだったが、有意義なひとときを過ごすことができた。

2025年4月12日(土) 「ヴィランの言い分」に出演

 NHK Eテレの番組「ヴィランの言い分」に出演し、ハト、とくにドバトの由来や生態について解説した。「ヴィランの言い分」は、世の中で嫌われものとされているものにも、すごいところ、存在の理由がある、というところに焦点を当てた番組だ。その時々の出演者が、話にかかわる事物の、ちょっとおかしな帽子をかぶって出るなど、一見、娯楽番組のようにも見えるが、れっきとした教養番組となっている。
 かつては平和の象徴として愛されたハト。だが、公園やベランダ、銅像などで群れをなし、餌を期待して人間にまとわりつき、あげくに大量の糞で景観を乱すなどから、近年は嫌われ者の部類に入っている(という設定)。しかし、かれらは、過去には伝書バトとして重要な通信手段となっていた。体内でピジョンミルクをつくり出し、ひなを育てるというすぐれた繁殖法をもっている。最近では、ハト特有の脳の働きが、未来の自動車の運転技術に役立つかもしれない、などとも指摘されている。といった内容で話が展開された。
 私は、ドバトの祖先のカワラバトの生態や、ビジョンミルクを利用した独自の繁殖法、伝書バトとして活躍していた時代のことなどについて話した。私以外に2人の専門家が出て、それぞれの分野について解説していた。
 私自身は、ドバトをやっかい者だとは思っていない。身近で観察できる興味深い対象だと思っている。が、それはともかく、この番組を通してドバトの存在を過去から現在まで掘り下げられたのは、うれしいことだった。

2025年4月6日(日) 季節は進む

 湘南地方では、ところによって早くもソメイヨシノなどが葉桜になってきている。その一方で、ケヤキやコナラなどを中心に新緑がどんどん進んでいる。野辺では、タチツボスミレが花を咲かせ始めている(上の写真)。季節は急速に進んでいる。
 そんななか、すまいから少し離れた公園では、足指(趾)が黄色と黒のコサギが、あいかわらず「釣り人寄生」している(下の写真)。釣り人の近くに陣取り、すきを見ては魚籠(びく)のなかの小魚を奪い取ろうとしている。多くの場合、気づいた釣り人に追い払われるのだが、なかには、逆に釣り上げた小魚を差し出したり放り投げたりする人もいる。そんな時、コサギは小走りで魚にとりついて食べる。ちょっとおかしな光景だ。
 シジュウカラは、さかんにさえずる個体がいる一方、まだエナガと混群をなして移動しているものもいる。温暖な日と冷涼な日が交互にやってきているので、鳥たちも戸惑いがちなのかもしれない。
 だが、じきにオオルリやキビタキ、センダイムシクイなどが渡来してくるはずだ。新緑の木々の間で、美しいさえずりを響かせる。野山が一気に活気づき、一年で一番美しい季節を迎えることになる。






2025年4月5日(土) 三浦半島でヒメウなど

 好天のもと、横須賀港から観音崎方面を夫婦で散策。ソメイヨシノが満開、どこに行っても花見客でにぎわっていた。
 横須賀港の岸壁付近に、ヒメウが1羽泳いでいた(写真)。眼のまわりが赤く、足付近に大きな白斑があり、ほぼ完全な夏羽の成鳥。単独で、しかもこれほど近くで見られるのはめずらしい。頻繁に潜りながら採食していた。建物の上では、イソヒヨドリが盛んにさえずっていた。
 観音崎では、横須賀博物館でダリ展を鑑賞。ものすごい人混みではあったが、十分に堪能。周辺の桜を見物後、海岸の周遊路へ。あいかわらず、トビが人の食べものをねらって飛びかっていた。そんな様子を撮影。

2025年3月30日(日)カンムリカイツブリ夏羽など

 横浜市金沢区の野島。好天で花見日和。満開のソメイヨシノの木々の下で、多くの人が花見/宴会を楽しんでいる。
 サクラの花々には、メジロやヒヨドリだけでなく、スズメがやってきている。スズメはメジロやヒヨドリとは違って、花ごと食いちぎり、花のつけ根にある蜜をなめとる。くちばしが太めなので、そうするしかないのだろう。

 海岸から少し離れたところに、スズガモ約80羽の中にカンムリカイツブリが1,2羽。すでに夏羽に変わっている(写真)。これも春のきざし。スズガモどうよう、じきに北へと旅立つ。






2025年3月28日(金) 桜の季節

 湘南地方では、桜の季節を迎えている。オオシマザクラ(上の写真)、ヤマザクラ、ソメイヨシノなどの花々が、ほぼ一斉に見ごろとなっている。1週間ほど前までは、かたいつぼみのように見えたのに、このところの暖かさのせいで一気に花が開いた。
 すまい近くの緑地では、サクラの花にメジロやヒヨドリがやってきて、せわしく移動しながら花蜜をなめとっている。地上では、ムクドリ、キジバト、ドバト、ハシボソガラス、コジュケイなどが小さなものをついばんでいる。水辺では、カルガモのつがいが、あちらこちらで休んでいる。
 道ばたの草地に、まったくと言っていいほど人おじしない1羽のコジュケイがいた(下の写真)。足に蹴爪があるので雄。通常、コジュケイは人の姿を見れば、数10メートル離れていても、けたたましい声とともに飛び立ってしまう。この雄は、人が50センチほどにまで近づいても、採食を続けている。弱っている様子はない。つがいの雌は、おそらく抱卵中なのだろう。
 ケヤキは芽吹き、うっすらと新緑の気配を見せている。野辺には、タチツボスミレの花々も。
 春がやってきた!

2025年3月20日(木、春分の日) 舞岡

 初春の舞岡を訪ねた。ハクモクレンやカワヅザクラの花が見頃。アオジ(写真)の小群が地上で何かをさかんについばんでいた。この時期、この場所では、アオジはあまり人おじしないので、じっくり観察できる。顔の黒い雄と全体に淡色の雌の両方が、1mほどの間隔を空けて採食しながら移動していた。
 ウグイスはあちこちで囀っているが、声の張りはあまり感じられない。モズの 追いかけ合い。外来種のコジュケイとガビチョウの大きな声が響きわたる。冬から春への移り変わりが感じられる。



2025年3月18日(火) 春の気配

 暖かい日が続いている。湘南地方の野山では、コブシの花が咲き始めている。庭先や道端では、ハクモクレンやユキヤナギの白い花が目立ってきている。ウグイスが囀り始め、オナガガモやキンクロハジロなどの冬のカモ類は姿を消した。いよいよ春の気配。
 すまい近くの緑地で、コゲラが営巣場所を探っているのに出合った(写真)。太枝を登り降りしながら、表面をコツコツ突いていた。コゲラは、樹木の枯れた部分に穴を掘って営巣する。ただし、この時期、人や捕食者による妨害が入ると、その場所を放棄してしまうことがある。無事に繁殖へと向かうことを願いたい。
 日本気象協会によると、東京のソメイヨシノの開花は、今月22日ころとのこと。今週中に咲き始めてしまうようだ。

2025313日(木) 映画「花まんま」を試写会で鑑賞

 

大阪の下町を舞台に、両親を失った兄と妹が苦労しながら成長していく映画「花まんま」(朱川湊人さんの直木賞同名小説が原作)。そして妹の結婚相手となるのが、大学の助教でカラスの研究者。カラスとのいろいろな「交流」が、いくつか重要な部分で展開される。

 

https://hanamanma.com/news/info241009.html

 

私はこの映画の中で、カラスが水道の栓を回して水を飲む映像を提供している。例の横浜の水飲みガラス、グミの映像だ。コンピュータ画面の中で映し出されており、それをカラス研究者、太郎役の鈴鹿央士さんがかじりついて見ている。そんな経緯があって、試写会に招待されることになった次第。劇場版パンフレット(たぶん有料)の中でも、カラスの魅力や能力について写真付きで紹介している。

 

カラス関係者には興味深い内容となっている。また、カラス関連を抜きにしても、物語として珠玉の作品だ。涙なしには観ていられない。

 

一般公開は来月425日から。


2025年2月27日(木) 皇居お堀のカモ類

 早稲田大学オープンカレッジの最後の講義を終え、帰路、皇居のお堀を訪れた。東京駅から徒歩5分ほどの場所。ヨシガモ(上の写真)、オカヨシガモ(下の写真)、オオバン、コサギ、コブハクチョウ(外来種)などが休息/採食していた。もっとも多かったのは、ヨシガモ25羽ほど。くちばしを水面に浅く入れたまま、さかんに採食していた。オオバンやオカヨシガモは4,5羽、ヨシガモの間を泳ぎまわっていた。
 ヨシガモの雄は、午後遅めの陽光を浴びて、目から後頭あたりの緑がみごとに輝いていた。多くの雄のまわりには、全体に褐色の雌がつかず離れず泳いでいた。つがいがすでに形成されている模様。
 ヨシガモやオカヨシガモは、以前は西日本に多いカモ類だったが、最近はこの皇居のお堀をはじめとして、関東のあちこちの湖沼で渡来数を増やしている。
 この周辺を訪れるたびにおどろくのは、駅を囲むようにして立ち並ぶ高層ビル。数を増し、毎回、景色を一変させている。そんな中、皇居のお堀で見られるカモたちがつくり出す鳥景色、もうじき鳥たちの北への旅立ちとともに見られなくなる。次の秋、また戻ってきてくれるだろうか。





2025年2月16日(日) カンムリカイツブリなど

 2か月以上、晴天が続いている。雨がまったく降っていない。近隣の緑地の水辺は、3分の2くらいが干上がってしまっている。残った水たまりで、コサギが足振りしながら採食している。
 本日は、横浜市南部の金沢八景、野島を散策。海上には、スズガモの350羽ほどの群れ。波に揺られ、見え隠れしている。多くはくちばしを背中に入れて休んでいる。沖合には、カンムリカイツブリ(写真)が少数。
 岸辺では、オオバンが30羽ほど群れていて、水面から海藻の切れ端などをついばんでいる。ほかにはヒドリガモが数羽。例年と比べると、これらの鳥はどれも2分の1から3分の1。少ない理由は不明。

 寒さは今頃がピークか。あちこちで花開くウメにやってくるメジロは、早春のきざしを感じさせてくれる。

2025年2月11日(火、建国記念日) 場所によってウメ見頃

 湘南地方では、ところによってウメの花が見頃を迎えている。そこには、必ずと言ってよいほど、メジロが訪れている。多くはつがいでやってきて、花から花へと忙しく動きまわっている。
 私のお気に入りの散策路は、横浜市南部の舞岡、氷取沢、称名寺、野島、横須賀市の久里浜、久留和、津久井など。妻とぶらぶら散策しながら、里の鳥景色や花景色を楽しんでいる。
 この日は称名寺。池には、カワセミ、コサギ、アオサギ、カルガモ、オナガガモなど。石の上で甲羅干しをしているアカミミガメのそばで、コサギが足を振り振りあわただしく採食しているのが印象的だった。
 じきに、ウグイスのさえずりが聞こえてくるだろう。早春の生命(いのち)のにぎわいが待たれる。



2025年2月8日(土) フクジュソウ

 横浜の里山の一角に、フクジュソウが見られる場所がある。本日はその場所へ。思い通り、雑木林の少し斜面になったところにその光景が見られた(写真)。早春を代表する黄色い花、私の大好きな花の一つだ。
 この里山では、ウメの開花には少し早いが、フクジュソウとともにロウバイの黄色い花が見頃を迎えている。青空を背景に見事な花景色。季節の移り変わりを知らせてくれている。
 水辺にコサギの羽毛が散らばっていた。おそらく、オオタカか何かに襲われたのだろう。歩を進めると、林床にアオジの小さな群れ。せっせと採食している。早春の旅立ちに備えているのだろうか。

2025年2月6日(木) 葛西臨海公園

 早稲田大・オープンカレッジでの野外実習。好天のもと、参加者とともに水辺の鳥見をのんびり楽しむ。内陸の湖沼では、マガモ、カルガモ、コガモ、ハシビロガモ、オオバン、コサギ、アオサギ、カワウ、海岸ではハクセキレイ、スズガモ、オオバン、カワウなどをじっくり観察。
 とくに目立ったのは、ハシビロガモの渦巻き採食。何羽もが水面にくちばしをつけたまま、輪を描くように泳ぎまわる。これにより水面に渦が起こり、水中に浮遊する草の種子やプランクトンが巻き上げられる。カモたちはそれらを、細かな櫛状の突起のあるくちばしで濾しとって食べる。ハシビロガモ特有の採食法だ。
 帰路、芝地にオオバンが10羽ほど群れていた。人をあまりおそれず、のんびり過ごしていた。こうした光景は、この地では珍しくないようだ。

2025年2月1日(土) ウメの開花

 湘南地方では、日当たりのよいところでウメの開花が始まっている。本日は横浜市南部の氷取沢(ひとりざわ)を散策、人家の庭先で開花しているのが見られた(上の写真)。まだまだ寒い日が続いているが、季節が移り変わりつつあることを知らせてくれている。
 小川の縁にダイサギがただずんでいた(下の写真)。人をあまりおそれず、採食するでもなく、ただじっとしている。寒さにごえているわけではないのだろうが。。。
 畑地から林縁には、モズやヒヨドリ、メジロ、ハシボソガラスなど。いつもと変わらない鳥景色。あちこちでサザンカが赤い花をいっぱいつけている。平和な里の風景が広がっている。

 そんな風景の中にあるレストラン「ひとりざわテラス」で昼食。食事もおいしかったが、窓際の花瓶に生けてあるウメとスイセンのとり合わせのよさが印象に残った。




2025年1月26日(日) しんぷん赤旗にカラス研究の紹介記事

 本日のしんぷん赤旗日曜版で、私のカラス研究の紹介記事が大きく取り上げられた。水道の栓を回して水を飲んだり浴びたりする「水道ガラス」、クルミの実を車にひかせて割る「車利用ガラス」、ビワの実の種を吐き出してビワ園をつくってしまう「ビワガラス」などが、カラー写真とともに紹介されている。
 記事の中では、読者からの情報提供も呼びかけている。すでにいくつもの興味深い情報が、私のもとに寄せられている。毎日のように家にやってくるカラスが、5月にひなを連れてきた時の様子を伝えてくれたものもある。また、「交流」を続けている野生のカラスから、タニシをプレゼントされた例も寄せられている。今後まだまだ届きそうだ。楽しみにしている。


2025年1月23日(木) 国立科学博物館の「鳥」特別展を見学

 早大オープンカレッジでの講義を終えたあと、上野の上記特別展を見学した。科博の特別展だけあって、広いスペースに、マニラプトル類などの恐竜から現生の新鳥類に至る進化の筋道を、化石や骨格標本をふんだんに使って展示してあった。また、世界の現生鳥類を中心に、分類群別に写真や標本を用いて紹介しているところも圧巻だった。
 ただ、鳥ならではの繁殖行動や採食習性、渡り、環境やほかの生物とのつながりなどについての紹介は、限られていた。写真や映像をもっと多用しながら、鳥の世界のすばらしさ、興味深さ、観察のおもしろさなどをもう少し前面に出した方が、迫力があったように感じた。
 会場には多くの人が訪れ、それぞれに展示を楽しんでいた(写真)。
 特別展「鳥」は2月24日まで。

2025年1月11日(土) スズガモの群れ

 横浜市金沢区の野島。今冬もスズガモの群れがやってきた。本日時点で総数400羽ほど、ヒドリガモが3,4羽混じっている。これからカモ類は数を増やし、オオバンやカンムリカイツブリなども加わり、にぎやかになっていくだろう。
 スズガモの群れは、波に揺られながら、多くがくちばしを背中に突っ込んで休息中。雄は白黒模様がきわだち、眼が黄色、休息中も鋭く光らせている(写真)。雌は地味だが、くちばしの際から前頭部が白くて目立つ。
 あいかわらず、トビが人の食物をねらっている。



2025年1月8日(水) コサギの足振り漁法

 すまい近くの緑地。緑道の中を幅1mほどの自然の水路が走っている。そこに、ほとんど人怖じしないコサギが1羽居ついている。しかもこのコサギ、足先をはげしく振るわせ、獲物を追い出して捕食する「足振り漁法」を惜しげもなく見せる。
 獲物は小魚やザリガニなど。ゆっくり移動しながら、左右の足を交互に振るわせ、獲物を捕らえる。足指の色模様からすると、近隣の池にすむ「釣り人寄生」個体とは異なる(2024年10月6日の項を参照)。
 もっとも、この個体、いつもこの場所にいるわけではない。時々現れては、しばらく居つくことを繰り返している。ここにいないとき、どこでどんな採食法を見せているのか、今のところ不明。場所や環境によって採食法を変えているようなことがあれば、興味深いのだが。

2025年1月6日(月) 舞岡

 新年早々、風邪をひいてしまい、しばらくおとなしくしていた。
 この日、新年最初の鳥見散策。横浜市南部の舞岡に出かけた。気持ちよい晴天下、妻とともにのんびり散策。ウグイス、ヒヨドリ、アオジ(写真)、ガビチョウ、ヤマシギ、ヒクイナ、カルガモなどを観察する。
 この時期に見るアオジは、あまり人を恐れない。数mほど先の地上で、草本の種子を採食。ヤマシギは、林床の落ち葉のあいだを見え隠れしながら採食。ヒクイナは湿地の草むらの中を移動。赤褐色の羽衣が前後にゆれる。ガビチョウは、相変わらず大きな声でさえずっている。ウグイスはやぶの中でチャッ、チャッ。
 変わらない鳥景色、音風景だが、正月らしい幸せな雰囲気がただよっている。
 
 今年は、どんな年になるのだろうか。国内外ともに怪しげな話題が多いが、心なごむ鳥景色、音風景が消えないことを願いたい。


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